常世彦 (一世)
この項目では、初代常世彦について説明しています。二代目常世彦(幼名・高月彦)については「ウラル彦」をご覧ください。
常世彦(とこよひこ)は、霊界物語に登場する人物。盤古大神の水火(いき)から生まれた神であり[1]、盤古大神の番頭神である[2]。「八王大神」と自称している。
概要
- 初出:第1巻第18章「霊界の情勢」#(八王大神)、第1巻第29章「天津神の神算鬼謀」#(常世彦)
- 表記ゆれ:常世彦命
- 本拠地は常世国[1]であり、居城は常世城である。
- 妻は常世姫 (一世)。
- 息子に高月彦(常世彦 (二世))、娘に初花姫(常世姫 (二世))、五月姫(実は悪狐の化身)がいる。
- 常世彦には八頭八尾の大蛇が、常世姫には金毛九尾の悪狐が憑依している。[3]
- 第4巻第39章「常世の暗」#で帰幽し、息子の高月彦が「常世彦」を襲名した。→「常世彦 (二世)」
- 「常世彦一世」「初代常世彦」等の呼び方は、子供の常世彦と区別するための便宜的な呼び方であって、霊界物語でそのように呼ばれているわけではない。【用例】
- 〈多年の宿願成就して、常世彦命は天の大神をいただき、盤古大神を奉じて地上霊界の神政を握った(略)常世彦命一世は国祖御隠退前に没していたさけ、この時は二世や。八王大神の称号を勝ちとって奢りきっていた〉〔みいづ舎版『大地の母 第10巻』「国祖御隠退」〕
主なエピソード
第2巻
妻・常世姫の暴走によって世界各地は戦乱状態となり、常世彦も手の施しようがなくなった。常世彦は「高尾別(たかおわけ)」と名乗り竜宮城を訪れ、言霊別命に面会した。言霊別命に説諭され、常世彦は改心した。国直姫命の裁断によって常世彦は言霊別命の上位の、竜宮城を総轄する神務に就いた。常世彦は常世姫を改心させるため常世城に帰城した。しかし今まで奉戴していた盤古大神を裏切り国祖の配下に就いたことを常世姫らに責められ、常世彦は止むを得ず、再び盤古大神を奉戴して、国祖に反抗することとなった。〔第2巻第49章「猫の眼の玉」#〕
常世彦は魔軍を率いて鳥船に乗り竜宮城へ押し寄せた。国祖に強圧的に面会を求め「汝は偽の国治立命だ」と詰め寄った。竜宮城の神司・大足彦が国の真澄の鏡で常世彦以下の魔軍を照らすとたちまち邪霊の正体を現した。国祖は常世彦に「常世姫がわが教えを拒むなら常世城を明け渡して根底の国へ去れ。さもなくば神司らに常世姫を殺させる」と厳格なる神示を与えた。常世彦は常世城に帰城し、国祖の神示を常世姫に伝えるが、常世姫は鼻先で笑い、逆に常世彦の不甲斐なさを嘆いた。〔第2巻第50章「鋼鉄の鉾」#〕
第3巻
常世彦は太白星の12個の玉のうち、青雲山の黄金の玉〔第3巻第19章「楠の根元」#~第20章「晴天白日」#〕、ヒマラヤ山の純銀の玉〔第3巻第21章「狐の尻尾」#〕、天山の黄色の玉〔第3巻第22章「神前の審判」#〕を奪い取ろうとする。しかしいずれも失敗した。
常世彦は魔軍を率いてローマ(12の山の一つ)を攻撃した。ローマを守るため他の11の山から八王神がローマに集まった。しかし12の八王神が互いに嫉視反目して同志打ちを始めた。常世彦の魔軍は各地に残された八頭神を煽って八王神に反旗を揚げさせ、独立を計るように仕向けた。このことが世界の国々が分立割拠する端緒となった。〔第3巻第27章「不意の昇天」#〕
ローマは落城寸前であったが、竜宮城から言霊別命がローマに駆けつけたことにより再び勢力を盛り返したため、常世彦の魔軍は退却した。〔第3巻第28章「苦心惨憺」#〕
