高姫

出典: 出口王仁三郎と霊界物語の大百科事典『オニペディア(Onipedia)』
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高姫(たかひめ)は、霊界物語に登場する人物。ウラナイ教の教祖。スサノオを敵視し、自分は日の出神の生宮(つまり救世主)だと僭称するが、実は邪神のウラル姫の娘。改心して三五教の宣伝使となるが、再び慢心して妄動を繰り広げる。

概要

年齢

高姫の年齢は明記されていないが、五十歳代半ばの「婆」である。

  • 高姫の「高宮姫」時代は17~8歳[3]で、その時に東助との間に出来た息子(金太郎=建国別)が(第34巻では)35歳なので、そこから計算すると53歳になる。
  • 第51巻妖幻坊の杢助が魔法によって高姫の姿を若返らせた。その時妖幻坊の杢助は高姫に〈三十三年許り元へ戻したのだ。お前が十八の時の姿は即ちこれだ。まだ十八の時は、こんな立派な装束を着てゐなかつたから別人のやうに見えるが、これが正真の高宮姫時代だ〉と語っている。それによると33+18=51歳ということになる。[4]
  • 第57巻では高姫の部下のシャルが、高姫は55~6歳に見えると語っている。[5]
  • 高姫は50代だが「婆」と呼ばれ、かなり老人扱いされている。それは当時(大正時代)の50代は孫や曽孫がいる「お婆さん」の年代だったからである。また平均寿命は短く(男42歳、女43歳[6])、定年も55歳であった。

外見

高姫の外見的特徴として次のような描写がある。

  • 〈ぼつてり肥た婆〉〈雑水桶に氷のはつたやうな眼をキヨロつかせながら〉〈高姫と云ふ中年増のお多福婆〉〔第15巻第8章ウラナイ教#
  • 〈白い出歯をニユツと出し〉〔第15巻第9章薯蕷汁#
  • 〈高姫はお多福面をニユツと出し、山車尻《だんじり》をプリツプリツと振り乍ら、怪しき腰付で踊り始めた〉〔第15巻第17章窟の酒宴#〕…山車尻《だんじり》とは団尻、つまり団子のような大きなお尻のこと。
  • 〈顔を真白に塗り立て、天上眉毛の角隠し〉〈眉を逆立て、口をへの字に結び、グツと睨み、暫くあつて歯の脱けた大口を開き〉〔第16巻第8章衣懸松#
  • 〈顔に白粉をべたりとつけて何だか嫌らしい女〉〔第16巻第11章宝庫の鍵#:加米公のセリフ〕
  • 〈アトラスの様な顔〉〔第56巻第5章鷹魅#〕…世界地図の大陸や島々のように顔にまだらにシミやアバタがあるという意味か?
  • 〈白髪交りの藁箒《わらばうき》のやうな髪をサンバラに凩《こがらし》に靡かせ乍ら夜叉のやうにペタペタと大地を鳴らせつつ〉〔第57巻第11章鳥逃し#

