鷹依姫
鷹依姫(たかよりひめ)は、霊界物語に登場する人物。高春山のアルプス教の教主。後に三五教の宣伝使になった。
概要
- 初出:第21巻第1章「高春山」#
- 鷹依姫は、高春山の絶頂に岩窟を作り、「仮本山」とし、アルプス教を開いた。[1] [2]
- アルプス教はバラモン教の一派であり[1]、鷹依姫は、蜈蚣姫(バラモン教の副棟梁・鬼熊別の妻)の部下[3]である。
- 息子の竜若は極道者で、親を捨ててどこかに姿を隠してしまった。第21巻第18章「解決」#で高春山の岩窟に現れた竜国別がその息子だったことが判明し、親子の再会を遂げる。
関係の深い人物
主なエピソード
第21巻
三五教に帰順した高姫・黒姫の2人が、アルプス教を言向け和すために高春山にやってきた。鷹依姫は紫の玉(黄金水の十二個の玉の一つ)をアルプス教の神宝にしていたが、その紫の玉を高姫に呑まれてしまう[4]。〔第21巻第1章「高春山」#〕
高春山で消息不明となった高姫・黒姫を探しに、竜国別、玉治別、国依別と、杢助・お初(初稚姫)の5人がやってきた。鷹依姫と高姫はお初に言向け和され、改心する。高姫は呑み込んでいた如意宝珠と紫の玉を吐き出した。鷹依姫と竜国別は母子だったと判明する。お初は──親子の対面をさせるために神が仕組んでこの山に来るように差し向けられた、竜国別の改心に免じて鷹依姫の罪を赦す──と告げる。〔第21巻第17章「酒の息」#~第18章「解決」#〕
これ以降は、鷹依姫と竜国別はほとんどいつでも一緒に行動している。
第22巻
黒姫は、自分が保管していた黄金の玉が紛失した[5]のは、テーリスタン・カーリンスや鷹依姫・竜国別が盗んだからではないかと疑う。高姫に紛失の責任を問われ[6] [7]、玉を探しに行けと命じられ[8]、黒姫はこの4人を連れて海外へ玉を探しに出かけた。〔第22巻第3章「不知火」#〕 (黒姫は筑紫島へ玉探しに行く→「第34巻」「第35巻」)
第29巻
鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの4人は黄金の玉を探すため、南洋諸島へ経て、高砂島へ渡った。[9] [10]
鷹依姫・竜国別一行4人は、テルの国の鏡の池の岩窟に拠点を構え宗教活動を開始する。鷹依姫は岩窟の奥に身を潜め鏡の池の神だと偽り、竜国別は岩窟の外で神勅を伺う審神者となった。そしてテーリスタンとカーリンスに高砂島中を巡回させ──鏡の池の岩窟に月照彦神が現れた、いかなる玉でも献上する者には神徳を与える──と宣伝させた。幾百個もの玉が一年足らずで集まったが、黄金の玉は見つからなかった。〔第29巻第1章「アリナの滝」#〕
ヒルの国のテーナの里の酋長アールが、黄金色の玉を献上した。。鷹依姫・竜国別はその黄金色の玉が目当ての黄金の玉だと思い込み、その玉を持って岩窟から逃げ出す。一行4人はウヅの国の櫟ケ原の白楊樹の下で休むが、玉が入った袋が白楊樹の枝に引っかかってしまい、取ることが出来ない。蛸入道が現れて、猿世彦の怨霊だと名乗る。蛸入道は鷹依姫らに──玉への執着心を捨てよ、黄金の玉はすでに発見されて言依別命がある地点に秘している、お前たちはアマゾンの玉の森林へ向かえ──と伝えて姿を消した。この蛸入道の正体は木花姫命であった。鷹依姫・竜国別一行4人は玉への執着心を払い、アマゾンへ向かった。〔第29巻第2章「懸橋御殿」#~第29巻第4章「野辺の訓戒」#〕
玉の湖の湖畔で4人は、改心記念として、神の姿をした石像を刻んで置いておいた[11]。後にここを通った高姫が石像に気がつき、鷹依姫らを玉探しに行かせた罪滅ぼしのため、この石像を背負ってアマゾンまで歩いて行った[12]。〔第29巻第14章「カーリン丸」#〕
高姫一行はアマゾンに向かうためカーリン丸(アルの港からゼムの港に向かう)に乗った。そこで船客(丙=ヨブ)の話として次のことが記されている。──鷹依姫・竜国別一行4人は、アルの港からカーリン丸に乗ったが、鷹依姫が誤って海に落ちた。息子の竜国別はそれを助けようとして海に飛び込んだ。弟子のテーリスタンとカーリンスもそれを助けるため海に飛び込んで、4人は死んだ──。しかしゼムの港に上陸後、港にいた2人の男(マールとボール)の話の中で、4人は大きな亀の背に乗ってゼムの港に上陸した[13]と語られている。また、マールはアマゾンでモールバンドに襲われた時、鷹依姫・竜国別一行が宣伝歌を歌って現れたため救われた、とも語っている。この件により2人は三五教に入信した。〔第29巻第14章「カーリン丸」#、第17章「途上の邂逅」#〕
第32巻
