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− | 後に残ったアール夫婦は、書き置きを信じ、[[国玉依別命]]、[[玉竜姫命]]と名を変え、神司として鏡の池の神に仕えた。そして神殿を谷の上に橋のように造った。これを「[[懸橋御殿]]」と呼ぶ。 | + | 後に残ったアール夫婦は、書き置きを信じ、[[国玉依別命]]、[[玉竜姫命]]と名を変え、神司として鏡の池の神に仕えた。そして神殿を谷の上に橋のように造った。これを「[[懸橋御殿]]」と呼ぶ。<ref>鷹依姫・竜国別がアール夫婦に国玉依別・玉竜姫という名を与えたことは、鷹依姫らにしてみれば、玉を奪い取るために言った利己的なウソに過ぎない。しかし神界から見たら、鷹依姫らを使って神が行ったことであり、神意によって2人に名を与えたことになっているのだ…という意味の説明が{{rm|29|9|俄狂言||a181|a194}}に書いてある。「因に云ふ(略)神界より見れば確かになつて居るのである」</ref> |
国玉依別命の前に狭依彦の神霊が現れ、鷹依姫らの悪事を明かす。そして、黄金の玉は瑪瑙の玉とすり替えられた、と告げる。しかし国玉依別命は、月照彦神の神霊が懸かっている以上は、たとえ団子石でも、そちらの方が重宝だ、黄金の玉には少しも執着はない、と答えた。これより夫婦は鏡の池の傍らに宮を造り、狭依彦の霊を祀った。懸橋御殿の神徳は輝き、夫婦の盛名は高砂島全部に喧伝された。〔ここまで{{rm|29|1|アリナの滝}}~{{rms|29|2|懸橋御殿}}〕 | 国玉依別命の前に狭依彦の神霊が現れ、鷹依姫らの悪事を明かす。そして、黄金の玉は瑪瑙の玉とすり替えられた、と告げる。しかし国玉依別命は、月照彦神の神霊が懸かっている以上は、たとえ団子石でも、そちらの方が重宝だ、黄金の玉には少しも執着はない、と答えた。これより夫婦は鏡の池の傍らに宮を造り、狭依彦の霊を祀った。懸橋御殿の神徳は輝き、夫婦の盛名は高砂島全部に喧伝された。〔ここまで{{rm|29|1|アリナの滝}}~{{rms|29|2|懸橋御殿}}〕 |
2020年5月12日 (火) 08:17時点における最新版
鏡の池(かがみのいけ)は、
(2) 霊界物語第8巻第9章の章題。
(3) 天恩郷にかつてあった池。[1]
本項では(1)について解説する。
概要
- 別名:言霊の池[2] [3]
- 初出:第8巻第8章「改心祈願」#
- 鏡の池は、蛸取村の山奥、アリナの滝から数町(数百m)上流にある岩窟の中にある直径1丈(約3m)ばかりの円い池。[4]
- 高砂島第一の神秘的な霊場。[3]
主なエピソード
(1) 狭依彦
【第8巻第9~10章】
俄宣伝使の狭依彦(猿世彦)は鏡の池で禊をし、信者に洗礼を施した。聞きかじりの教理で説教をする。信者の黒彦と食べ物のことで下らない問答をしていると、池の水がブクブクと泡立ち、水の中から「やり直せ、宣り直せ」と声がする。今度は鳥の問答をすると「もっと心をとり直せ」と唸り声が聞こえてくる。唸り声は刻々と高まり、大地震のように大地一面が動き出した。狭依彦は腰を抜かしながらもその場で祈願を凝らしていた。〔第8巻第9章「鏡の池」#〕
鏡の池の声は狭依彦に対して説教を続けた。そして狭依彦に、心底からの改心を促し、自分は月照彦神だと名乗る。狭依彦らは腰が立つようになり、鏡の池に神言を奏上した。〔第8巻第10章「仮名手本」#〕
(2) 鷹依姫一行
【第29巻第1~2章】
黄金の玉を探すため鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの4人は高砂島へ渡る。そして昔、狭依彦が三五教を開いた旧跡地・鏡の池の岩窟に行き、鷹依姫は岩窟の奥に隠れて生神となり、竜国別が審神者となってインチキ宗教を開き──鏡の池に月照彦神が現れ、玉を献上すれば御神徳が得られる──と宣伝した。高砂島の住民は玉を持って鏡の池に列をなし、一年ほどで幾百もの玉が集まった。しかし目当ての黄金の玉はなかった。
