時雨の森
時雨の森(しぐれのもり)は、霊界物語に登場する森。巴留の国のアマゾンにある大森林。
(「山口の森」が「山口の時雨の森」と呼ばれている箇所が1ヶ所だけある。→「山口の森」を見よ)
概要
- 別名:玉の森[1](第29巻では「玉の森」と呼ばれ、第31巻以降では「時雨の森」と呼ばれている)
- 表記ゆれ:時雨ノ森[2]、玉の森林
- 初出:第29巻総説#・第4章「野辺の訓戒」#(玉の森)、第31巻総説#・第25章「会合」#(時雨の森)
- アマゾン河を挟み、「南の森」と「北の森」がある。
- 数百里の大森林。[3]
- 北の森は、東西300里、南北400里くらいある。[4]
- 時雨の森には兎の種族(月神を祭る民族)が住んでいる(南の森にある「兎の都」)が、モールバンドやエルバンドの怪獣の餌食とされ、ほとんど亡ぼされてしまい、数千頭になってしまった。また、常世会議の後、虎、狼、獅子、熊、大蛇、鷲などの猛獣が常世の国のロッキー山方面から時雨の森に逃げて来て、兎の種族を餌食にしていた。[5]
- 兎の都の中心には岩石で自然に造られた山があり、その山をめぐる広い湖の辺には無数の鰐(武人の群)が棲み、鰐と兎の両族は互いに提携して暮らしていた。鰐は兎の国の軍隊のような用務に従事していた。[5]
- 南の森は、猛獣毒蛇が公然として暴威を逞しくしていた。それに対して北の森は、全ての獣類が奸佞で妖怪変化をなし、その行動は容易に推測できなかった。[6]
- 「時雨」とは降ったりやんだりする雨のこと。
主なエピソード
時雨の森で、言依別命、高姫、鷹依姫ら18人の身魂によって、猛獣、およびモールバンド、エルバンドの怪獣を言向け和す神業が行われる。主に第32巻第2章から第13章で舞台となる。
南の森
- 鷹依姫一行4人(鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンス)はウヅの国の櫟ケ原で猿世彦の怨霊(実は木花姫命)から神命を受けて、アマゾンの玉の森(時雨の森)に向かった[7]。〔第29巻第4章「野辺の訓戒」#〕
- 鷹依姫一行4人はアマゾン河の南岸に上陸し、時雨の森の南の森に入って行った[8] [9]。兎の一群と出会い、兎の長が、月の大神様の神示によって迎えに来たと言う。そして、怪獣(モールバンド、エルバンド)や猛獣を言向け和して安逸に生活できるようにして欲しいと頼む。鷹依姫一行は兎の都に迎え入れられた。〔第32巻第2章「猛獣会議」#~第4章#〕
- それから一年ほど経ったとき、猛獣の軍隊が兎の都に攻め寄せてきた。鰐たちが防戦するが大軍のためかなわない。鷹依姫は言霊を宣り上げた。すると帽子ケ岳の頂上から二つの火光(言霊別命と国依別が発射した琉と球の霊光)がサーチライトのように輝き、猛獣の魔軍はその光に打たれて震えおののき、獅子王の本拠であるアラスの森に敗走した。〔第32巻第5章「琉球の光」#~第6章「獅子粉塵」#〕
- 鷹依姫、竜国別は兎の都の王となり、ここに止まっていた。猛獣たちは帽子ケ岳から発射される霊光によって、我を折り、帰順し、南の森は全く鷹依姫女王の管掌となった。〔第32巻第11章「人の裘」#〕
北の森
- 高姫一行3人(高姫、常彦、春彦)は櫟ケ原で日の出姫(実は木花姫命[10])から受けた神命によって、鷹依姫一行を救うため、玉の森に向かった[11]。〔第29巻第11章「日出姫」#〕
- 高姫一行4人(高姫、常彦、春彦、ヨブ[12])はアマゾン河の北岸に上陸した。ここに鷹依姫一行がいると思い、北の森を進んで行く[13]。高姫は「シクシク原」で白狐に騙され、玉の執着心を心の底から払拭した。〔第32巻第7章「試金玉」#~第10章「暗黒殿」#〕