家族

  • ウラル彦ウラル姫(常世彦二世、常世姫二世):高姫の父母。[7]
  • 常世彦(一世)、常世姫(一世):祖父母。
  • 珍山彦(別名・蚊々虎、常照彦):伯父あるいは叔父。祖母の常世姫(一世)の〈内証の子〉[8]なので父は常世彦(一世)でなく、不倫の子のようである。
  • 兄弟姉妹は何人いるのか不明だが、判明している者に次の3人がいる。ただし高姫の兄弟姉妹とは記されていない。高姫と親が同じなので兄弟姉妹のはずという推測である。いずれも高姫より年上か年下か不明。
    • 常治彦(とこはるひこ)、玉春姫:この兄妹は第5巻だけに登場。国祖隠退後に常世彦(二世)・常世姫(二世)の間に生まれた。常治彦は頭に牛のような角が2本生えたため「鬼治彦(おにはるひこ)」というあだ名が付けられた。[9]
    • 常暗彦(とこやみひこ):〈ウラル彦の落胤〉[10]と記され母親は不明なので、高姫の異母兄弟かも知れない。
  • 建国別(たけくにわけ):幼名・金太郎。高姫の息子。東助との間に生まれた。しかし東助が高姫を捨てて家を出て行ってしまったため、失意した高姫は息子を捨ててしまう。金太郎は誰かに拾われ成長し、建国別と名を変え、熊襲国で神司となった。高姫は35年前に捨てた息子が建国別だと知る〔第34巻〕。
  • 東助(とうすけ):元・夫。本名・東野別(あずまのわけ)。筑紫国の国司・高照彦の息子。高姫が10代の終わり頃、香具耶彦という男と共に駆け落ちした。その時、東助に出会い、高姫は東助に一目惚れした。高姫は香具耶彦と別れて東助と同棲したが、東助は高姫を捨てて家を出て行ってしまった。その後、東助は淡路島洲本の司となった。高姫は東助と再会〔第23巻〕し、よりを戻そうとするが、すでに結婚していた東助は高姫の求愛を断固拒否する〔第33巻〕。
  • 美山別(みやまわけ):現在の夫。高姫は男を尻に敷くタイプで、美山別も〈人形のような男〉[11]だとバカにしている。
  • 妖幻坊の杢助(ようげんぼうのもくすけ):杢助斎苑の館の総務)の名を僭称している妖幻坊のこと。高姫は妖幻坊が杢助本人だと思い込み(美山別という夫がいるにもかかわらず)政略結婚する。

関連項目

高姫が付く章題

主なエピソード

霊界物語に描かれた高姫のエピソードは次の6つの時代に分けることができる。

  1. #高宮姫時代第33巻第22章高宮姫#の高姫の回顧歌の中で若い頃(18歳頃)の出来事が歌われている。
  2. #ウラナイ教時代:第15~19巻でウラナイ教の教主としての高姫が描かれている。
  3. #三五教時代:第20~33巻で三五教の宣伝使としての高姫が描かれている。
  4. #妖幻坊との夫婦時代:第49~52巻で妖幻坊の杢助の妻としての高姫が描かれている。
  5. #八衢修業時代:第52、56、57、63巻で八衢(中有界)で修業する精霊としての高姫が描かれている。
  6. #千草の高姫時代:第70~72巻で千草姫の肉体に転生した高姫が描かれている。

高宮姫時代

「高宮姫(たかみやひめ)」とは高姫の若い頃(18歳前後)の名前である。次の章の高姫の会話などの中で断片的に描かれている。ただし第51巻第9章鷹宮殿#以降、第52巻にかけて高姫は(妖幻坊の魔法によって容姿が若返り)「高宮姫」と名乗っている。だがそれは実際の高宮姫時代のエピソードではないのでここでは触れない。

ここに書いてあることを総合すると、次のような高宮姫の姿が見えてくる。

高宮姫はコーカス山ウラル彦ウラル姫の娘として生まれた[12]。ウラル姫の〈最愛の娘〉[13]。三五教の宣伝使たち(松竹梅の宣伝使東彦高彦など。第11巻第23章保食神#参照)がコーカス山に現れ言霊戦を始めた。その時、大気津姫(ウラル姫の別名)らはアーメニヤへ逃げ帰った。高宮姫は〈御伴の神〉(おそらく香具耶彦のこと)を連れ、三五教の状況を探るため聖地エルサレムへ向かった。その途中すれ違った美青年[14]に高宮姫は一目惚れし、〈御伴の神〉を捨てて、美青年の後を追った。その美青年が東助である。

高宮姫と東助は恋仲となり、黄金山で同棲する。やがて高宮姫は男の子を産み、「金太郎」と名付けた。2~3ヶ月経った頃、三五教の宣伝使・北光神が〈信仰調べ〉(素性調査か?)のために家にやって来た[15] [16]

実は東助は尊い家系の出身である。東助は筑紫の国の国司・高照彦の三人息子の一人で、本名を「東野別(あずまのわけ)」という[17]。高照彦は国祖・国常立尊の落胤[18]なので、東助は国祖の孫にあたる。東助は父の命令を受けて聖地エルサレムにやって来たのだが、その目的を忘れて女と同棲していた。しかも邪神のウラル姫の娘である。それが発覚してしまい恥ずかしさから、東助は高宮姫を捨てて家を出て行った[19] [20]

