遠州・雲州・甲州・三州・駿州・武州
遠州(えんしゅう)、雲州(うんしゅう)、甲州(こうしゅう)、三州(さんしゅう)、駿州(すんしゅう)、武州(ぶしゅう)の6人は、霊界物語に登場する人物。往来の人の衣類や持ち物を奪う泥棒、追い剥ぎ。法貴谷の戸隠岩の前で、竜国別・玉治別・国依別の3人の宣伝使と出会い、改心して弟子入りする。
呼び方
この6人の総称となる呼び方はない。また、6人の名を列記する場合、決まった順序はなく、まちまちである。ただしリーダーの遠州の名が筆頭に来る場合が多く、6人全員を一括して呼ぶ場合は遠州を代表者として「遠州始め一同は」[1]とか「遠州以下五人に」[2]と呼ばれている。そのため本項においては、遠州を筆頭にして、残り五人を五十音順に列記したものを項目名とした。
概要
- 初出:第21巻第4章「砂利喰」#
- 6人は天州(徳公)の子分である[3]。
- この6人の中では、遠州がリーダーであり、「親分」とか「親方」と呼ばれている[4]。
- 6人とも名前は旧国名(雲州=出雲、遠州=遠江、甲州=甲斐、三州=三河、駿州=駿河、武州=武蔵)である。雲州については、雲助(住所不定の人足)上がりなので雲州という名がついていると由来が記されている[5]。
- この6人は玉治別からアルプス教の秘密書類を奪い取ろうとするが、アルプス教の部下ではない。秘密書類を高春山へ持って行き褒美を貰うのが目的。[6]
主なエピソード
第21巻第4~9章
6人は戸隠岩の前で、高春山の鷹依姫(アルプス教の教主)を言向け和しに向かう3人の宣伝使(竜国別・玉治別・国依別)と出会う。6人は三五教に帰順して、宣伝使のお伴をすることになる。〔第4章〕
一行は杢助の家に立ち寄るが、そこで金銀を見た6人は、また元の泥棒に心が戻ってしまう。津田の湖の湖辺で6人は一芝居を打ち、雲州・三州・甲州の3人は仲間割れと見せかけて、宣伝使一行と別れて杢助の家へ金銀を奪うために向かった。しかし3人は杢助に取り押さえられてしまう。そこへ杢助の娘・お初(初稚姫)が現れ、3人にお金を渡して、放してやってくれと頼む。3人はお金を受け取って逃げ去った。〔第5~7章〕
一方、遠州・駿州・武州の3人は、玉治別と共に舟に乗り(竜国別と玉治別は陸路で高春山に向かう)津田の湖を渡る。湖上で玉治別に襲いかかり、アルプス教の秘密書類を奪おうとした。そこへ杢助とお初が舟で助けに現れ、玉治別は救われる。湖水が増して3人は首まで水に浸ってしまった。杢助・お初・玉治別は3人の盗賊に改心を促す。そこへ雲州・三州・甲州の3人がお杉(杢助の死んだ妻)の精霊を連れて現れた。親子3人は再会を果たす。これによりお杉は現世への執着を捨てて天に昇ることが出来た。玉治別は6人に誠の道を説き、ここに別れを告げた。〔第8~9章〕
第22巻第6~7章
第21巻第9章「改悟の酬」#で玉治別と別れた以降の6人の消息は記されていないが、第22巻第6章「見舞客」#で遠州と武州の2人は、病気の高姫の介抱をしている。また、雲州・駿州・三州の3人は国依別に伴われ、高姫の見舞いに来ている。甲州は第22巻には登場しない。
脚注
- ↑ 第21巻第4章「砂利喰」#:「遠州始め一同は」
- ↑ 第21巻第9章「改悟の酬」#:「遠州以下五人に」
- ↑ 第21巻第4章「砂利喰」#:(遠州のセリフ)「併し乍ら私の大親分に天州と云ふ奴があります。此の天州は今三五教の本山へ、何か結構な玉があるに違ひないといつて、信者に化込んで這入つて居ります。それは徳公と云ふ智慧も力も立派に備はつた大親分です」
- ↑ 第21巻第7章「誠の宝」#:(雲州のセリフ)「遠州の親方に」「遠州の親分に」
- ↑ 第21巻第4章「砂利喰」#:(甲=遠州のセリフ)「モー一人の奴は雲助上がりだから雲州と云ふ名がつけてあるのです」
- ↑ 第21巻第8章「津田の湖」#:駿州のセリフ「アルプス教には泥棒は一人も居ない。唯俺達は駄賃を貰つて此仕事をするだけだ。実は俺達はアルプス教ではない。盗人の団体だからトツクリ見て見よ。(略)秘密書類をフン奪り、高春山へ持参せば結構な御褒美が頂戴出来る」