大洪水
大洪水(だいこうずい)とは、
(1) 霊界物語第6巻で描かれているエピソード。国祖隠退後の地上に起きた天変地異。567日間、大洪水と大地震が起き続き、地軸が傾く大異変となった。国祖の贖いによってこの天変地異は収まった。
(2) 霊界物語第6巻第15章と第16章の章題。第15章は「大洪水(一)」、第16章は「大洪水(二)」。
本項では(1)について解説する。
目次
概要
- 大洪水は「大峠(おおとうげ)」[1]や「立替(たてかえ)」「立替立直し」[2]等と呼ばれる場合もある。「大洪水」の章を含む第6巻第3篇(第15~18章)の篇題は「大峠」である。
- 大本神諭などで将来起きる大艱難として警告されている「大峠」「立替」とは、第二次世界大戦のこと、あるいは今後起きる地球的規模での天変地異のことである。「二度目の世の立替」「二度目の天の岩戸開き」等とも表現される。 →「大峠」「二度目の天の岩戸開き」を見よ
- 初めて大洪水に言及されるのは第5巻第8章「顕恩郷」#である[3]。「これより顕恩郷は天地の大変動勃発して大洪水となるまで、実に安全地帯であつた」。
- 大洪水から神人を救ったものは「天の浮橋」「方舟」「大きな亀(琴平別神の化身)」の三つある。[4]
主なエピソード
大洪水の前
国祖隠退後は、盤古大神塩長彦が国祖に代わって主宰神の地位に就き、八王大神常世彦が神政を握った。常世彦は律法無視の放縦不軌の神政を行い、また神祭を軽視して神霊を宮殿から分離し(同殿同床の廃止)祭祀を怠った。[5]
大地の主脳神である国祖の精霊が脱出した天地は、大変調を来した。複数の太陽や月が一度に現れたり、彗星が衝突して火花を散らしたり、夏冬の気候が変換するなど、異変が続いた。しかし常世彦らの神々はこの光景を、頑迷不霊の国祖が退隠したので天の大神が歓んでからであると解釈し、天下泰平の瑞祥だとして喜んだ。すべての神々は神業を投げ出して、昼夜となく踊り狂った。[5]
この天変地異現象の一つとして、「天の浮橋」の出現がある。竜宮城の「三重の金殿」が天に向かって延びて行き、その先端が左右に分かれて、天に巨大な黄金の架け橋が出現したのである。これは大洪水の際に神々を救う装置となる。〔第5巻第10章「奇々怪々」#〕 →詳細は「天の浮橋」を見よ
木花姫命の招きで天教山に神人が集められ、野立彦命(国祖の別名)の神勅を奉じ、大峠の到来を予言・警告する「言触神(ことぶれのかみ)」として世界各地に派遣された(これは宣伝使の始まりである)〔第5巻第18章「宣伝使」#〕。言触神たちは、改心して正しい道に立ち返れということを宣伝し、また方舟を造ることを教えた。第5巻第18章「宣伝使」#から第6巻第14章「黒竜赤竜」#まで、言触神たちの活躍が描かれている。 →詳細は「言触神」「方舟」を見よ
言触神たちは、正しい神人の頭に「神」の字の記号を付けた。「神」の記号を付けられた神人は、天の浮橋から垂れ下がる「救いの鈎」によって、橋の上に引き揚げられた。橋は回転し、それらの神人を高山に下ろして行った。〔第5巻第23章「神の御綱」#、他〕 →詳細は「天の浮橋」を見よ
宣伝神(言触神)が任命された後、東北と西南にそれぞれ16個の強い光の星が輝き始めた。これを地上の神人は、五六七の世の瑞祥だと祝する者がおり、また逆に大地震の兆候として怖れる者もいた。時々刻々に雲の色が変わったり、暴風が吹き荒れたり、暑くなったり寒くなったり、火山爆発、津波など、天変地妖が75日間続いた。〔第5巻第29章「神慮洪遠」#〕
大洪水
雨が降り続き、567日間、大洪水と大地震が起き、地上は一面泥の海と化した[6]。このような天変地妖が襲来したのは「全く地上の人類が、鬼や大蛇や金狐の邪霊に憑依されて、神人たるの天職を忘れ、体主霊従の行動を敢てし、天地の神恩を忘却したる自然的の結果である」〔第6巻第15章「大洪水(一)」#〕。