東助に出て行かれ失意した高宮姫は、金太郎を四辻に捨ててしまう。その時に、「東」と「高」の印が刻まれた守り刀(東助が家を出る時、記念に残して行った)と、「金太郎」と名を書いた守り袋を添えておいた[21] [22](この守り刀と守り袋が金太郎=建国別が高姫・東助の息子だという証拠となる)。

高宮姫はメソポタミヤ顕恩郷へ行き、バラモン教をしばらく学んだ(大棟梁の鬼雲彦が支配していた時代)。しかし東助が忘れられず、三五教に入れば、いつか東助に会えるだろうと考えて、〈系統の身魂〉と偽り、フサの国で三五教を学んだ。だがスサノオのやり方が気に入らず、ウラル教と三五教を合わせた「ウラナイ教」を北山村に設立した。[23]

高宮姫がいつから「高姫」に名を変えたのかは分からないが、ウラナイ教の教主としては「高姫」である。東助は同棲時代に「高姫」とも呼んでいるので[24]、「高宮姫」を略した愛称が「高姫」ではないかと思われる。

ウラナイ教時代

第15巻から第19巻にかけて高姫はウラナイ教の教主として活動する。最後に改心して三五教の宣伝使となる。大きな5つのトピックスを記す。

(1) 【第15巻】 舞台:フサの国北山村ウラナイ教本部

安彦国彦道彦田加彦百舌彦の5人の宣伝使が迷い込んだ館はウラナイ教の本部だった。そこでは目の見えない信者たちが食事中で、丼鉢の麦飯トロロ汁をすすっていた。教主の高姫に侮辱された国彦は頭にきて、麦飯トロロ汁を座敷一面に投げつけた。国彦は逃げ去ったが、残った安彦・道彦を、高姫・黒姫が出刃包丁を持って目を刺そうと追いかける。〔第15巻第8章ウラナイ教#第9章薯蕷汁#

(2) 【第15巻】 舞台:西蔵ラサフの都

西蔵のラサフの都の地底にある岩窟に、広い館があり、そこで高姫・黒姫・蠑螈別を始めウラナイ教の信者数十人が酒宴を行っていた。そこへ三五教の宣伝使たち(高国別ら)が宣伝歌を歌いながらやって来た。その宣伝歌に高姫たちは苦しんだ。〔第15巻第17章窟の酒宴#第18章婆々勇#

(第15巻で高姫と黒姫が三五教の宣伝使たちに毒づいているが、そのセリフの中に、高姫・黒姫またウラナイ教の本質が現れている)

(3) 【第16巻】 舞台:魔窟ケ原

(魔窟ケ原で)高姫は子分の青彦を連れて鬼彦一行の前に現れ、一行数百人を地底の岩窟に入れてしまう。〔第16巻第7章空籠#第8章衣懸松#

(4) 【第16巻】 舞台:由良冠島・沓島

高姫・青彦は由良の港の司・秋山彦の館から、冠島・沓島の宝庫の鍵を盗み出す。港で盗んだ船で冠島に渡り「如意宝珠の玉」を手に入れた。その後二人は沓島に渡り「金剛不壊の宝玉」を掘り出している最中、追ってきた亀彦鬼武彦一行に捕まる。高姫は田辺の港で一人で逃げ出すが、再び鬼武彦に再び捕まってしまう。二人は秋山彦の館に連れ戻されるが、そこで高姫は「如意宝珠の玉」を口から呑み込み、青彦を残して一人で外へ逃げ去った。〔第16巻第11章宝庫の鍵#第14章鵜呑鷹#〕 (高姫はフサの国のウラナイ教本部へ逃げ帰った[25]

(5) 【第18巻第19巻】 舞台:魔窟ケ原世継王山

玉照姫を三五教に奪い取られたが、スサノオが玉照姫をウラナイ教に渡せという、その御心を知った高姫は、スサノオを誤解していたことを悟った。スサノオが世界の贖い主であることを悟り、改心して三五教の宣伝使となる。〔第18巻第15章遠来の客#第16章返り討#第19巻第2章鶍の嘴#第8章大悟徹底#[26] [27] [28] [29]

