初稚丸
初稚丸(はつわかまる)は、霊界物語に登場する船。テルモン湖で初稚姫が玉国別一行を救うために使われたので「初稚丸」と命名された[1]。第58巻だけに登場する。
概要
主なエピソード
玉国別一行5人(玉国別、三千彦、真純彦、伊太彦、デビス姫、それに初稚姫の愛犬スマートがいる)は、テルモン湖の北辺で、船頭に大金(100両)を払って漁船をチャーターし、湖を南へ向かった。すると船底からワックス一味4人(ワックス、エキス、ヘルマン、エル)が現れた。5人に恨みを晴らすため、船頭に金を与えてわざと5人を乗せるように仕組み、湖上で5人を斬り殺そうという計画である。
玉国別は平然と天の数歌を奏上した。すると突然颶風となり、船は大きく揺れ、はずみで船頭は湖に落ちてしまった。
そこへ初稚姫が指揮する一艘の船がやって来た。初稚姫はこのような事件が起きることを事前に予期して、船を雇い、島陰に隠れて待っていたのである。玉国別一行5人とワックス一味4人は、そちらの船に乗り移った。すると初稚姫はスマートと湖に飛び込み、スマートに跨がってどこかに去ってしまった。〔以上、第58巻第7章「神船」#〕
船は「ツミの島」で5人の男(島流しされていた罪人ダル、メートの2人と、この島に漂着したバラモン教の捕手ハール、ヤッコス、サボールの3人)を船に乗せて、再び南へ進む。〔第58巻第8章「孤島」#〕
船は「初稚丸」と命名された。8艘の海賊船[6]が現れた。ヤッコスは玉国別一行に「自分は表向きバラモン軍の目付役をしているが、実は海賊の親分だ」と告白。そして「船を西南に向ければ暗礁が点綴しているので海賊船は追いかけて来ない」と言って船の進む方向を西南に向けさせる。海賊船が初稚丸を取り囲むと、ヤッコスは海賊船に「三五教の宣伝使を捕まえてキヨの港に護送するところだ。これから宣伝使が7~80人やって来るから、そいつらを捕まえに行け」とウソを言って海賊船を追い払った。初稚丸は再び西南に向けて走り出した。〔第58巻第10章「報恩」#〕
初稚丸は「猩々島」で、漂着していたスマの里の豪農バーチルを救出。代わりにハール、ヤッコス、サボールの3人を島に置き去りにする。ヤッコスは実は、キヨの港に着いたら玉国別一行を捕まえてバラモン軍に引き渡す計略だった[7]。そのため置き去りにしたのだった。初稚丸は行き先を「スマの浦」に変更した[8]。〔第58巻第15章「哀別」#〕
脚注
- ↑ 第58巻第10章「報恩」#:〈玉国別一行の搭乗した船は仮に初稚丸と命名された。その理由は初稚姫に危急の場合この堅牢なる船を与へられたからである。〉
- ↑ 第58巻第11章「欵乃」#:〈船頭のイールは櫓を操り乍ら〉
- ↑ 第58巻第7章「神船」#:〈斯る所へ一艘の船、七八人の若者一生懸命に櫂を漕ぎながら〉
- ↑ 第58巻第15章「哀別」#:〈八人の水夫を指揮し〉
- ↑ 第58巻第20章「酒談」#:〈初稚丸は白帆を畳んだまま〉
- ↑ 第58巻第10章「報恩」#:〈八艘の船を統率して居た海賊のデブは舷頭に立ち〉
- ↑ 第58巻第12章「素破抜」#でダルがヤッコスの陰謀を素っ破抜いている。
- ↑ 第58巻第15章「哀別」#:〈キヨの港にや着かないで イヅミの国のスマの浦 バラモン教の目付等が 鼻をあかして 吃驚さしてやらう〉