ヒルの国テーナの里の酋長アールは、先祖代々伝わる黄金の玉を持ってやってきた。鷹依姫はそれが目当ての玉だと思い込み(実は別の玉)、その玉を他の玉とすり替える。そしてアール、アルナ姫の夫婦に「汝はこれよりこの庵に永住して、神司となれ」と書き置きを残し、玉を持って鷹依姫ら4人は逃げ出してしまった。
後に残ったアール夫婦は、書き置きを信じ、国玉依別命、玉竜姫命と名を変え、神司として鏡の池の神に仕えた。そして神殿を谷の上に橋のように造った。これを「懸橋御殿」と呼ぶ。[5]
国玉依別命の前に狭依彦の神霊が現れ、鷹依姫らの悪事を明かす。そして、黄金の玉は瑪瑙の玉とすり替えられた、と告げる。しかし国玉依別命は、月照彦神の神霊が懸かっている以上は、たとえ団子石でも、そちらの方が重宝だ、黄金の玉には少しも執着はない、と答えた。これより夫婦は鏡の池の傍らに宮を造り、狭依彦の霊を祀った。懸橋御殿の神徳は輝き、夫婦の盛名は高砂島全部に喧伝された。〔ここまで第29巻第1章「アリナの滝」#~第2章「懸橋御殿」#〕
(3) 高姫
【第29巻第8~11章】
高姫一行が鏡の池にやって来ると、池の神霊(月照彦神)が呻り出して高姫の所業を非難するが、高姫も悪口を言い返す。高姫は、この池の神霊は月照彦神ではなく劫を経たスッポンのお化けだと言って石を池に投げ込む。すると大地は大地震のように震い出し、高姫はビリビリ震えてその場にへたばってしまった。〔第29巻第8章「高姫慴伏」#〕
人事不省に陥った高姫を、懸橋御殿の奉仕者たちが介抱し、正気を取り戻したが、しかし高姫は理屈を捏ねて自分が危機に陥ったことを否定し、自分は日の出神の生宮で偉大であることを吹聴し、また、黄金の玉を渡すよう高飛車に要求した。〔第29巻第9章「俄狂言」#〕
高姫は憎まれ口を叩き続ける。奉仕者の一人・国が神懸かり状態になり「玉は自転倒島の冠島沓島に隠してある」と告げるが、高姫はそれはウソの神懸かりだと決めつけ相手にしない(本当は冠島沓島に隠してある)。〔第29巻第10章「国治の国」#〕
高姫は神前に駆け上がり扉に手をかけた。すると狭依彦神が煙のように現れ、高姫の首筋を握って撥ね飛ばした。気絶した高姫は正気に復すと、今度は大男に放り上げられたり、落とされたり、なぶりものにされる。これは鏡の池の月照彦神であった。高姫は真っ青な顔で懸橋御殿を飛び出し、アリナ山を指して登って行く。供の常彦、春彦もその後を追い駆けて行った。〔第29巻第11章「日出姫」#前半〕
(4) 国照別一行
【第69巻第14~16章】
国照別(ウヅの国の国司・国依別の子)は供の浅公と共にアリナ山を下り、アリナの滝の懸橋御殿に辿り着いた。滝に禊に行くと老中・伊佐彦の手下の捕り手が14~5人おり、世継である国照別を連れ戻そうとするが、国照別は逆に自分の子分になってウヅの国の立直しに協力するよう呼びかける。そのうち3人(駒治、市公、馬公)だけが国照別に従い、残りの捕り手は一目散に逃げて行った。一行5人は鏡の池に向かう。〔第69巻第14章「暗枕」#~第15章「四天王」#〕
国照別は鏡の池で宣伝歌を歌った。そして浅公は子分4人の中の上下を鏡の池の神に問うと、鏡の池は「実力のある者が上になるべし」と答え、駒治を一の子分と定めた。浅公は不満を訴え駒治と相撲を取る。その結果、駒治が一の子分と決まった。照国別一行は山を下り蛸取村の海岸に出た。〔第69巻第16章「波動」#〕
脚注
- ↑ 水鏡「天恩郷の命名」#
- ↑ 「言霊の池」という呼び方は第69巻第16章「波動」#だけに出る。
- ↑ 3.0 3.1 第69巻第16章「波動」#:「国『オイ、乾児共、此鏡の池は一名言霊の池と云つて高砂島第一の神秘的な霊場だ。真心を以てこちらから言霊を発射すれば、キツト神様が言霊を以て答へて下さるさうだが」
- ↑ 第8巻第8章「改心祈願」#、第29巻第1章「アリナの滝」#
- ↑ 鷹依姫・竜国別がアール夫婦に国玉依別・玉竜姫という名を与えたことは、鷹依姫らにしてみれば、玉を奪い取るために言った利己的なウソに過ぎない。しかし神界から見たら、鷹依姫らを使って神が行ったことであり、神意によって2人に名を与えたことになっているのだ…という意味の説明が第29巻第9章「俄狂言」/a181-a194#に書いてある。「因に云ふ(略)神界より見れば確かになつて居るのである」