三五教時代

第20巻から第33巻にかけて、高姫が三五教の宣伝使として活動している。そのうち大きな出来事として9つのトピックスを記す。

(1) 【第21巻高春山で玉探し

高姫と黒姫は三五教に帰順した証として、高春山鷹依姫アルプス教の教主)を言向け和しに行く。二人はアルプス教のアジトがある岩窟に潜入するが、鷹依姫に捕まってしまう。高姫は閉じ込められた秘密室に、アルプス教の宝物「紫の玉」があるのを見つけると、それを呑み込んでしまった。〔第21巻第1章高春山#

高春山に向かった高姫・黒姫が綾の聖地を出発してから三ヶ月経っても帰って来ないため、錦の宮の教主・言依別命竜国別玉治別国依別の3人の宣伝使に、二人の行方を探すよう命じた[30]。3人は道中で一行に加わった杢助お初(初稚姫)と共に高春山の岩窟に乗り込み、高姫・黒姫を救出した。6歳のお初に「我を張るのはやめなさい」と説諭され、高姫と鷹依姫は改心した。高姫は「紫の玉」と以前に呑み込んだ「如意宝珠の玉」の2個を吐き出した。〔第21巻第18章解決#

(2) 【第22巻鷹鳥山で改心

三つの玉」の一つ「黄金の玉」は黒姫が保管していたが、紛失してしまい、怒った高姫は黒姫ら5人に玉探しを命じる[31]。残りの二つ「如意宝珠の玉」と「紫の玉」は高姫が保管していたが、それも紛失してしまった[32]。高姫は執着心の鬼に責められて病気となり精神錯乱状態となるが、言依別命の祈願によって病が治癒した[33]。〔第22巻第1章玉騒疑#第8章鬼の解脱#

高姫は、魔谷ケ岳バラモン教蜈蚣姫[34]が玉を盗ったのだと早とちりし、魔谷ケ岳の近くにある鷹鳥山にアジトを構え、鷹鳥姫と名を変えて潜伏し、玉を奪還するチャンスを窺った。鷹鳥姫(高姫)は鷹鳥山の頂上で、女神の教示を受けて改心をする[35]。その後、お初から教示を受けて感謝の涙に身を震わした[36]。〔第22巻第9章清泉#第15章情の鞭#

(3) 【第23巻第24巻竜宮島で玉探し

再び玉への執着心が募りだした高姫は、錦の宮の乗っ取りをたくらみ、役員・信者を集めて演説するが、誰にも相手にされない。〔第23巻第4章長高説#

高姫は玉を探して瀬戸内海の家島、そして小豆島に上陸する。小豆島で出会った蜈蚣姫と共に竜宮島に玉探しに出掛けた[37]。〔第23巻第9章高姫騒#第18章波濤万里#

竜宮島で高姫は黒姫と再会する。高姫に玉探しを命じられた黒姫は夫の高山彦と共に竜宮島へ渡り[38]、高姫より先に来ていたのだ。高山彦はブランジー、黒姫はクロンバーと名乗り、竜宮島の女王・黄竜姫に仕えていた。竜宮島にどうやら玉はないと判断した高姫・黒姫・高山彦は、船に乗って自転倒島に帰国した。〔第24巻第5章蘇鉄の森#第12章暴風一過#

この後、竜宮島では初稚姫らによって、玉依姫命から5つの麻邇宝珠を受け取るという御神業が行われた[39]スサノオは高姫にもその神業に参加させようとしていたのだが、高姫は執着心に取り憑かれて竜宮島を離れてしまい、神業に参加できなかった[40]

(4) 【第25巻第26巻竹生島で玉探し

竜宮島から自転倒島に帰国した高姫・黒姫・高山彦は、国依別の偽の神懸りによる神託を信じて、琵琶湖の竹生島へ玉探しに向かった。〔第25巻第17章森の囁#第18章玉の所在#

国依別は竹生島の弁天神社の下に玉を隠してあると教えたのだが、それは嘘だった。国依別に騙されたこと気づいた3人は激怒して、お互いに責任をなすりつけ合い、大喧嘩となる。〔第26巻第13章三つ巴#第15章諭詩の歌#

