大道別
この項目では、大道別の仮の変名である道彦について説明しています。その他の道彦については「道彦 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
大道別(おおみちわけ)は、霊界物語に登場する人物。「道彦(みちひこ)」と名乗って常世城の従僕となり、常世会議で八王大神常世彦の陰謀を打ち破る。しかし神策鬼謀を駆使したため国祖に叱責され、責を負って自決。その霊魂は「日の出神」「琴平別神」として甦った。
本項では「大道別」及び「道彦」について解説する。 →「日の出神」や「南天王」(日の出神が顕恩郷で名乗った名前)については「日の出神」を、「琴平別神」や「大きな亀」(琴平別神の化身)については「琴平別神」を見よ
目次
概要
- 初出:第3巻第30章「抱擁帰一」#(大道別)、第3巻第35章「宝の埋換」#(道彦という仮名に改名する[1] [2]。ただし名を変じた後も、大道別という名も併用されている)
- 第3巻と第4巻だけに登場する。それ以降は日の出神や琴平別神としての活動になる。
- もともとはモスコーの八王神・道貫彦に仕える侍従長(または宰相)であった。[3] [4] [5]
- 八王大神常世彦と、容貌、骨格、身長、態度などがそっくりである。そのため道彦は常世会議で、急病で倒れた常世彦の替玉となる。[6]
- 「高皇産霊神の御子」であり、「神伊弉諾大神の御子」でもある。[7] [8] [9]
- 自決した後、その四魂のうち和魂・幸魂は琴平別神となり海上を守護し、荒魂・奇魂は日の出神となり陸上を守護することとなった。[10]
関係の深い人物
主なエピソード
大道別は、モスコーから、南高山、長高山、高白山(アラスカ)、スペリオル湖を経て、常世城に入る。
第3巻
モスコーで大道別は、春日姫(モスコーの八王神・道貫彦の娘)に化けた銀毛八尾の悪狐の首を破軍の剣で斬った時に、その血が口に入ってしまった。そのため全身の血が汚れて、明察・勇猛な大道別も、精神に異常を来し、発狂者となり、聾唖、痴呆となってしまった[13] [14]。〔第3巻第31章「竜神の瀑布」#~第32章「破軍の剣」#〕
大道別はモスコーを出て、長い歳月、各地を漂浪する。南高山の谷間に転落し、頭を負傷、多量に出血する。その出血によって精神や、耳、目、口は回復した。南高山の神司(玉純彦、高山彦ら)に発見され、南高山の城塞に連れて行かれる。八島姫(南高山の主神・大島別の娘)の身代わりとして荒河明神の生贄になるが、逆に荒河明神を退治した。そこへ女神(国直姫命)が天から下り──汝はこれより仮に道彦と名乗り、各地を巡って悪神の陰謀を探れ──と命じた。〔第3巻第33章「巴形の斑紋」#~第34章「旭日昇天」#〕
大道別は道彦と改名し、痴呆で聾唖のふりをして、南高山の城塞を出た。八島姫は生命の恩人である道彦の妻になりたいと思っており、道彦の後を追った。八島姫が後ろから声をかけるが、道彦は聾唖で聞こえないふりをして先に進んで行く。ついに八島姫は、生きて恋に苦しむよりは…と自決しようとするが、白狐が現れて自決を阻止する(道彦の身辺を守っていた白狐の高倉・旭)。すると天使(国直姫命の使神)が現れて、使命を伝えた。二人の使命はどちらも悪神の計画を探って国直姫命に報告せよというものだが、互いに相手の使命は知らされなかった。〔第3巻第35章「宝の埋換」#~第36章「唖者の叫び」#〕
道彦は長高山、高白山で邪神の謀計を打ち破り、常世の国のスペリオル湖を渡り、常世城に入って従僕となった。抜擢されて八王大神常世彦の給仕役となり、邪神の計画を総て探知した。(八島姫も常世城に入り、常世姫の侍女となり、邪神の一切の計画を探った)〔第3巻第36章「唖者の叫び」#~第39章「乗合舟」#〕
第4巻
道彦は常世城の城門の守衛となり、聾唖・痴呆・強力(ごうりき)の者として[15]常世彦に仕えていた。常世会議の開催前、道彦は密使として霊鷹(鷹依別が身を変じた)を聖地エルサレム(地の高天原)へ遣わし、天使長・広宗彦へ密書を送った。その密書には──今回の会議の真意は、八王大神常世彦が神界の主宰者になろうという大野心が起こったもので、大自在天大国彦との密議によるものである。常世彦は会議で聖地を常世彦の管理下に移した上で、国祖国治立命の代わり盤古大神塩長彦をその地位に就かせ、自ら天使長となって、神政を自分のものにしようとしている。もし聖地から代表者が来ない時は、神界の攪乱者として聖地を攻略する計画だ。行成彦(広宗彦の弟)を代理として常世会議に派遣すべし──との文意が記されていた。広宗彦はこの助言に従い行成彦を常世会議に派遣する。〔第4巻第2章「聖地の会議」#~第3章「使臣の派遣」#〕
会議の初日、聖地の代表者・行成彦の演説(八王廃止に反対)を聞いた常世彦は憤り、行成彦を罵倒して退場を命じた。常世彦は行成彦を壇上から蹴り落とそうとするが、従者の道彦が突然常世彦の腕を固く掴んだ。大鷹彦と美山彦が道彦を蹴り落とすが、道彦と思ったのは行成彦だった。道彦も行成彦も姿が消えてしまう。真の行成彦は依然として自席に座っており、道彦は常世彦の館の正門を守っていた。(消えた道彦と行成彦は、白狐が化けた偽者)〔第4巻第5章「議場の混乱」#〕
