宣伝神
宣伝神(せんでんし)とは、霊界物語に登場する聖職。大洪水前の宣伝使のこと[1]。ただし版によっては「宣伝使」と表記されたり、「宣伝神」に「せんでんしん」とルビが振られている場合がある(正しい読み方は「せんでんし」)。
概要
宣伝神は最初は「言触神(ことぶれのかみ)」とも呼ばれている。初めて登場するのは第5巻第18章「宣伝使」#である。木花姫命は大八洲彦命らの神人を天教山の青木ケ原に集めた。神人たちは野立彦命の神勅を奉じ、天下の神人を覚醒させるため、予言者となって世界各地に派遣された。彼らが言触神であり、宣伝神(宣伝使)の始まりである。
宣伝神と宣伝使
「宣伝神」とは大洪水前(人類誕生以前の「神人」の時代)の宣伝使[1]であるから、「宣伝神」ではなく「宣伝使」と表記されていたとしても、意味としては同じである。
しかし霊界物語の版によって「宣伝神」と「宣伝使」の用法が明確に区別されていないため、読解に混乱を来す場合がある。
戦前発行された版では、第5巻から第8巻までは基本的に「宣伝使」ではなく「宣伝神《せんでんしん》」と表記されている(ただし例外はある)。第9巻以降「宣伝使《せんでんし》」と表記されるようになった。第9巻冒頭の「凡例」(編者が記したもの)に次のように注意書きがある。
これは物語上、第9巻から「宣伝神」という職名が「宣伝使」に変わったという意味ではない。印刷上の変更である。また、読み方も「せんでんし」が正しいと注意されている。これは、植字の迅速化のため「神」の右に「しん」というルビが付いた活字を用いていたので「せんでんしん」というルビで印刷されていたからである。
『新月の光』によると、職名は大洪水前が「宣伝神《せんでんし》」で、大洪水後に「宣伝使《せんでんし》」になった。[1]
つまり第6巻の前半まで(第3篇「大峠」まで)は「宣伝神《せんでんし》」と表記するのが正しく、後半からは「宣伝使《せんでんし》」と表記するのが正しいということになる。
しかし戦後出版された版でもそのようにはなっていない。また聖師御校正本では第6巻前半までの「宣伝神」もその多くが「宣伝使」に訂正されている。
昭和42年(1967年)に刊行開始された校定版では、基本的に全て「宣伝使」になっており、「宣伝神」は無い。第9巻「凡例」は校定版では巻末の「あとがき」になっているが、「本巻より宣伝神を宣伝使として載せることにしました」云々の一文は削除されている。
平成4年(1992年)から刊行開始された愛善世界社版では、校定版同様に基本的には全て「宣伝使」になっているものの、聖師御校正本に忠実であるため、数ヶ所「宣伝神《せんでんしん》」や「宣伝使神《せんでんししん》」と表記されている箇所がある。しかし御校正本自体に訂正漏れ(「宣伝神」の「神」を「使」に訂正すべきところを、訂正されていない)と思われる箇所もあり、御校正本に忠実であることが必ずしも「王仁三郎による校正済みの表記」だとも言い難い。校定版ではそのような箇所も含め、合理的な解釈によって文字の修正がなされている。
校定版または愛善世界社版で「宣伝神」「宣伝使神」になっている箇所は次の通り。(「校」は校定版、「愛」は愛善世界社版)
- 第5巻第29章「神慮洪遠」#:天道別命、月照彦神以下の宣伝神選定され
- 校(173頁):宣伝使
- 愛(171頁):宣伝神
- 第5巻第35章「波上の宣伝」#:吾々は天地の神の教を説く宣伝神の身としても
- 校(213頁):宣伝使
- 愛(211頁):宣伝神
- 第6巻総説#:宣伝神を天下に派遣さるる事となつたのである|大難を免れしめむとして、宣伝使神を任命し|さうして宣伝使神の任にあたる神は多芸多能にして|神代の宣伝使神の心を以て心とし
- 校(5頁~):宣伝使|宣伝使|宣伝使|宣伝使
- 愛(3頁~):宣伝神|宣伝使神|宣伝使神|宣伝使神
- 第6巻第35章「北光開眼」#:霊鷲山の宣伝神北光天使は泰然自若として
- 校(212頁):宣伝使
- 愛(212頁):宣伝神
- 第41巻第7章「忍術使」#:三五教の宣伝神の常住不断の舎身的活動に敵し得ず
- 校(104頁):宣伝神(ここだけは校定版でも「宣伝神」になっている)
- 愛(100頁):宣伝神
詳細は次の項目を参照。
関連項目
脚注
- ↑ 以下の位置に戻る: 1.0 1.1 1.2 『新月の光』0165「宣伝神と宣伝使」:〈大洪水前は宣伝神と書き、大洪水後は宣伝使と書く。どちらも「せんでんし」と読むのである。(昭和七年)〉