幽庁の大王

出典: 出口王仁三郎と霊界物語の大百科事典『オニペディア(Onipedia)』
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幽庁の大王(ゆうちょうのだいおう)は、霊界物語に登場する人物。俗に言う閻魔大王のこと。その正体は隠退後の国祖国常立尊または稚姫君命である。

概要

  • 初出:第1巻第6章八衢の光景#
  • 霊界物語に「幽庁の大王」という言葉そのものは出ない。単に「大王」としか呼ばれていないが、「大王」と呼ばれる人は他にも出て来るので(→「大王」を見よ)便宜上「幽庁の大王」と呼ぶ。
  • 白髪異様の老神で、威厳があり、かつ優しみがあり、極めて美しい面貌[1]。しかし審判廷で罪人を裁く時はその形相は一変し、真紅で、眼は非常に巨大に、口は耳のあたりまで引き裂け、口の中から火焔の舌を吐く[2]
  • 幽庁の大王は第1巻にしか登場しない。霊界修業に来た上田喜三郎に「いよいよわが任務は一年余にして終る」[1]と語っているが、これは喜三郎が高熊山修業(明治31年3月)から1年4ヶ月後(明治32年7月)に綾部に移住したことと関連していると思われる。
  • 後ろの巻では幽庁の大王は登場せず、幽庁は「八衢の関所」に変わり、その主は「伊吹戸主神」が務めている。→「幽庁」「八衢の関所」「伊吹戸主神

職務

幽庁」は死者の善悪を裁く政庁で、その主が「大王」である。また大王は地獄界幽界根の国底の国)の監督者・主宰者でもある。

吾は根の国底の国の監督を天神より命ぜられ、三千有余年当庁に主たり、大王たり。今や天運循環、いよいよわが任務は一年余にして終る。余は汝とともに霊界、現界において相提携して、以て宇宙の大神業に参加せむ。しかしながら吾はすでに永年幽界を主宰したれば今さら幽界を探究するの要なし。(略)』

正体

幽庁の大王の正体は明確には書かれていないが、隠退後の国祖国常立尊または稚姫君命(あるいはその両方)である。

神諭に、

『因縁ありて、昔から鬼神と言はれた、艮の金神のそのままの御魂であるから、改心のできた、誠の人民が前へ参りたら、結構な、いふに言はれぬ、優しき神であれども、ちよつとでも、心に身欲がありたり、慢神いたしたり、思惑がありたり、神に敵対心のある人民が、傍へ出て参りたら、すぐに相好は変りて、鬼か、大蛇のやうになる恐い身魂であるぞよ』

と示されてあるのを初めて拝したときは、どうしても、今度の冥界にきたりて大王に対面したときの光景を、思ひ出さずにはをられなかつた。また教祖(注・出口直のこと)をはじめて拝顔したときに、その優美にして温和、かつ慈愛に富める御面貌を見て、大王の御顔を思ひ出さずにはをられなかつた。
その時フト小さな家が眼前にあらはれてきた。その夫婦に八頭八尾の守護神が憑依してゐた。夫婦の話によれば、

『大神の命により神界旅行の人を幾人も捉へてみたが、真の人に会はなかつたが、はじめて今日目的の人に出会ひました。実は私は、地の高天原にあつて幽界を知ろしめす大王の肉身系統の者です。どうぞ貴方はこの道を北へ北へと取つていつて下さい、さうすれば大王に面会ができます。私が言伝をしたと言つて下さい』

と言つて頼む。(注・これは大本神業においては虎天堰の茶店で福島久子上田喜三郎と邂逅し、綾部の出口直と会って欲しいと頼んだことを現す)
そこには不思議にも、かの幽庁にゐられた大王が、若い若い婦(をんな)の姿と化して自分を出迎へ、やがて小さい居間へ案内された。(注・大本神業においては出口直が綾部を訪れた上田喜三郎と面会したことを指す)

稚桜姫命(稚姫君命)は、一夫一婦の戒律を破った罪で夫の天稚彦と共に更迭された時、国治立命(国常立尊)から「すみやかに幽界にいたり、幽庁の主宰者たるべし」と命じられた。〔第2巻第46章天則違反#

また国治立命も、隠退した時、「吾はこれより根の国に落ちゆきて、苦業を嘗め、その罪過を償却せむ」と言って幽界に降り、幽政を視ることとなった。「国祖はただちに幽界に降つて、幽政を視たまふこととなりぬ」〔第4巻第45章あゝ大変#

大本神諭では、艮の金神は「此の世のエンマ」であると随所に出て来る。例:「艮の金神は此世のエンマと現はれるぞよ」大本神諭 明治26年(月日不明)#、「人の心を直す為、此の世のエンマが出て来たぞよ。エンマと申すのは、此の世の初発からの事、何も皆知りてをるからの事で在るぞよ」大本神諭 明治34年旧11月9日#

主なエピソード

幽庁は、第1巻第5章の章末から第7章にかけて舞台となり、そこに大王が登場する。

大王は、霊界修業に来た上田喜三郎に面会し、幽界(根の国底の国)を探究して、三界を救うべき大慈の神人となれ、と命じる。また「顕幽両界のメシヤたるものは、メシヤの実学を習つておかねばならぬ」と、喜三郎が三界の救世主となる使命を持っていることを告げる。〔第1巻第6章八衢の光景#第7章幽庁の審判#

脚注