アーメニヤ
アーメニヤ(あーめにや)は、霊界物語に登場する都市(あるいは国)。ウラル教の三つの拠点の一つ(他はウラル山とコーカス山)[1]。
概要
- 初出:第5巻総説嵐の跡#、第5巻第10章「奇々怪々」#
- ウラル山の麓にアーメニヤがある。[2]
- アーメニヤの近くにコーカス山がある。[3]
- アルタイ山より西南にアーメニヤがある。[4]
- 神代におけるエルサレムは、トルコの東方(現代のエルズルム)にあり、アーメニヤと南北相対していた。[5]
- 神代のアーメニヤ、コーカス山、エルサレム、メソポタミヤ、ペルシャ、インドの一部は、富士地帯のように、雲の上に高く突出していた。富士山の陥没と同時に、この地も今のように陥落した。[6]
- アーメニヤとは「天」または「高天原」という意味である。[6]
- 第64巻上では「アーメニヤ」ではなく「アルメニヤ」と表記されているが、それは神代のアーメニヤではなく、現代のアルメニアを指している。[7]
主なエピソード
- 国祖隠退後、常世彦(後のウラル彦)は聖地エルサレムを捨て、アーメニヤの野に神都を遷した。これ以降、アーメニヤが「地の高天原」となる。[8]
- 青雲山の守護職・吾妻彦は、ウラル彦の命で、青雲山の国魂である黄金の玉をアーメニヤに遷すことにした。しかし黄金の宮の宮司・玉守彦は御神慮に適わないとして反対する。吾妻彦は三五教の宣伝使・高彦天使に説示され、黄金の玉を聖地エルサレムに遷した。[9]
- ウラル彦・ウラル姫は盤古神王と偽称し、ウラル山・アーメニヤの2ヶ所に根拠地を構え、第二の策源地としてコーカス山に都を開いた。しかし三五教の宣伝使によってコーカス山を追われ、再びウラル山・アーメニヤに逃げたが、アーメニヤに近いコーカス山に神素盞嗚大神が君臨したため、美山彦・国照姫にアーメニヤを守らせ、自分は黄泉島に渡って第二の作戦計画をめぐらした。アーメニヤの神都には、美山彦・国照姫がウラル彦・ウラル姫と偽称して都を死守していた。[10]
- ウラル教の半ダース宣伝使は、竜宮島での宣伝を終えて、アーメニヤに帰ろうとした。[11]
アーメニヤ騒動
第39巻以降、アーメニヤに騒動が起きて凋落したことが登場人物の会話の中で語られている。
基本的には、バラモン教が武力侵攻したため住民が離散し町が滅びたという騒動である。(ただしタールは三五教の影響で離散したと話している)
- (タールの話)コーカス山から三五教の北光神がやって来て言霊戦を開いたため、家族は離散した。[12]
- (春公の話)今はアーメニヤの本山は孤城落日、わずかに残った信者が神館を守る。月の国のカルマタ国へ本拠地が移り、常暗彦(ウラル彦の子孫)が教主となって勢力を盛り返している。[13]
- (松公の話)大宜津姫(ウラル姫のこと)がコーカス山から逃げ帰って来てから間もなく、アーメニヤはバラモン教の一派に襲われ、住民は散乱し、ウラル彦・ウラル姫一族は姿を隠した。住宅は焼き滅ぼされ、ウラル河の辺りに武士の館が少しばかり残されたのみ。住民はウラル河に身を投じたり、遠国に落ち延びたり、餓死したりする者もあった。[14]
- (楓、珍彦の話)アーメニヤの大騒動によって親子離散した。[15]
- (晴公の話)バラモン教の大棟梁鬼雲彦の部下どもに打ち滅ぼされた。[16]
離散家族の再会
アーメニヤ騒動によって離散した家族が再会するシーンが、第39巻から第44巻にかけて複数出て来る。
- 国公(照国別の弟子)と、弟タール(春公) …第39巻第12章「種明志」#
- 照国別(半ダース宣伝使の梅彦)と、妹の菖蒲、父・樫谷彦、母・樫谷姫 …第39巻第14章「清春山」#、第16章「親子対面」#