(5) 【第27巻麻邇宝珠すり替え事件

竜宮島の玉依姫命が保管していた5つの麻邇宝珠の玉が、綾の聖地の錦の宮に運ばれ安置された[41]。9月23日に役員・信者を集めて玉の一般拝観が行われた。まず最初に高姫・黒姫が玉を検める。玉が入っている箱を開けて見ると、何と5個のうち4個までもが石ころとすり替えられていた。しかもその石ころには「高姫・黒姫の身魂はこの通り。改心しないと元の黄金色の玉にはならないぞ」と書かれており、高姫・黒姫は激怒する。さらに驚くべきは、この玉をすり替えたのは教主の言依別命だった。言依別命は神界の命令で玉をすり替えた後、国依別を連れて聖地を去り、高砂島へ向かった。高姫は玉照姫(錦の宮の神司)に「4個の玉を見つけて持ち帰ったら、汝を教主に任ずる」と言われ、言依別命の後を追って高砂島へ旅立った。〔第27巻第4章教主殿#第6章玉乱#

高山彦は高姫・黒姫に愛想を尽かして姿をくらました。黒姫は夫・高山彦の行方を探すため、玉探しを兼ねて、筑紫島[42]に旅立った。〔第27巻第7章猫の恋#

(6) 【第28巻第29巻高砂島で改心

高姫は言依別命の後を追って高砂島に向かう途中、船が座礁して遭難し、言依別命が乗った船に救助された。しかし言依別命は自分が乗っていることは秘密にしていたため、高姫は言依別命に気が付かなかった。〔第28巻第19章高島丸#第22章高砂上陸#

高姫はテルの港から上陸し、鏡の池懸橋御殿に到着。するとそこに諸方から献納された様々な玉が山積みになっていた。高姫は目当ての玉を探すが見つからない。高姫は鏡の池の神をバカにして池に大きな石を投げ込んだため、神威に打たれて人事不省になってしまった。〔第29巻第5章引懸戻し#第8章高姫慴伏#

高姫は懸橋御殿の奉仕者たちに救われたが、礼も言わず、逆に自分は日の出神の生宮だと威張った。高姫は玉を見つけるため高姫は神殿に駆け上がると、再び人事不省になってしまった。大男が現れ高姫を放り投げた。高姫は真っ青になり、懸橋御殿を飛び出した。櫟ケ原の白楊樹のところで大きな怪物が高姫を掴んで喰らおうとする。そこへ女神が現れ、高姫は救われた。女神(日の出姫)の光輝に打たれて高姫は改心をする。女神は高姫に「アマゾン河を遡り鷹依姫竜国別一行と出会って大修業をせよ」と命じた。鷹依姫が持ち出した黄金の玉[43]を、高姫は懸橋御殿に返した。〔第29巻第9章俄狂言#第12章悔悟の幕#

すっかり改心した高姫は従者(常彦春彦)と共にアマゾンへ向かう。途中、大湖水「玉の湖」の畔にあった石像を見つけた。その石像は鷹依姫一行4人(鷹依姫竜国別テーリスタンカーリンス)が改心記念のため刻んだ石像だった。高姫は罪滅ぼしのためその石像を背負って行くことにした[44]アルの海岸からゼムの港に渡る船の中で出会ったヨブが高姫の高潔な姿に感じて弟子入りする[45]。〔第29巻第13章愛流川#第16章波の響#

高姫一行4人(高姫、常彦春彦ヨブ)はゼムの港に上陸した。ヨブの同郷のマールボールと出会い、その2人も同道することになった。天祥山ハンドの滝で一行は禊をする。マールに鷹依姫の霊が懸かり、アマゾンの玉の森で道に迷っているので助けてくれと高姫に頼んだ。〔第29巻第17章途上の邂逅#第19章生霊の頼#

(7) 【第32巻アマゾンの怪獣を言向け和す

高姫は常彦、春彦、ヨブを伴いアマゾンに到着した。高姫はまだ少し玉への執着心があったが、白狐の化身(高子姫[46]に試されたことによって、ようやく執着心を払拭した。〔第32巻第7章試金玉#第10章暗黒殿#

