バラモン教
バラモン教(ばらもんきょう)は、霊界物語に登場する宗教。教祖は大国別。奉斎神は大自在天。
概要
- 表記ゆれ:婆羅門、波羅門、破羅門[1] [2]
- 初出:第15巻第1章「破羅門」# [3]
- バラモン教は〈第二のウラル教〉[4]と呼ばれるが、それはウラル教を土台にして作られたという意味であって、教えはかなり異なる部分がある。
主なエピソード
略史
大国彦は称号を「大自在天」から「常世神王」に改称し(第5巻)[5]、ウラル教を国是(国教)として常世の国を治めていた[6]。
大国彦は黄泉比良坂の戦い(第10巻)で神軍に敗北し、改心して[7]、八十禍津日神となった[8]。
大国彦の息子・大国別は神命を奉じて常世城からイホの都に渡り[9]、自らが「大自在天」と称し、〈第二のウラル教〉であるバラモン教を開いた。[10]
しかし三五教の宣伝使(イホの酋長・夏山彦や、祝姫、行平別、三光など)の活動(第12巻)によってバラモン教の勢力は衰退し、イホの都を離れてメソポタミヤの顕恩郷に本拠を移した[11]。
大国別の左守だった鬼雲彦は、大国別の帰幽後、野心を起こし、正統の後継者である国別彦(大国別の息子)を追放して、自ら大棟梁と称し、大教主となった。[12]
しかし八人乙女らに追い詰められて鬼雲彦は顕恩郷を逃げ出し(第15巻)、海を渡り、自転倒島の大江山に本拠を構えた(第16巻)。
だがそこへも三五教の宣伝使(英子姫、悦子姫、亀彦など)が現れ、追い詰められて鬼雲彦は逃げ去った(第16巻)[13]。
鬼雲彦は再び海を渡り、月の国ハルナの都に本拠を築き、自ら「大国彦」と称し、あるいは「大黒主」と名乗って、月の国七千余国を支配しようとした。[14]
神素盞嗚大神は三五教の宣伝使をフサの国のイソ館に集め、大黒主(鬼雲彦)を言向け和すためハルナの都に向けて言霊隊を派遣した(第39巻)[15]。
大黒主(鬼雲彦)は、三五教とウラル教の勢力が拡大していることを懸念し、両教を撃退するため軍を出陣させた(第40巻)[16]。
バラモン軍と三五教の言霊隊との戦いが勃発する。
ハム族の宗教
バラモン教はハム族が開いた。(三五教はセム族)
- 〈ノアの子孫のハム族が 中にも強き婆羅門の〉〈セムの流裔と聞えたる コーカス山の神人(注・三五教)は 婆羅門教を言向けて 誠の道を開かむと〉〔第15巻第1章「破羅門」#〕
- 〈ハムの一族婆羅門の〉〔第15巻第6章「北山川」#〕
- 〈ノアの子孫と生れたる ハムの一族鬼雲彦は〉〔第16巻第1章「天橋立」#〕
- 〈太古、世界には三大民族があつた。即ちセム族、ハム族、ヤヘツト族である。セムの言霊はスとなり、ハムの言霊はフとなり、ヤヘツトの言霊はヨとなる。故にスの言霊に該当する民族が、神の選民と云ふことになり、日本人、朝鮮人、満洲人、蒙古人、コーカス人等である。ユダヤ人もセム族に属する。次がハム族で支那人、印度人又は小亜細亜やヨーロツパの一部に居る民族である。ヨの民族即ちヤヘツト族と云ふのはアフリカ等に居る黒人族である。しかし現在は各民族共悉く混血して居るのであつて、日本人の中にもハム族等の血が多数に混入して居る。又欧米人の中にはハム族とヤヘツト族とが混血したのがある〉〔玉鏡「三大民族」#〕
「ノアの子孫」とは、ノアの3人の息子セム、ハム、ヤフェトの子孫のことである。ユダヤ・キリスト・イスラム教の世界観では、現在の人類は全てノアの子孫であり、セム族、ハム族、ヤフェト族のいずれかに分類されることになる。
「ハム族」の一般的意味は、広辞苑によると〈アフリカ北部・東部のハム語系の言語を話す諸民族の総称。ノアの次男ハムの名に因んで命名〉。しかし現代では「ハム族」という概念自体が使われなくなっている。
当時のハム族観【例】
- 高山林次郎『世界文明史』四版・明治33年(1900年)、博文館、102頁、NDLDL蔵書 PID:1918469/1/65
実在のバラモン教
実在するバラモン教は古代インドの宗教で、その後身が現在インドで最も広まっている宗教のヒンドゥー教である。
西暦前15世紀~前5世紀に成立したヴェーダを聖典とする。
バルナと呼ばれる階級制度(カースト制度)が特徴で、最上位が司祭階級のバラモン(サンスクリット語ではブラーフマナ)、次が王族・武士階級のクシャトリア、次が農業・商工業の庶民階級バイシャ、最下級がこの三階級に隷属する奴隷階級シュードラの四階級から成る。このバルナ以外に不可触民パンチャマがいる。
関連項目
外部リンク
脚注
- ↑ 「破羅門」は第15巻第1章「破羅門」#の章題として使われているだけである。
- ↑ 使用回数はバラモン1951回、婆羅門54回、波羅門6回、破羅門1回
- ↑ ただし第3巻凡例#に「波羅門」が出る。
- ↑ 第15巻第1章「破羅門」#:〈ウラル彦、ウラル姫は、遠く常世国に逃れ、茲に大自在天大国彦の末裔大国別、醜国姫の夫婦をして、埃及のイホの都に現はれ、第二のウラル教たる婆羅門教を開設し、大国別を大自在天と奉称し〉
- ↑ 第5巻第17章「勢力二分」#:〈大国彦は、大鷹別以下の神々とともに常世城において、堅固なる組織のもとに神政を開始した。しかして大自在天を改名して常世神王と称し、大鷹別を大鷹別神と称し、その他の重き神人に対して命名を附すこととなつた。〉
- ↑ 第10巻第4章「鬼鼻団子」#:常世神王(広国別が偽称)のセリフ〈常世の国はウラル教の教を以て国是となす〉
- ↑ 第10巻第23章「神の慈愛」#
- ↑ 第10巻第26章「貴の御児」#
- ↑ 第40巻第1章「大雲山」#:大黒主のセリフ〈抑も吾バラモン教は常世の国の常世城より、大国別は神命を奉じて埃及に渡り〉
- ↑ 第15巻第1章「破羅門」#:〈埃及のイホの都に現はれ、第二のウラル教たる婆羅門教を開設し、大国別を大自在天と奉称し〉、〈大国別自ら大自在天と称し〉
- ↑ 第15巻第1章「破羅門」#
- ↑ 第39巻第1章「大黒主」#:〈大国別命帰幽せしより、左守と仕へたる鬼雲彦は、忽ち野心を起し、自ら大棟梁と称して、バラモン教の大教主となり、大国別の正統なる国別彦を放逐し〉
- ↑ 第16巻第10章「白狐の出現」#
- ↑ 第39巻第1章「大黒主」#
- ↑ 第39巻第2章「評定」#~第3章「出師」#
- ↑ 第40巻第1章「大雲山」#~第2章「出陣」#