- 高姫一行がモールバンドに襲われているところへ、安彦、宗彦、秋山別、モリスの一行4人がやってきた。この4人は言依別命、国依別と共に帽子ケ岳の頂上に居たが、言依別命に命じられ高姫一行を救いに来たのである[14]。そこへ帽子ケ岳から琉と球の大火光が落ちて来た。モールバンドはこれに驚いてアマゾン河に逃げ去った。安彦は高姫に、南の森に鷹依姫が猛獣たちを従えていると消息を伝え、一行8人は南の森へ向かう。アマゾン河を渡るとき、幾千万もの鰐が川底から現れて、鰐橋をかけ、何里もの幅広いアマゾン河を無事に渡ることが出来た。北の森の猛獣たちが集まって来て一緒に南岸に渡り、高姫・安彦一行を兎の都まで送った。〔第32巻第11章「人の裘」#~第12章「鰐の橋」#〕
再び南の森
- 南の森の兎の都に、高姫・鷹依姫・安彦一行計12人が集結した。12人は天地に向かって七日間、神言を奏上し、すべての猛獣を言向け和した。また、猛獣に対して律法を定めた。そしてアマゾン河の辺でモールバンドとエルバンドの一族に善言美詞の言霊を宣り上げた。彼らは竜体となって天に昇り、風雨を司る神の使いとなった。〔第32巻第13章「平等愛」#〕
- 一行12人は帽子ケ岳の言依別命と国依別の元に帰り着き、山頂に国魂神を祀り、感謝の祝詞を奏上した。北の森に高姫一行を探しに遣わされた正純彦、カール、石熊、春公の一隊は、三日遅れて帽子ケ岳に到着した。一行は計18人となり、帽子ケ岳を下り、ウヅの都の末子姫の館に凱旋した。〔第32巻第14章「山上の祝」#〕
脚注
- ↑ 第24巻と第26巻に登場する「玉の森」はニュージーランドにある。→詳細は「玉の森」を見よ
- ↑ 1回だけ使われている
- ↑ 第32巻第2章「猛獣会議」#:「此数百里の大森林の棲処に於て」
- ↑ 第32巻第7章「試金玉」#:「高姫は常彦、春彦、ヨブと共に漸くアマゾン河の大森林、時雨の森の北の林に安着せり。此処は東西殆ど三百里、南北四百里位の際限もなき大森林なり」
- ↑ 5.0 5.1 第32巻第2章「猛獣会議」#
- ↑ 第32巻第11章「人の裘」#:「アマゾン河の南岸に展開せる大森林は、猛獣毒蛇の公然として暴威を逞しうするのみなれば、却て之が征服には余り骨を折らなくてもよかつた。只表面的神力を発揮さへすれば獅子、狼其他の猛獣をも悦服させ得たのである。(略)之に反し北の森林はすべての獣類、奸佞にして妖怪変化をなし、容易に其行動、端倪すべからざるものあり。」
- ↑ 第29巻第4章「野辺の訓戒」#:「巴留の国のアマゾン河の河口に出で、それより、河船に乗つて、玉の森林に向へ」
- ↑ 第32巻第1章「万物同言」#:「アマゾン河の南岸に上陸し、時雨の森に向つて宣伝歌をうたひながら」
- ↑ 第32巻第2章「猛獣会議」#:「鷹依姫、竜国別の一行は宣伝歌をうたひ乍ら、数百万年の秘密の籠りたる南岸の森林に進み入る」
- ↑ 第29巻第16章「波の響」#:「高姫さまもどうしてか 櫟ケ原の真中で 天教山に現れませる 木の花姫の御化身 日の出姫の訓戒に 心の底から改心し」
- ↑ 第29巻第12章「悔悟の幕」#:「又もやチンの港よりアマゾン川の河口に出でて、船を溯らせ、玉の森林に進む事となつた」
- ↑ ヨブは第29巻第15章「ヨブの入信」#・第16章「波の響」#で高姫一行に加わっている。
- ↑ 第32巻第7章「試金玉」#:「アマゾン河の北岸に 命からがら辿りつき」「高姫は常彦、春彦、ヨブと共に漸くアマゾン河の大森林、時雨の森の北の林に安着せり」
- ↑ 第32巻第12章「鰐の橋」#:「モールバンドやエルバンド 仮令幾千来るとも 吾言霊の神力に 言向け和し今よりは アマゾン河の底深く 潜みて百の災を 思ひとまらせくれむぞと 言依別の御言もて やうやう此処に来りけり 高姫さまを初めとし 常彦、春彦、今いづこ」