鷹依姫・竜国別一行4人はアマゾン河の南岸に上陸し、兎の都の王となり、猛獣やモールバンド・エルバンドを言向け和す。最後に言依別命たちと合流し、ウヅの都の末子姫の館に凱旋した。〔第32巻第1章「万物同言」#~第14章「山上の祝」#〕
→詳細は「時雨の森#主なエピソード」「第32巻」を見よ
第33巻
高姫・鷹依姫・竜国別らは、ウヅの都に別れを告げ、ハラの港から船に乗りオノコロ島に帰った。〔第33巻第12章「袂別」#~第17章「感謝の涙」#〕
帰国した高姫一行は由良の秋山彦の館に入る。秋山彦は──高姫・黒姫・鷹依姫・竜国別は麻邇宝珠の御用をする因縁だったが(竜国別は黄色の麻邇宝珠の御用)、竜宮島にいなかったので、やむを得ず他の人(黄竜姫・蜈蚣姫・友彦・テールス姫)に臨時に御用をさせることになった。今度御用をし損なったら取り返しのつかないことになるので、神素盞嗚大神は吾が子の言依別命に罪を着せたのである[14]──と神の経綸を教える。それを聞いた高姫らは神素盞嗚大神の大慈悲心を悟り号泣した。4人は沓島に渡り、そこに秘された麻邇宝珠4個を錦の宮に持ち帰り[15]、無事に玉の御用を終えた。〔第33巻第17章「感謝の涙」#~第18章「神風清」#〕
似た名前の人物
- 高依姫:
脚注
- ↑ 1.0 1.1 第21巻第1章「高春山」#:「高春山の絶頂に岩窟を作り、バラモン教の一派を建て、アルプス教と称し」
- ↑ 第21巻第17章「酒の息」#:「アルプス教の仮本山と聞えたる、高春山の山巓の岩窟に数多の部下を集めて、大自在天大国別命の神業を恢興せむと」
- ↑ 第21巻第1章「高春山」#:「蜈蚣の姫の手下なる 鷹依姫が朝夕に」
- ↑ 第21巻第1章「高春山」#:「玉を手に取り、クネクネクネと撫で廻し、餅の様に軟かくして、グツと呑み込んで了つた」
- ↑ 第22巻第1章「玉騒疑」#参照
- ↑ 第22巻第3章「不知火」#:「十字街頭に高姫が 錦の宮に参詣の 折も折とて出会し 黒姫始め外四人 高姫宅に招ぜられ 尊き神の御宝を 紛失したる責任を 問ひ詰められて黒姫は いよいよ爰に決心の 臍を固めて聖域を あとに眺めつ黄金の 玉の在処を探らむと 鷹依姫や竜国別 テーリスタンやカーリンス 五人は各自に天の下 四方の国々隈もなく 探ね行くこそ神界の」
- ↑ 第22巻第5章「壇の浦」#:「端なくも黒姫が保管せる黄金の玉の何者にか奪取され、黒姫は責任を帯びて、夜窃に鷹依姫、竜国別、テー、カーの五人、思ひ思ひに聖地を後に、玉の行方を捜索に出でたる事」
- ↑ 第29巻第1章「アリナの滝」#:「高姫司の耳に入り 竜国別や鷹依姫の 神の司を始めとし テーリスタンやカーリンス 黒姫五人に打向ひ 『黄金の玉の所在をば どこどこまでも捜し出し 錦の宮に持帰り 其責任を果す迄 再び聖地に帰るな』と いとも厳しき命令に 涙を呑んで五人連れ」
- ↑ 第29巻総説#:「黒姫が保管せし黄金の神宝紛失の為、高姫に放逐されて、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの四人が種々苦辛して、南洋諸島に出没し、玉の所在を捜索し、遂に南米高砂島に渡り」
- ↑ 第29巻第1章「アリナの滝」#:「テーリスタンやカーリンスは亜弗利加の筑紫洲へ、玉の所在を探すべく決心して、聖地を出発したるが、途中にてつくづく考ふるに、広袤数千里の筑紫の島に、一人や二人出かけた所で、雲を掴むよりも便りなき話と俄に心機一転し、鷹依姫、竜国別の後に従ひ、一行四人、運を天に任して、南米(高砂島)へ玉の所在を探らむと、数百日の間、海上をさまよひ、大小無数の島々を、残る隈なく探索し、漸くにしてテルの港に安着し」
- ↑ 第29巻第14章「カーリン丸」#:「能く能く見れば傍に神の姿した石が立つて居る。扨て不思議と裏面を見れば、軟かき石像の裏に、『鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの一行四人、改心記念の為に此石像を刻み置く……』と刻り附けてあつた」
- ↑ 第29巻第14章「カーリン丸」#:「持重りのする石像を背中に負うて、たうとうアマゾン河の森林迄帰つて了つたのである」
- ↑ 第29巻第17章「途上の邂逅」#:乙(マールとボールのどちらなのかは不明)のセリフ「カーリン丸から海中に堕ちて、婆アを始め四人の行方が不明となつて、大捜索をしたものだが、何時の間にか、大きな亀の背中に乗つて四人共ゼムの港に悠々と浮みあがり」
- ↑ 第33巻第17章「感謝の涙」#:「大慈大悲の大御心より神素盞嗚大神様が吾子の言依別命様に責任を負はせ、罪を着せ」
- ↑ 第33巻第18章「神風清」#:「明くれば九月八日、高姫、鷹依姫、黒姫、竜国別の四人は嬉々として、麻邇の宝珠を捧じ、錦の宮の八尋殿指して帰り来り」