細矛千足国
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細矛千足国(くわしほこちたるのくに)(旧仮名遣い:くはしほこちたるのくに)とは、『神道大辞典』[1]によると「上古に於ける我が日本国の美称」である。「クハシは精の意で精矛即ち精錬なる武器が充実してゐる国を意味する。矛は武器の代表的な言葉である」。
王仁三郎もそれと同じ意味で使っている。
精鋭なる武器の整つて居る国が細矛千足の国である。我国に世界無比の堅艦陸奥だの長門だのと言ふ軍艦を持つてゐる事は人意を強うするに足る。覇道を一たん布いて後王道を布かねばならぬ程世は乱れ切つてゐる。戦争でもつて、一たんは神洲日出る国の武威を世界に示さねばならぬ事が来るかも知れない。而して後愛善の誠を世界にいたさば、真の平和と幸福とを招来することが蓋し左程の難事でもあるまい。
ただし言霊学上は「秀でたる子」という意味となる。
外交の弱いのは軍備が充実してゐない時である。軍備が充実してゐる時には外交が強くなる。日本は国民皆兵の国であり細矛千足の国である。「千足」といふ事は「一切の」といふことである。子供も、爺も婆も、みんなといふ事が千足といふ意味である。「細矛」といふ言霊は約り、矛と劔といふ意味もあるが、言霊学から云へば「細矛」といふのは「秀でたる子」であり、日本人は秀子(日子)であり、細矛といふのである。その尚武の気をもつて居る国民が国内に充実して居るのが「細矛千足」といふ名義となつて来たのである。
また河津雄の論稿の中で、次のように王仁三郎の「皇道経済我観」から引用されている。(ただし皇道経済我観はアレンジされて文言が異なる複数のバージョンがあり、どの文献から引用したものかは不明)
皇道政治は、先づ軍農中心から始まらねばならぬ。これも亦皇典古事記の明示し給ふ所であつて、細矛千足の国とは、農を本とし、衣食住の堅実にして、国本国防充ち足らひ、世界万邦を指導帰服せしむる如き、世界の中津国でなければならぬとの謂である。(略)自給自足とは農村自体が個々の立場に於て小細矛千足の国でなければならぬとの謂である。これは単に武備の意味でなく衣食住其他一切の充実した国と云ふ意味に於て、さうあるべきが本質であるからである。国々が山野河海の天然に於て、一区画を形成してゐる事が、其儘天意に出て居るので夫々国魂の神の御守護の下に分在してゐるのである。斯るが故に、夫々自給自足の出来る様になつてゐるのが千足の国の本然の姿である。
霊界物語には第10巻第28章「言霊解二」#と入蒙記第5章「心の奥」#に出る。
脚注
- ↑ 下中弥三郎・編輯『神道大辞典 第一巻』平凡社、昭和12年初版、p488、国立国会図書館デジタルコレクション