大江山
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大江山(おおえやま)は、丹後半島の付け根に位置する山である。霊界物語では「おおえやま」または「たいこうざん」と呼ばれる。
現実の大江山
単一の山ではなく、複数の峰から成る連山である。最高峰は仙丈ヶ獄(せんじょうがだけ)で832m。
鬼伝説
大江山には3種の鬼伝説がある。
- 酒呑童子 - 平安時代、京の都で姫君をさらう酒呑童子を退治するため、源頼光(よりみつ)らが大江山に行き、酒を飲ませて酔い潰し、酒呑童子や手下の鬼たちを討ち殺した。酒呑童子の家来の茨木童子の伝説もあり、福知山の鬼ヶ城(霊界物語では鬼ケ城山)に茨城童子の砦があったと伝えられる。
- 日子坐王の鬼退治 - 崇神天皇(第10代天皇)の弟である日子坐王(ひこいますのきみ)が、人民を苦しめる土蜘蛛・陸耳御笠(くがみみのみかさ)を討った。
- 麻呂子親王の鬼退治 - 聖徳太子の弟である麻呂子(まろこ)親王が英胡(えいこ)、軽足(かるあし)、土熊(つちぐま)という三鬼を討った。
酒呑童子が棲んでいた大江山は、山城と丹波の国境(京都市と亀岡市の境)にある大枝山だという説もある。
邪気線
王仁三郎は大江山の中腹には邪気線(死線)が取り巻いているため登ることは危険であると言っている。[1]
大江山は日本の悪霊の集まつて居る所である。山の中腹を邪気線(死線)が六十間位(注・約109m)の幅で取り巻いて居る。されば此山に登る事は危険な事である。大抵の人間がこの邪気に犯されると思想まで悪化して了ふのである。元伊勢の内宮から、外宮にかけて霊線が通つて居る、この霊線は良い線で、これを突破して大江山に登つた大本信者は悪霊の教唆によつて、遂に信仰から離れて行くものが多い。
霊界物語の大江山
バラモン教の鬼雲彦がいる大江山は「おおえやま」とルビが振られ、三五教の鬼武彦がいる大江山には「たいこうざん」とルビが振られており、善と悪の二面性が示されている。[2]
- 初出:第1巻第25章「武蔵彦一派の悪計」#
- 大江山は丹波の国にあるという設定だが、「ウラル山に接近せる大江山」という記述もある。[3]
- 「自転倒島の中心地大江山」という記述もある。[4]
- 大江山の山麓に「魔窟ケ原」がある。[5]
- バラモン教の大棟梁・鬼雲彦(後の大黒主)はメソポタミヤの顕恩郷に割拠していたが、三五教の太玉命や八人乙女らによって追われ[6]、その後フサの国や月の国を横断してオノコロ島に渡り、その中心の大江山に立て籠もって天下を席巻するために画策をめぐらしつつあった[7]。しかしまたもや三五教の宣伝使によって大江山から追われてしまう。その物語が第16巻第1篇「神軍霊馬」に描かれている。
- 大江山の麓に「剣尖山」がある。[8]
- 産釜産盥(元伊勢皇大神社)の「東北」に大江山がある(現実の地理では、東北ではなく、北西)。[9]
- 鬼武彦は大江山(たいこうざん)の守神であり、悪魔征服の強神。[10]
- 鬼武彦が──大江山は天下の邪神が集まる霊界の四辻のため、国治立大神と神素盞嗚大神が、神政成就の暁まで代わる代わる大江山を守護する──と語っている。[11]
- 大槻鹿造は大江山の酒呑童子のみたま。[12]
- マグダラのマリヤに憑依した「山田颪」が、自分が行った数々の悪業を語っている中で、「大江山の酒呑童子と現はれ」たのも自分だと言っている。[13]
主なエピソード