常世彦は12の山の八王神・八頭神を天使長(大八洲彦命)の管轄から離れさせ自分の配下にし、八王八頭の連合団体を作ろうと謀った。12のうち10まで常世彦の配下に入ったが、残りの2つの山(万寿山と天山)だけは配下に入らなかった。〔第3巻第42章「常世会議」#〕
10ヶ所の八王八頭を率いる常世彦は数多の魔軍と共に数百数千の磐船に乗り竜宮城と聖地エルサレムの上空から火弾を投じて攻撃した。天使長・大八洲彦命は国祖の禁を破り「破軍の剣」を使って魔軍に反撃。魔軍はほとんど滅亡してしまった。〔第3巻第43章「配所の月」#〕
大八洲彦命は免職され、新たに高照姫命が天使長に就いた。常世彦は再び魔軍を率いて聖地を攻撃。高照姫命はまたもや「破軍の剣」を使い魔軍に反撃した。〔第3巻第44章「可賀天下」#〕
高照姫命も免職となり、常世彦は三代目の天使長は自分に任命されると期待したが、案に相違し、沢田彦命が天使長に任命された。〔第3巻第45章「猿猴と渋柿」#〕
第4巻
常世彦は世界の神々を常世城に集めて〈世界神人の国魂会議〉を開いた。議題は武備の撤廃と八王神の廃止である。実はこの会議は国祖を追放して常世彦が世界の支配者になろうという陰謀が秘められていた。〔第4巻第1章「常世会議」#~第32章「免れぬ道」#〕 →詳細は「常世会議」
常世会議での罪を国祖に叱責された第五代天使長・広宗彦が辞職[4]し、その後任に桃上彦(広宗彦の弟)が選ばれた。その就任披露会の席上、国祖の無限の仁慈に感じた常世彦は改心した。〔第4巻第33章「至仁至愛」#~第34章「紫陽花」#〕
天使長・桃上彦の失政によって聖地は再び混乱状態に陥った。聖地の惨状を知った常世彦は不安を感じて嘆きの声を漏らした。その虚を狙って八岐の大蛇や邪鬼が「日の大神(イザナギ)の神使」だとか「大国治立命」だと偽って常世彦に語りかけ、勇猛心を発揮して聖地の救援に向かえということを命じた。それを信じた常世彦は数多の八王神を率いて聖地へ駆けつけた。その光景を見た桃上彦は常世彦がまたもや悪心を起こして攻撃に来たのだと思い込み国祖に報告した。国祖は、こうなった原因は汝にある、と叱責。罪を感じた桃上彦は天使長を辞職した。〔第4巻第35章「頭上の冷水」#〕
聖地エルサレムに八百万の神人が集まり、後任天使長選定の会議が開かれた。全会一致で常世彦が選ばれた。天使長になろうとして苦心して時には天使長になれず、一切の欲望を捨てて誠心誠意に立ち帰った今、諸神人の信望を受けて天使長になることが出来た。〔第4巻第37章「時節到来」#〕
常世彦・常世姫夫婦に高月彦と初花姫という子供が出来た。その後、偽の高月彦(大蛇の変化)が現れる。また、常世姫がもう一人女児を産んだ。その子は初花姫に瓜二つで五月姫と名付けられた。〔第4巻第38章「隙行く駒」#〕
二人の高月彦はそっくりで、真偽の区別がつかなかった。常世彦はそのことで日夜煩悶し、ついに病となって帰幽してしまった。偽の高月彦は大蛇の正体を現して空の彼方に消え去った。〔第4巻第39章「常世の暗」#〕
真の高月彦は父の後を継いで第七代天使長となった。五月姫は悪狐の正体を現して逃げ去ったが、そのショックで常世姫も帰幽してしまった。〔第4巻第40章「照魔鏡」#〕
高月彦は父の名「常世彦」を襲名し、妹の初花姫は母の名「常世姫」を襲名した。〔第4巻第41章「悪盛勝天」#〕