酷熱の太陽が数個現れ、地上に熱を放射して、大地の氷山を溶かし、その水は大地中心の凹部にある地球に向かって流れ集まり[7]、地球は水が増加して山々は次第に影を没して行った。〔第6巻第16章「大洪水(二)」#〕
天の浮橋は神人を橋の上に引き揚げ、天教山や地教山その他数ヶ所の高山の頂に下ろして行った。幾百千もの方舟は地教山に漂い着いた。琴平別神は巨大な亀と化し、神人を背に乗せて高山へ運んだ。〔第6巻第16章「大洪水(二)」#~第17章「極仁極徳」#〕
野立彦命(国常立尊)と野立姫命(豊雲野尊)は、地上の惨状を見て悲嘆に絶えず、大国治立命に祈願し、日の神・月の神に対して「地上の森羅万象をこの大難より救わせ給え。我らは地上の神人を始め一切万有の贖いとして、根底の国へ落ち、無限の苦しみを受けん」と言って、天教山の噴火口に身を投じた。〔第6巻第17章「極仁極徳」#〕
この二神の犠牲的仁慈の徳によって、地上の蒼生は草の片葉に至るまで残らず救われた[8]。
これらの天変地異によって、天柱が砕け、地軸が裂け、宇宙大地の位置はやや西南(南西)に傾斜し[9]、そのため天の星の位置も変更した。地球の北端にある日本国土の真上に北極星があったが、この変動によってやや東北に偏位した。太陽の位置も、やや北方に傾き、それ以後、気候に寒暑の相異が生じるようになった[7]。〔第6巻第18章「天の瓊矛」#〕
大洪水の後
大国治立命は、泥海と化した地上を修理固成するため、伊邪那岐尊・伊邪那美尊に命じ、天の浮橋に立たせ、天の瓊矛によって水量を減じさせた。数年を経て洪水は減じ、地上は再び元の陸地となった。〔第6巻第18章「天の瓊矛」#〕
撞の御柱神(アマテラス)、天の御柱神(イザナギ)、国の御柱神(イザナミ)の三神によって、修理固成のための神業が行われ、地上は再生して行く。 →「美斗能麻具波比の神業」を見よ
関連項目
脚注
- ↑ 第6巻総説#:「また国祖国治立命は天教山に隠れ、世界の大峠を免るることを汎く地上の神人に告げ諭し」
- ↑ 第5巻第37章「片輪車」#:祝部神のセリフ「世界の立替へ立直しに先立ち、地上の神人に向つて」
- ↑ 普通名詞としての「大洪水」という言葉ならそれ以前にも使われている。初出は第3巻第24章「蛸間山の黒雲」#:「所々に大火あり大洪水あり疫病蔓延して神人まさに滅亡せむとし」
- ↑ 第6巻第19章「祓戸四柱」#:「その時もつとも役立ちしは神示の方舟のみにして、金銀銅の三橋より垂下する救ひの綱と、琴平別が亀と化して、泥海を泳ぎ、正しき神人を高山に運びて救助したるのみなりける」
- ↑ 5.0 5.1 第5巻第1章「栄華の夢」#
- ↑ 第6巻第15章「大洪水(一)」#:「雨は頻りに降りきたり、前後を通じて五百六十七日の、大洪水と大地震、彗星処々に出没し、日月光を押し隠し、御空は暗く大地の上は、平一面の泥の海、凄まじかりける次第なり」
- ↑ 7.0 7.1 原文に「大地の氷山」とか「大地中心の凹部なる地球」、「西南に傾斜し」「地球の北端なる我が国土の真上に、北極星あり」等と書いてあるが、それらは「神示の宇宙」観を前提とした表現である。
- ↑ 第6巻第18章「天の瓊矛」#:「太陽は復び晃々として天に輝き、月は純白の光を地上に投げ、一切の草木は残らず蘇生し、而て地上総ての蒼生は、殆ど全滅せしと思ひきや、野立彦、野立姫二神の犠牲的仁慈の徳によりて、草の片葉に至るまで、残らず救はれ居たりける」
- ↑ 第6巻第18章「天の瓊矛」#:「宇宙大地の位置は、激動の為やや西南に傾斜し」、第6巻第19章「祓戸四柱」#:「天地の大変動により、大地は南西に傾斜し」