霊界物語で「大江山」という言葉が出て来る場合、多くは「大江山の鬼武彦」とか「大江山の鬼雲彦」など、鬼武彦や鬼雲彦がいる地名として出て来る。大江山が舞台となるのは次の2ヶ所くらいである。
- (1) 第1巻第25章「武蔵彦一派の悪計」#
- 悪神の竹熊は、金勝要神を籠絡するため、武将株と大江山に集まり熟議を凝らした。/大江山から邪神の頭領株・鬼熊が現れる。
- (2) 第16巻第6章#~第10章#
- バラモン教の鬼彦らは、由良の秋山館に侵入し、神素盞嗚大神や秋山彦らを捕まえて大江山の本城に連れ帰るが、実は鬼武彦と部下の白狐が化けた偽者だった。三五教の宣伝使に追い詰められた鬼雲彦夫婦は天の岩船に乗り伊吹山方面に逃げ去った。
元伊勢、大江山、真名井ケ岳
元伊勢の宮殿が建立された時、英子姫に降りた神霊(天照大神の和魂)の神示の中で、元伊勢、大江山、真名井ケ岳の3ヶ所が比較対照されている。[14]
- 元伊勢は綾の聖地に次ぐ神聖な霊場で、神界火水の経綸場。神界における天の霊の川(ひのかわ)の源泉で、宇宙の邪気を洗い清める神域。
- 大江山は神界の芥川と称し邪霊が集合湧出する源泉。霊の川の霊泉で、その濁悪汚穢の泥水を清めるべき場所。
- 真名井ケ岳は、清濁併せ呑む瑞の御霊の神々が集まる源泉。豊国姫の分霊が真名井ケ岳に天降った。
総じて言えば、元伊勢は清(善)、大江山は濁(悪)、真名井ケ岳は清濁混交(善悪混交)と位置づけされている。
大江山の鬼殺し
王仁三郎は、開祖昇天までの大本の教えを「濁酒(だくしゅ)」、昇天後の教えを「清酒」に喩え、その銘柄を「大江山の鬼殺し」と名づけた。
地質学上より見たる大地の中心点に、天下無類の大化物が顕現して、丹波の真奈井の石清水と五十鈴川の清流を酌み上げ、駿河と美濃と尾張の米を掲き研ひて、古今独歩珍無類の美味を有する大本の濁酒を醸造し、これを天下に普く売り出したる所、上戸も下戸も先を争ふてこれを飲み(略)しかし神諭所示の如く、七月十二日も過ぎたることなれば、最早濁酒の売り出しはやめねばなりませぬ。その代りとして三千年間の日子を費やして、神の造られた清酒の売り出しを致します。酒の名は大江山の鬼ころしと命名しました。何人も勝手次第に汲み取つて下さい。(略)世界の鬼を退治して心の鬼を殺す、力のある酩酒である事だけは、どこまでも保証致します。(以下略)
出典:『神霊界』大正8年(1919年)11月1日号掲載「随筆」[15]
脚注
- ↑ 筑波山も大江山と同様に登ってはいけないと言っている。〔玉鏡「筑波山の悪霊」#〕
- ↑ 第16巻凡例#:「本巻の中に『大江山』といふ地名が出て来ますが、鬼武彦の鎮まれる方の『大江山』はタイカウザンと読み、鬼雲彦の割拠せる方の『大江山』は、オホエヤマと読むのですから御注意下さい。」
- ↑ 第12巻第1章#
- ↑ 第39巻第1章#:「自転倒島の中心大江山」、第41巻第7章#:「自転倒島の中心地大江山」
- ↑ 第29巻第8章#:「大江山の山麓魔窟ケ原に土窟を作り」
- ↑ 第15巻第1章#~第4章#
- ↑ 第39巻第1章#
- ↑ 第16巻第15章#
- ↑ 第16巻第18章#
- ↑ 第4巻第18章#
- ↑ 第16巻第10章#の章末
- ↑ 第38巻第5章#:「大槻鹿造は大江山の酒天童子の霊魂であるぞよ」
- ↑ 第64巻上第1章「橄欖山」#
- ↑ 第16巻第18章#
- ↑ 随筆
関連項目
- 大江山人 - 王仁三郎の筆名の一つ。