宇宙人

出典: 出口王仁三郎と霊界物語の大百科事典『オニペディア(Onipedia)』

宇宙人(うちゅうじん)という言葉は出口王仁三郎の著述には登場しない。しかしその概念はある。本項では宇宙人のような存在について解説する。

概要

世間一般で「宇宙人」という言葉が使われるようになったのは第二次大戦後のことである。戦前は星ごとに「火星人」「金星人」等と呼んでいた。それらを包括する「宇宙人」という言葉はなかった。王仁三郎も「宇宙人」という言葉は使っていない。

「宇宙人」に似た言葉で「宇宙人類」という言葉が戦前に使われていた。その「宇宙」とは〈天地四方と古往今来〉[1]という意味であり、「人類」(地球人)を大きく装飾するための言葉である。つまり「宇宙人類」とは地球人のことであり、地球外生命体のことではない。

存在

次の引用文(神示の宇宙)から分かるように、王仁三郎は宇宙人(地球以外の星に住む、何らかの肉体を持った知的生命体)の存在を否定している。しかし神霊(肉体を持たない生命体)の存在は肯定している。

それらの宇宙(注・小宇宙)にも、ほとんど我々の地球上の人間や動植物と同じ様なものが生息してゐない。ただし此の我が小宇宙に於ける、地球以外の星には神々は坐《まし》ませども、地球上に棲息する如き生物は断じてゐない。

これは王仁三郎が宇宙人のようなものについて直接言及したほぼ唯一の文章である。しかし次に説明するように、戦前出版された版では、宇宙人の存在を肯定していたのだが、校正時に、宇宙人を否定する文章に直している(校正された版が出版されたのは戦後)。

第4巻御校正本(339頁)。〈ゐる〉が〈ゐない〉に校正されている。

上の引用文内には校正箇所が次の2ヶ所ある。(画像参照)

【校正箇所①】

  • 校正前:〈生息してゐる。〉
  • 校正後:〈生息してゐない。〉

【校正箇所②】

  • 校正前:〈生物はゐない。〉
  • 校正後:〈生物は断じてゐない。〉

①の校正前は〈地球上の人間や動植物と同じ様なものが生息してゐる。〉で、肉体を持った宇宙人の存在を肯定していたことになる。

しかし②は〈地球上に棲息する如き生物はゐない。〉なので、①と矛盾する。校正時に①は〈ゐない〉に直し、②には〈断じて〉を挿入することで、〈ゐない〉を強調している。

①の〈生息してゐる。〉は単なる誤記・誤植の可能性もあるが、校正時に意味を真逆に変えた箇所は全巻を通してほとんど見当たらない。したがって王仁三郎が何らかの意図があってわざと、初版では「ゐる」と記述し、校正時に「ゐない」に直した可能性もある。

(初版では意図的に不正確な記述を行い、校正時に正した例として「信天翁」がある→「変性女子は偽者」参照)

霊界物語の登場人物

霊界物語に登場する人物の中に、他の天体の神霊、または他の天体から地球にやって来たと説明されている者が何人かいる。

  • 盤古大神・塩長彦:日の大神(伊邪那岐命)の直系で、太陽界から地球に降誕した神人。日の大神の油断によって、〈手の俣〉から潜り出て、支那(中国)の北方に降った。温厚無比の正神。[2]
  • 大自在天・大国彦天王星から地上に降臨した、豪勇の神人。[2]
  • 生代姫命:太白星(金星)の精霊。[3]
  • 武満彦命破軍星(北斗七星)の精霊。[4] [5]
  • 神国別命佐倉姫木星の精が降って現れた。[6]
  • 三ツ葉彦命真道姫三ツ星(オリオン座の三ツ星)の神霊に感じて三ツ葉彦命を生んだ。[7] (三大教の教主で、五大教と合併して三五教が誕生した後、埴安姫神に改名した[8]。また広道別、太玉命と名を変えた[9]
  • 東雲別命白雲別命青雲別命オリオン座の三ツ星から降った。[10] (東雲別は東彦天使、石凝姥神に改名。白雲別は北光天使、天之目一箇神、無住居士に改名。青雲別は高彦天使、天之児屋根命に改名)
  • タクシャカ竜王海王星から現れた。[11]
  • 水星の霊石:人格のある存在ではないが、〈水星の精〉から生まれた霊石である。汚れた地上に置かれたため、警告のため稚桜姫命に祟って病気にさせた。[12]

関連項目

  • タコマ山:太白星の玉が鎮祭された12の山の一つ。現代アメリカのレーニア山に相応する。1947年にレーニア山上空を円盤型物体が飛行しているのが目撃され「空飛ぶ円盤(flying saucer)」と名付けられた。これが現代のUFO観の元となっている。
  • 天の鳥船:単なる飛行機ではなく、宇宙人の乗り物(いわゆるUFO)とも思える描写がある。→「天の鳥船#天国での磐船
  • スエデンボルグ:王仁三郎の霊界観はスエデンボルグの霊界観はほとんど同じである。スエデンボルグは地球以外の惑星の霊界と交信した著書がある。
  • 神示の宇宙

外部リンク

脚注

  1. 『大日本国語辞典 あ-き』大正4年(1915年)、NDLDL蔵書 PID:1871514/1/211
  2. 2.0 2.1 第02巻総説#
  3. 第2巻第39章太白星の玉#:〈太白星の精霊生代姫命はこの声を聞き〉
  4. 第3巻第30章抱擁帰一#:〈たちまち破軍星の精霊なる武満彦命天上より降りきたり〉
  5. 第3巻第32章破軍の剣#:〈破軍星の精魂たる武満彦命降りきたり、破軍の剣をもつて空中を切り捲りたまふにぞ〉
  6. 第2巻第5章黒死病の由来#:〈長白山の山腹に古くより鎮まります智仁勇兼備の神将に、神国別命、佐倉姫の二神人があつた。(略)この神人は国治立命の御系統にして、木星の精降つてここに顕はれたのである〉
  7. 第3巻第15章神世の移写#:〈玉ノ井の宮は真道姫真心をもつて大神に仕へ、かつ霊鷲山に日夜かよひて神慮を伺ひ、つひに三ツ星の神霊に感じて三ツ葉彦命を生み(略)三ツ葉彦命は、天の三ツ星の精魂の幸はひによりて地上に降り、真道姫の体に宿りて玉ノ井の邑に現はれける〉
  8. 第6巻第36章三五教#
  9. 第6巻第42章途上の邂逅#
  10. 第3巻第16章玉ノ井の宮#:〈三ツ葉彦命は天にむかつて救援の神軍を遣はされむことを祈願しけるに、たちまち天上の三ツ星より東雲別命、白雲別命、青雲別命の三柱の軍神、雲に乗りて万寿山に降りきたり〉
  11. 第60巻第9章夜光玉#伊太彦の歌〈天界の 海王星より現はれし 汝タクシャカ竜王は 神の御国を汚さむと 胞場の身魂に憑依して〉
  12. 第2巻第14章水星の精#:〈ヨルダン河の上流に、水星の精より出でたる長方形にして茶褐色を帯べる烏帽子型の霊石あり、これを掘りだし持ち帰り、汚れたる地上に奉置し、その上にあまたの岩石を積みたり。水星の霊苦しみにたへず、これを諸神司に知らさむがために稚桜姫命に病を発せしめ、もつて警告せるなり〉