高国別 (火の国)
この項目では、火の国の神司である高国別について説明しています。その他の高国別については「高国別 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
高国別(たかくにわけ)は、霊界物語に登場する人物。天照大神の部下であったが、素尊に同情しその部下となる。素尊の娘の愛子姫と結婚し、火の国の神司となる。
第2~3巻に登場する高国別(新高山の八頭神)の「後身」である。[1] →「高国別 (新高山)」
神名は「活津彦根(いくつひこね)」(天照大神の五男神の第四男)。[2] [3] [4] →「活津彦根」
鬼雲彦の部下の「鬼掴(おにつかみ)」だと名乗って素尊の行く手を妨害する。 →「鬼掴」
火の国で「高山彦(たかやまひこ)」と名乗っていたため、黒姫の夫と間違われる。 →「高山彦 (黒姫の夫)」
目次
概要
主なエピソード
第15巻
(第3篇「神山霊水」の全章に渡り登場する)
天の岩戸の事変により高天原を追われた素盞嗚尊は母神(伊邪冊命)に面会するために地教山を登った。その前に鬼雲彦の部下・鬼掴が、4~50人の家来を連れて、山を登る素盞嗚尊の行く手を妨害した。しかし素尊は鬼掴を投げ飛ばし、どんどん登って行く。鬼掴の家来たちは逃げ去った。素尊は母神に面会した後、山を下りて行くと、鬼掴が平伏して帰順の意を表していた。彼の正体は高国別で、鬼掴と偽っていたのだった。天照大神の命により素尊が地教山に登るのを妨害しに来たのだが、内心では素尊に同情を寄せており、素尊の旅に同道することとなった[6] [7]。〔第15巻第12章「一人旅」#〕
高国別は素尊に同道し、ラサフの都を訪れた。住民カナンの家に泊まると、夜、外で大勢の男女の声が聞こえてくる。高国別は素尊に命じられ様子を見に行くと、数十人の男女が裸で何事か一心不乱に祈願していた。彼らは小さな丘に駆け上がると、姿を消した。後に残った一人の女に、高国別はからかわれる(女の正体は木花姫命)。小丘の周囲で高国別は落とし穴に落ちるが、女によって再び地上に引き上げられた。そこへ一人の男が現れ「カナンの家で事件が勃発し、素尊からあなたを呼び戻して来いと言われた、素尊は数百人のウラナイ教の魔神に取り込まれている」と高国別に叫ぶ。地底の岩窟からは「岩窟内で大惨事が勃発している、数十人を見殺しにする気か、人を救うのが宣伝使の役目だ、早く救いに来い」と怒鳴り声が聞こえて来る。高国別は忠と仁の板挟みになり、どうしたらいいか思案に暮れ果てて、両刃の剣を脇腹に突き刺そうとした。その時、女神(木花姫命)が現れ、剣をもぎ取った。木花姫命が高国別の真心を試すために仕組んだのだった。素尊は神変不思議の神力があるので心配する必要はない、早く地底の岩窟に行き人々を救え、と命じた。〔第15巻第13章「神女出現」#~第14章「奇の岩窟」#〕
高国別は地底の岩窟に下りると、悪神が現れ、戦うが、深い落とし穴に落ちて、息が絶えてしまう。高国別は霊界で、伊弉諾大神の使者だという5人の男女に出会い、峠の頂上に連れて行かれる。5人は、亀彦・菊子姫(亀彦の妻)・梅彦・幾代姫(梅彦の妻)・愛子姫だった。梅彦に「愛子姫があなたの妻に神定められた」と教えられる。一行は愛子姫の先導で坂を下るが、いつの間にか高山の山頂に達していた。3組の夫婦は天津祝詞を奏上する。木花姫命が現れ「汝らが永久に住むべき国はこの聖域(天界)なり。しかしまだ現界でやるべきことがあるので、現界に引き返せよ」と命じる。高国別は気がつくと、岩窟内の深い井戸の底に倒れていた(この夢の中で高国別は、梅彦から「活津彦根」と呼ばれ、自分の神名(守護神)を知った[8])。高国別は上を見ると夢に現れた5人の男女が穴の上から下を覗き込んでいた。5人に引き上げられ穴の外に出る。愛子姫に「父の許せしわが夫」と言われる。高国別と愛子姫はここで結婚した。〔第15巻第15章「山の神」#〕
3夫婦6人は岩窟の奥へ進む。すると数十人老若男女が縛られ、4~5人の鬼に鉄棒で苦しめられていた。6人は言霊を奏上すると鬼の姿は消えた。老若男女は素尊に救いを祈るが、高国別に「素尊はカナンの家にいる」と教えられると、歓んで帰って行った。6人は岩窟をさらに進むと、浅子姫(愛子姫の侍女)と出会う。浅子姫は岸子姫(菊子姫の侍女)・岩子姫(幾代姫の侍女)の3人で愛子姫らの後を追ってラサフの都までやって来たが、ウラナイ教の蠑螈別らに捕まり、この岩窟に閉じ込められたのであった。一行7人は、池の中に囚われていた岩子姫と岸子姫を救い出す。〔第15巻第16章「水上の影」#〕