アマゾンの怪獣モールバンドが現れ、高姫を狙った。そこへ安彦宗彦秋山別モリスの一行4人がやって来た。高姫一行と安彦一行の計8人は一生懸命に天津祝詞を奏上した。そこへ琉と球の大火光が帽子ケ岳から落ちて来て、モールバンドは驚いて逃げ去った。8人は鷹依姫一行4人と合流し、計12人で神言を七日七夜間断なく奏上し、すべての猛獣をことごとく言向け和した。そして猛獣に対して律法を定め、これを固く守らせた。その後12人の宣伝使たちは、アマゾン河で言霊によって怪獣モールバンドエルバンドを悦服させると、怪獣たちは竜体となって天に昇り、風雨を司り、万類に安住を与える神の使いとなった。〔第32巻第11章人の裘#第13章平等愛#

一行12人は帽子ケ岳に登り、山頂で言依別命国依別と合流した。また正純彦カール石熊春公の一行4人も山頂に到着した。一行18人は山を下り、ウヅの都末子姫の館に凱旋した。〔第32巻第14章山上の祝#[47]

(8) 【第32巻第33巻国依別の結婚に反対する

神素盞嗚大神の意向により、末子姫八人乙女の末女)と国依別が結婚することになった。高姫は素尊の娘に国依別のような女たらしを娶せるなんてとんでもないと、結婚に反対する。何とかして破談にしようと反対運動を繰り広げるが、最後に捨子姫(末子姫の侍女)に諭されて、しぶしぶ結婚に賛成することにした。〔第32巻第22章橋架#第24章冷氷#第33巻第1章高論濁拙#第4章楽茶苦#

(9) 【第33巻麻邇宝珠の御用の完了

高姫は高砂島から自転倒島に帰国した。由良の港秋山館秋山彦から素尊の御心を知らされる。高姫、鷹依姫竜国別黒姫の4人は麻邇宝珠の御用をしなくてはいけない因縁だが、高姫と黒姫は竜宮島から帰ってしまった〔第24巻〕ので御用が出来なかった。そこで4つの玉を隠して、それを4人に綾の聖地まで運ばせることにしたのだと、経綸を話す。高姫は初めて素尊の大慈悲心を悟り、感謝の涙にくれた。そこへ黒姫も筑紫島から帰国した〔筑紫島の物語は第34巻第35巻〕。高姫ら4人は沓島に渡り、麻邇宝珠4個の玉を取り出し、綾の聖地まで運んだ。9月8日に錦の宮に玉が奉納される。高姫は黒姫から、35年前に捨てた息子・金太郎が熊襲の国建国別だという話を聞いて、自分の過去を物語る(#高宮姫時代)。金太郎の父である東助とよりを戻そうとするが、東助はすでに妻子がいるため拒否された。〔第33巻第13章帰途#第23章鉄鎚#

高姫は生田の森で「琉の玉」の守護をすることとなった。〔第33巻第25章琉の玉#

妖幻坊との夫婦時代

八衢修業時代

千草の高姫時代

神集の玉

第16巻第14章鵜呑鷹#で高姫は、冠島の神宝「如意宝珠の玉」を口から呑み込んでしまった。その前の章の末尾で如意宝珠の玉について次のように説明されている。

ちなみに言ふ、この如意宝珠の玉は一名言霊と称しまた神集《かうづ》の玉とも言ひ言語を発する不可思議の生玉《いきたま》である。ちやうど近代流行の蓄音器の玉の様な活動をする宝玉にして今はウラナイ教の末流たる悪神の手に保存せられ独逸のある地点に深く秘蔵されありと言ふ。
出典: 第16巻第13章神集の玉# 大正11年(1922年)4月口述

このドイツの〈ウラナイ教の末流たる悪神〉とは、ナチスではないかと考えられる。ナチ党は大正9年(1920年)2月に設立され、昭和8年(1933年)1月にヒトラー内閣が発足した。政府に宣伝省(国民啓蒙・宣伝省)を置いたり、世界で初めてテレビを用いたプロパガンダを行うなど、文字情報だけでなく音声・映像による情報操作を重視していた。言霊を悪用していたと言える。

