神の慈愛
第28章から第38章まで計11章ある。
第36章から第38章にかけて、高白山を舞台として、邪神の常世姫の部下である荒熊彦・荒熊姫夫婦と、その息子で神軍に参加している清照彦が、親子の情と主君への忠誠とに挟まれて苦しむ様が描かれている。
清照彦の妻(末世姫)は自害し、父母(荒熊彦・荒熊姫)も殺されたと聞いて清照彦は悲嘆して自害しようとする。その時、女神が現れて「天津神は汝の忠孝両全の至誠を憐れんでいる。しばらく隠忍して時を待てば、両親・妻と再会できる」と告げた。
清照彦はそれを守り、隠忍して歳月が経った。天の鳥船から、生きていた父母と妻が降りてきて、清照彦は再会することができた。
「神の慈愛」という篇題は、ここの部分を指しているのではないかと思われる。