ウラナイ教の高姫・黒姫・蠑螈別らは、岩窟の館で酒宴を開いていた。そこへ三五教の宣伝使一行(高国別ら9人)が宣伝歌を歌いながら現れ、苦しめられる。〔第15巻第17章「窟の酒宴」#~第18章「婆々勇」#〕
第33~35巻
高国別は、八島別の跡を継ぎ、火の国(肥の国)の神司となり、「高山彦」と名乗った[9]。なぜ「高山彦」と名乗ったのかは不明。
高国別は「高山彦」と名乗っているため、第33~35巻では「高国別」より「高山彦」と呼ばれている場合が圧倒的に多い。ただし全て名前が出るだけで、本人が舞台に登場することはない。
黒姫が自分の夫の高山彦だと思い込み、火の国都の館まで会いに行くが、妻の愛子姫が応対しており、本人は「桂の滝」に百日間の禊に出かけており不在[10] [11]。
脚注
- ↑ 第15巻第13章「神女出現」#:「地教山に現はれて、一度は尊の登山を塞ぎ奉りし鬼掴(注・この時は仮に「鬼掴」と名乗っていた)は、昔ペテロの都に在りて、道貴彦の弟と生れたる高国別の後身、幾度か顕幽二界に出没し、又も身魂は神界の、高天原に現はれて、天の岩戸の大変に差加はりし剛の者」
- ↑ 第15巻第15章「山の神」#:「貴下は高国別の宣伝使、活津彦根神に在さずや」
- ↑ 第17巻第6章「瑞の宝座」#:音彦の歌「名も高国別と現はれし 活津彦根と諸共に」
- ↑ 第35巻第1章「言の架橋」#:「いよいよこれより黒姫が火の国都に立向ひ、高山彦の宣伝使と名乗る高国別命、神名は活津彦根命を自分の夫高山彦と思ひ詰め」
- ↑ 第35巻第24章「歓喜の涙」#:玉治別のセリフ「本年三十五才の屈強盛りの活津彦根神様が高国別と御名乗り遊ばし、表向は高山彦と呼ばれて御座るのですから」
- ↑ 第15巻第12章「一人旅」#:鬼掴(高国別)のセリフ「私は実を申せば鬼雲彦の家来とは偽り、高天原の或尊き神様より内命を受け、貴神の当山に登らせたまふを道にて遮断せよとの厳命を頂きしもの、嗚呼併しながら此度の天の岩戸の変は貴神の罪に非ず、罪は却つて天津神の方にあり、何れの神も御心中御察し申上げ居る方々のみ。吾は之より心を改め貴神の境遇に満腔の同情を表し奉り労苦を共にせむと欲す、何卒々々世界万民の為に吾が願を許させ給へ」
- ↑ 第15巻第13章「神女出現」#:「神素盞嗚の大神の、清き御心推しはかり、義侠に富める逸男の、いかで此儘過ごすべき、天教山に坐しませる、皇大神の御言もて、地教の山に立ち向ひ、一度は神命もだし難く、瑞の霊の大神に、刃向ひまつり、尊の登山を悩まさむとしたりしが、心の奥は裏表、神素盞嗚の大神を、心の限り身の限り、助け奉らむものをとて、地教の山に夫れとなく、尊の登り来ませるを、今か今かと待ち居たる、其御心ぞ尊けれ」
- ↑ 第15巻第15章「山の神」#:高国別のセリフ「アヽ夢であつたか、併し乍ら吾を活津彦根と仰せられしは不審の一つ、吾身の守護神を知らずして憖に審神を行ひしため、大神の御仁慈によつて教へたまひしか」
- ↑ 第35巻第22章「当違」#:愛子姫の歌「吾背の君は天照 皇大神の御任せる 五百津美須麻琉々々々々の 玉の威徳に現れまして 活津彦根の神となり 神素盞嗚大神の 御子と仕へて天ケ下 四方の国々隈もなく 厳の教を宣べ給ふ 高国別の宣伝使 天教山より降ります 八島の別や敷妙姫の 神の命の後襲ひ 高山彦と名を変へて」、玉公のセリフ「此神館は二三年前まで、天教山より降りましたる天使八島別命様御夫婦がお守りになつて居りましたが、天教山より日の出別神様お越し遊ばし、木花姫命様の御用が忙しいから、元の如く天教山に帰つて呉れよとの御神勅で、日の出別神様と共に、此都をお立ち退き遊ばされ、其後へ神素盞嗚大神様が天照大御神様の厳の御霊と生れませる活津彦根命様を、お連れ遊ばして御入来になり、素盞嗚尊様の総領息女の愛子姫様を妻となし、お帰り遊ばしたので御座います」
- ↑ 第35巻第22章「当違」#:愛子姫の歌「吾背の君が百日日の 禊身をやすく済ませかし」
- ↑ 第35巻第23章「清交」#:愛子姫の玉治別に対するセリフ「夫高国別は折悪しく、今朝桂の滝へ御禊の為に、百日の心願をこめて参りました不在中で」