血統を重視するところも、ナチスは高姫的である。

脚注

  1. 第52巻第23章盲動」/a028#:〈高姫は妖幻坊にかつ攫はれ、空中を翔り行く途中に於て、デカタン高原の或地点で妖幻坊に取放され、空中より砂つ原に顛落して気絶してゐた〉
  2. 第56巻第5章鷹魅#:〈初稚姫やスマートの 声に驚き妖幻坊 黒雲起し高姫を 小脇に抱へ空中を 逃げ行く折しもデカタンの 大高原の中央に 高姫司を遺失して 雲を霞と逃げて行く 高姫空より墜落し 人事不省に陥りて 霊肉脱離の関門を 漸く越えて遥々と 八衢関所に来て見れば さも勇ましき赤白の 守衛に行途を遮られ 三歳の間中有の 世界に有りて精霊を 研き清むる身となりぬ〉
  3. 第39巻第12章種明志#ヨセフのセリフ〈高宮姫の十七八の花盛りには〉
  4. 第51巻第9章鷹宮殿」/a108#
  5. 第57巻第10章転香#:シャルの一人言〈年は幾才だと聞いて見たら四十九才だと吐しやがる。俺の見た所では、どうしても五十五六に見えるがヤツパリ年寄と見られるのが辛いと見えるワイ〉
  6. 厚労省
  7. 第15巻第9章薯蕷汁#:〈ウラル彦やウラル姫の、又もや体に宿りつつ〉。第33巻第22章高宮姫#:(高姫の歌)〈厳の御霊の系統で 日の出神の生宮と 今まで固執して来たが 思へば思へば恐ろしい 誠の素性を明すれば コーカス山に現れませる ウラルの彦やウラル姫 二人の中に生れたる 吾は高宮姫命〉
  8. 第8巻第16章霊縛#:〈蚊々虎さまと綽名をつけられ(略)稚桜姫の神の御子の常世姫が内証の子と生れた常照彦〉
  9. 第5巻第1章栄華の夢#:〈常世彦、常世姫二神の間に常治彦が生れた。つぎに玉春姫といふ妹神が生れた。(略)愛児常治彦は長ずるにおよんで前頭部に牛のごとき角が二本生えた。神々はこれを常治彦といはず鬼治彦と密かに綽名してゐた。〉
  10. 第41巻第7章忍術使#:〈ウラル彦の落胤なる常暗彦を推戴し〉
  11. 第23巻第16章蜈蚣の涙#
  12. 第33巻第22章高宮姫#:〈コーカス山に現れませる ウラルの彦やウラル姫 二人の中に生れたる 吾は高宮姫命〉
  13. 第39巻第12章種明志#:[[タール (人物)|]]のセリフ
  14. 第33巻第22章高宮姫#:〈眉目秀れし青年が 花の顔色麗しく〉
  15. 第33巻第22章高宮姫#:〈北照神が現はれて 信仰調べを始めかけ〉
  16. 第33巻第23章鉄鎚#:〈北光彦の宣伝使 信仰調べを標榜し 吾身の素性を尋ねむと 吾庵をさして入り来る〉
  17. 第33巻第23章鉄鎚#:〈高照彦の珍の子と 生れ出でたる三人の 其一人となり出でし 吾は東野別神〉
  18. 第7巻第40章三人奇遇#:〈私は熊公とは仮の名、国治立命の落胤、高照彦と申すもの、大神の御退隠後は八十熊別と名を変へてこの亜弗利加の原野に都を造り、時を待ちつつあつたものであります〉
  19. 第33巻第22章高宮姫#:〈恋しき人は筑紫国 都に居ます神人の 尊き御子と見破られ 親の恥をば曝すのは 辛いと云つてあわて出し〉
  20. 第33巻第23章鉄鎚#:〈父の使命を忘却し 罪を重ねし吾なれば 女は不憫と思へども 見捨てて庵を遁走し〉
  21. 第33巻第21章峯の雲#:〈幼名は 聞くも目出たき金太郎 吾身に添へたる綾錦 守袋に名を記し 守刀に真珠にて 十字の印を描き出し 鍔元篤と眺むれば 「東」と「高」の印あり〉
  22. 第33巻第22章高宮姫#:〈後に残つた一振の 守り刀に「東」の字 「高」の印を刻みたる 剣を記念と残しおき(略)守刀に綾錦 守袋に金太郎と 名をば書き添へ四辻に 不憫乍らも捨子して〉
