転香
本章には、「アブナイ教」の元信者で、現在は「一等厭(いっとうえん)」という団体で懺悔の生活をしているという、鰐口曲冬という男が登場する。「一等厭」は西田天香の一燈園を、鰐口曲冬は谷口雅春を揶揄しているようである。
章題「転香」は西田「天香(てんこう)」の名をもじっている。
また、高姫が曲冬に対して〈自分の放いた糞まで人に掃除させたり、又人の糞まで掃除して歩く様な不合理な罰当りの事が何処にありますかい。それだから世間の人は一等厭の奴はド奴の糞奴計りだと云ふのですよ。何だか怪体な香《にほひ》がすると思へばお前の着物に尿糞塵《ししふんじん》の香《にほひ》が浸みこんで居る。地獄に籍を置いたものは鼻をつく様な堆糞の場所や便所 塵芥場《ごもくば》を喜ぶものだ。其臭気をまるで高天原の天香《てんかう》の様に思うて居るのだから困つたものだな〉と罵っている。章題はこの「天香」も同時にもじっている。
外部リンク
- 一燈園 - ウィキペディア