四日目に常世彦が急病で倒れてしまい、会議は一週間停会となった。常世姫は、常世彦に容貌がそっくりな道彦[6]に常世彦の服を着させ、替玉にして、会議を再開する。会議で武装撤廃は可決されたが、八王廃止の議案は、常世彦夫妻の意に反して否決となった。病気の常世彦は議場に現れ、武装撤廃の中止を厳命するが、壇上の常世彦(道彦が化けた偽の常世彦)は、そこに現れた常世彦(真の常世彦)は道彦という発狂者だ、と(ウソを)叫び、武装撤廃を実行させた。(道彦は自分は聾唖・痴呆だと常世彦夫妻に信じ込ませていた、つまり夫妻をウソで騙していた)〔第4巻第22章「窮策の替玉」#、第27章「阿鼻叫喚」#〕
聖地に戻ると、常世彦が国祖に、大道別(道彦)・鬼武彦らが神策鬼謀によって常世会議を破壊したことを訴え出ていた。もともと彼らは国祖が命じて、常世城に忍び込ませ、邪神の陰謀を阻止させたものであるが、(ウソをつくなど)天則を破るような行動を命じたわけではなく、言向け和せと命じたのであった[16]。国祖は大道別を叱責する。大道別はその責任を取り、竜宮海で投身自殺した。その和魂・幸魂は海上を守護する琴平別神となり、荒魂・奇魂は陸上を守護する日の出神となった[10]。〔第4巻第32章「免れぬ道」#〕
脚注
- ↑ 第3巻第34章「旭日昇天」#:国直姫命のセリフ「それまでは汝は仮に道彦と名乗り、かつ聾唖となり、痴呆と変じて神業に従事せよ」
- ↑ 第3巻第35章「宝の埋換」#:「大道別は道彦と改名し」
- ↑ 第4巻第27章「阿鼻叫喚」#:八王大神常世彦のセリフ「その実はモスコーの八王に仕へたる道彦といふ発狂者なり」
- ↑ 第3巻第31章「竜神の瀑布」#:畠照彦・竹友別のセリフ「貴下は八王神に仕へまつる侍従長の顕職にありながら」
- ↑ 第4巻第31章「傘屋の丁稚」#:「なほモスコーの宰相たりし大道別の永年の苦心より」
- ↑ 6.0 6.1 第4巻第22章「窮策の替玉」#:「八王大神と容貌、骨格、身長、態度、分厘の差もなき道彦に、八王大神の冠を戴かせ、正服を着用せしめて、身代りとすることの苦策を企てける」
- ↑ 第6巻第23章「諸教同根」#:「また高皇産霊神の御子たりし大道別は、日の出神となりて神界現界に救ひの道を宣伝し」
- ↑ 第8巻第11章「海の竜宮」#:「御稜威輝く伊弉諾の 神の命の御子と生れし 大道別の命の後身 日の出神はやうやうに」
- ↑ 第8巻第12章「身代り」#:「吾は神伊弉諾の大神の御子大道別命、今は日の出神の宣伝使」
- ↑ 10.0 10.1 第4巻第32章「免れぬ道」#:「その和魂、幸魂はたちまち海神と化しぬ。国祖はこれに琴比良別神と名を賜ひ永遠に海上を守らしめたまひ、その荒魂、奇魂をして日の出と名を賜ひ、陸上の守護を命じたまひぬ」
- ↑ 第5巻第6章「南天王」#:「顕恩郷の大王神なる南天王は、その実大道別の分魂で、日の出神であつた」、第7巻第1章「日出山上」#:「暗夜を開く大道別命の分霊 日の出神は朝露を」、第29巻第19章「生霊の頼」#:「大道別の分霊 琴平別の亀の背に」、第32巻第17章「悔悟の歌」#:「大道別の分霊 琴平別の化身なる 八尋の亀に救はれて」
- ↑ 第10巻第25章「木花開」#:日の出神の歌「日の出神に事依さし 大道別と名乗らせて」
- ↑ 第3巻第32章「破軍の剣」#:「道別は春日姫の悪狐の首を斬り捨てたるさい、そのほとばしる血の一滴を口に呑み、その血は身体一面にひろがり、さしも明察にして勇猛なりし大道別も精神に異状をきたし、発狂者となりにける」
- ↑ 第3巻第33章「巴形の斑紋」#:「邪神の血液の一滴口中に飛び入り、ために全身の血液けがれて聾唖となり痴呆となり、かつ発狂者となりて」
- ↑ 第4巻第3章「使臣の派遣」#:「常世彦に見出され、聾唖痴呆の強力者として抜擢され、いまは城門の守衛となつてゐる」
- ↑ 第5巻総説 嵐の跡#:「常世城の会議における森鷹彦に変装せる大江山の鬼武彦をはじめ、大道別、行成彦および高倉、旭の奇策を弄し、邪神の奸策を根底より覆へしたるごとき変現出没自在の活動は、決して国祖の関知したまふところに非ずして、聖地の神人の敵にたいする臨機応変的妙案奇策にして、よくその功を奏したりといへども、天地の律法には『欺く勿れ』の厳戒あり、神聖至厳なる神人の用ふべからざる行為なれば、その責はひいて国祖大神の御位置と神格を傷つけた。現に大道別、森鷹彦、鬼武彦らの神策鬼謀は、国祖の直命にあらず、国祖は至仁至直の言霊をもつて邪神らを悔い改めしめ、言向和さむとの御聖意より外なかつた。しかるに血気に逸り、忠義に厚き聖地の神々は、律法の如何を顧みるに遑なく、暴に対するに暴を以てし、逆に対するに逆を以てし、不知不識のあひだに各自の神格を損ひ、国祖の大御心を忖度し得なかつたためである」