  23. 第33巻第22章高宮姫#:〈メソポタミヤの顕恩郷 バラモン教を探らむと〉~〈北山村に立籠り 教を開き居たりける〉
  24. 第33巻第22章高宮姫#:〈コリヤ高姫よ高姫よ〉
  25. 第16巻第15章谷間の祈#:悦子姫の青彦に対するセリフ〈汝が力と思ふ高姫は今フサの国に遁げ帰り、黒姫は行方不明となりし今日〉
  26. 第19巻第8章大悟徹底#:高姫〈素盞嗚尊様は変性女子だ、悪役だと今の今まで思ひ詰め(略)素盞嗚尊様は矢張り善であつた(略)アヽ瑞の御霊様、今迄の私の取違ひ、御無礼を何卒赦して下さいませ〉、〈此の深い罪をも御咎めなく、大切な玉照姫様を私達に御遣はし下された上、大切な宣伝使まで懲戒のため除名をするとの御言葉、何たる公平無私な神様でございませう。アヽ勿体ない、どうぞ神様赦して下さいませ〉
  27. 第19巻第12章言照姫#:エンゼル(言照姫)〈松姫の改心に依り、ウラナイ教の教主高姫、副教主黒姫の罪は赦された〉
  28. 第19巻第16章玉照彦#:言照姫〈高姫、黒姫一派の、今迄瑞の御霊の大神に射向かひまつりし重大の罪を赦され、神界の御用に参加し、偉勲を建つる事を得む〉
  29. 第20巻第1章武志の宮#:〈ウラナイ教を樹て、瑞之御霊に極力反抗したる高姫、黒姫、松姫は、夢の覚めたる如く心を翻し、身命を三五教に奉じ、自転倒島を始め、海外諸国を跋渉して、神徳を拡充することとなつた〉
  30. 第21巻第2章夢の懸橋#
  31. 第22巻第1章玉騒疑#第4章玉探志#
  32. 第22巻第5章壇の浦#
  33. 第22巻第6章見舞客#第8章鬼の解脱#
  34. 高春山の鷹依姫は蜈蚣姫の部下だった。
  35. 第22巻第13章寂光土#
  36. 第22巻第14章初稚姫#
  37. その理由は「竜宮島 (豪大陸)#高姫と蜈蚣姫が竜宮島へ渡った理由
  38. その理由は「竜宮島 (豪大陸)#黒姫が竜宮島へ渡った理由
  39. 第25巻第16章真如の玉#
  40. 第33巻第17章感謝の涙#
  41. 第26巻第12章秋の色#
  42. 第27巻第7章猫の恋#:高山彦〈これから高山彦はお前と縁を断り、竜宮の一つ島か、但は筑紫の島へ玉探しに行くから、これまでの縁と諦めて下さい〉
  43. 「三つの玉」の一つではなく、アールが献納した玉。〔第29巻第2章懸橋御殿#第4章野辺の訓戒#
  44. 第29巻第14章カーリン丸#
  45. 第29巻第15章ヨブの入信#
  46. この白狐は鬼武彦の部下の旭、月日、高倉である。第32巻第9章岩窟女#:春彦の歌(春彦は白狐の化身であることを見抜いていた)〈旭が出てるが分らない 月日の姿も目につかぬ 高倉暗の高姫が(略)先へ出て行く三人は 高倉稲荷を始めとし 月日、旭の明神だ 神が姿を現はして 高姫さまの改心を 試してござるも知らずして〉。第32巻第11章人の裘#:〈動もすれば執着心を盛返し、心動き易き高姫を主として一行四人、鷹依姫を助けむと出で来りたるが、到底北の森林は、一通や二通で通過する事さへ出来ない事を大江山の鬼武彦が推知し、茲に白狐の高倉、月日、旭の眷族を遣はし、先づ第一に高姫の執着心を根底より除き、我を折らしめ、完全無欠なる神の司として、森林の探険を了へしめむと企画されたるが、果して高姫は玉と聞くや、執着心の雲忽ち心天を蔽ひ、斯の如き神の試みに遇ひたるぞ浅ましき〉
  47. 第32巻第17章悔悟の歌#で高姫はここまでの自分の罪を悔悟する歌を歌っている。