スマート
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概要
- 初出:第49巻総説#、第49巻第8章「スマート」#
- 逞しく大きい山犬。第49巻第8章「スマート」#
- 色は黒い。[1] [2]
- 性別はメス。[3]
- スマートは「猛犬」と冠して呼ばれることが多い。他には「狂犬」「義犬」「初稚姫の愛犬」「神の化身」「神の使」「霊獣」などと呼ばれる。
- 「スマート」という名前は初稚姫が名付けた。[4]
- スマートは普通の犬ではない。肉体は動物だが、神が化相の法によって、初稚姫の身辺を守るために現れた。初稚姫もそのことをよく感知していた。[5]
- 変身することが出来る。第52巻第4章「俄狂言」#で初稚姫は大熊に、スマートは巨大な獅子に変身している。[6]
- 第56巻第16章「不臣」#ではスマートの精霊が三千彦に憑依して語りかけている。
- 妖幻坊はスマートが苦手で、スマートが現れると逃げ出す。
主なエピソード
スマートは初稚姫と行動を共にし、基本的に単独行動はしない。初稚姫と共に頻繁に現れるが、特に活躍する場面は、第50巻の祠の森の聖場と、第56巻から第58巻にかけてのテルモン山の神館である。
第49~52巻
- 大黒主調伏の言霊隊に選抜された初稚姫は、ウブスナ山の斎苑の館を出てハルナの都に向かった。ウブスナ山を下り、荒野ケ原を渡り、川底まで百間もある深谷川にかかる丸木橋(巨木の一本橋)を渡り[7]、河鹿峠の坂口の岩の上に腰掛けて休んでいると、父・杢助(斎苑の館の総務)に化けた化け物(妖幻坊)が巨大な唐獅子となり、初稚姫に襲いかかろうとする。そこへ大きな山犬が現れ、大獅子に飛びつくと、大獅子は逃げて行った。初稚姫はこの犬に「スマート」という名を与え、家来にしてハルナの都まで連れて行くことにした。河鹿峠の南坂を下って行く。〔第49巻第8章「スマート」#〕
- 初稚姫は途中でお寅たち一行に出会い、祠の森に高姫や杢助がいることを聞いて、祠の森に向かう。妖幻坊の杢助は初稚姫とスマートがやって来たことを聞くと、化け物の正体を現して森の中へ逃げ去った。〔第49巻第20章「山彦」#〕
- 第50巻では祠の森で初稚姫が高姫と妖幻坊の杢助を改心させようとし、スマートはその身辺を守る。最終的に高姫・妖幻坊はスマートにうなられて逃げて行った。〔第50巻第21章「犬嘩」#〕
- 高姫・妖幻坊は浮木の森で曲輪城を作るが、初稚姫とスマートが現れ、逃げて行った。(妖幻坊は高姫を雲に乗せて逃げて行くが、途中で高姫は落下して帰幽してしまう[8]) 〔第52巻第22章「空走」#〕
第56~65巻
- 三千彦はテルモン山の神館に乗り込むが、初稚姫は三千彦の難儀を前知して、スマートを三千彦救援に向かわせた[9]。第56巻第15章から第58巻第3章にかけて、スマートが三千彦を助ける場面が出る。ワックス一味4人は神館から追い払われ[10]、テルモン山に平和が戻った。
- テルモン湖を船で渡る玉国別一行は、ワックス一味4人に襲われる。それを前知していた初稚姫が船に乗って助けに現れ、玉国別一行に船を与えた。スマートは初稚姫を背に乗せると湖を泳いで消えて去った。〔第58巻第7章「神船」#〕
- チルテル館の地底の岩窟に落ちた玉国別たちを、初稚姫が救出に現れる。初稚姫はスマートの背に跨がると消え去った。(スマートは初稚姫にとって馬のような役割もしている) 〔第59巻第16章「開窟」#~第17章「倉明」#〕
- スーラヤ山の竜王の岩窟で邪気に打たれて気絶していた伊太彦らを、初稚姫の精霊がスマートを連れて現れ救う。〔第63巻第14章「嬉し涙」#~第16章「諒解」#〕
- 聖地エルサレムに向かう玉国別は、聖地にほど近いサンカオの里で、虎熊山の爆発による毒にやられて息も絶え絶えになっていたところを、スマートを連れた初稚姫によって救われる。〔第65巻第24章「危母玉」#〕
脚注
- ↑ 第57巻第7章「暗闇」#:「黒い犬奴が飛んで来て ウウ、ワンワン吠へ猛る」
- ↑ 第52巻第6章「梟の笑」#:一人の美人が黒い犬をつれているのを見て、イクが『オイ、サール、あの女は初稚姫様によく似て居るぢやないか。そしてスマートによく似た犬まで傍について居る(略)』と言っている。
- ↑ 第50巻第4章「御意犬」#:初稚姫のセリフ「お前さまは雌犬だから、私と抱擁したつてキツスをしたつて、構ひはしないわネー」
- ↑ 第49巻第8章「スマート」#:「而してお前には「スマート」といふ名を上げませう」
- ↑ 第50巻第8章「常世闇」#:「スマートの如き鋭敏なる霊獣は其精霊が殆ど人間の如く、且本来の純朴なる精神に人間と同様に理性をも有するが故に、よく神人の意思を洞察し、忠僕の如くに仕ふる事を得たのである。(略)スマートは肉体は動物なれども、神より特別の方法に依つて、即ち化相の法によつて、初稚姫の身辺を守るに必要なるべく現じ給うたからである。初稚姫も此消息をよく感知してゐるから、決して普通の犬として遇せないのである。只神が化相に仍つて、其神格の一部を現はし給ひしものなることを知るが故に、姉妹の如く下僕の如く、或時は朋友の如くに和睦親愛し得るのである」
- ↑ 第52巻第4章「俄狂言」#の章末:「忽ち神に祈り、身を変じて大熊となり、スマートは唐獅子となり、目を怒らし足掻をしながら、ウーウーと二人に唸つて見せた。二人は吃驚して両手を合せ一言も発し得ず、其場に俯向いて慄うて居る。初稚姫は再び元の姿となり、スマートは巨大なる獅子と化し、初稚姫を背に乗せて荒野ケ原を一目散に進み往く」
- ↑ ここまで第49巻第7章「剛胆娘」#。「産土山を下り、荒野ケ原を渡り、漸く黄昏時深谷川の丸木橋の辺についた。此谷川は川底迄殆ど百間許りもある、高き丸木橋である。総ての宣伝使は皆この一本橋を渡らねばならない。併し一本橋とは云へ、谷川の辺の大木を切り倒し、向岸へ渡せし自然橋なれば、比較的丈夫にして騎馬のまま通過し得る巨木の一本橋であつた」
- ↑ 第52巻第23章「盲動」#:「高姫は妖幻坊にかつ攫はれ、空中を翔り行く途中に於て、デカタン高原の或地点で妖幻坊に取放され、空中より砂つ原に顛落して気絶してゐた。其間に精霊が此処へ迷うて来たのである」
- ↑ 第56巻第15章「猫背」#:「これは初稚姫が三千彦の難儀を前知して、スマートに言ひ含め、救援に向はしめ玉うたのである」
- ↑ 第58巻第4章「銅盥」#でワックス一味4人は鞭打ち刑に処せられた後「夜陰に紛れて逃げ出す」。