- 岩彦(半ダース宣伝使のリーダー、ヤッコス)と、春公(テームス峠のバラモン教の関守) ただし春公が告白しただけで岩彦と会ってはいない。 …第40巻第16章「春駒」#~第17章「天幽窟」#
- 治国別(半ダース宣伝使の亀彦)と、弟の松公(マツ公、松彦) …第43巻第14章「忍び涙」#、第17章「反歌」#、第44巻第2章「月の影」#
- 晴公(治国別の弟子、俊彦)と、妹・楓、父・珍彦、母・静子 …第44巻第9章「怪光」#~第12章「大歓喜」#
- 松彦(治国別の弟)と、妻・松姫(小北山の教主)、娘・お千代 …第45巻第7章「相生の松」#
その他
- 「アメは天でアーメニヤ、天照大神はここにおられた」〔新月の光0405「アーメニヤ」〕
- 「国常立尊はアーメニヤ方面から、日本(現在の)へおいでになった。年代はほとんど同じくらいである。二二岐尊の降臨の高千穂の峰は富士山である」〔新月の光0421「国常立尊と二二岐尊」〕
- 「問 疎開した児童はどうなるのですか。 答 これからが(『霊界物語』の)アーメニヤ騒動である。アーメニヤはアジアアメリカということである。アジアアメリカ騒動である。これからそうなってくるのである。(昭和十九年十月一日)」〔新月の光0876「アーメニヤ騒動」〕
現実のアーメニヤ
霊界物語のアーメニヤは、コーカサス山脈南麓のアルメニアに相応する。国章の中心にはアララト山が描かれているが、アララト山が版図に含まれていた時期もあり(現在はトルコ領)、アララト山は民族のシンボルとなっている。
西暦301年に世界で初めてキリスト教を国教とした(ローマ帝国がキリスト教を国教にしたのは392年)。
高天原アルメニア説
小谷部全一郎(1868 - 1941年)は昭和4年(1929年)に出版した著書『日本及日本國民之起原』(p329)の中で、日本神話の高天原(タカマガハラ[17])は「アーメ(アーメニヤ)」の「タガーマ」州の「ハラ」(或いは「ハラン」)であると唱えた。
脚注
- ↑ 第11巻第23章「保食神」#:「悪蛇、悪鬼、悪狐等の曲津神はウラル山、コーカス山、アーメニヤの三ケ所に本城を構へ」
- ↑ 第10巻第32章「土竜」#:「ウラルの山の麓なる アーメニヤの野に都を構へ」
- ↑ 第12巻第27章「航空船」#:「アーメニヤに近きコーカス山に」
- ↑ 第10巻第36章「意想外」#:「アルタイ山の蛇掴(略)西南指してアーメニヤ 雲を霞と逃げ去りし」
- ↑ 第35巻第1章「言の架橋」#、第37巻第1章「富士山」#:「エルサレムは現今のエルサレムではない。アーメニヤの南方に当るヱルセルムであつた」
- ↑ 6.0 6.1 第37巻第1章「富士山」#
- ↑ 第64巻上第3章「聖地夜」#:「現今のエルサレムの市街はアラブ、ユダヤ人、アルメニアニヤ人の住みて居る三ツの区域によつて仕切られて居る」
- ↑ 第5巻総説嵐の跡#、第5巻第10章「奇々怪々」#~第13章#
- ↑ 第6巻第38章「黄金の宮」#
- ↑ 第12巻第27章「航空船」#
- ↑ 第13巻第2章「波斯の海」#
- ↑ 第39巻第12章「種明志」/a386-a387#
- ↑ 第40巻第16章「唖狐外れ」/a204-a210#
- ↑ 第44巻第2章「月の影」/a237-a253#、第44巻第7章「山口の森」/a084-a096#
- ↑ 第44巻第9章「怪光」/a256-a260#、第44巻第12章「大歓喜」/a210-a214#
- ↑ 第44巻第13章「山口の別」/a018-a027#
- ↑ 高天原の読み方は正しくは「タカアマハラ」であり、「タカマガハラ」はそれが転訛したものである。