地震の孫
地震の孫(じしんのまご)とは、霊界物語で使われている言葉。「鯰(なまず)」のこと、あるいは鯰が暴れて起きる程度の「小さな地震」を表現していると思われる。
概要
決して王仁三郎独自の言葉ではないが、辞書に掲載されているほど一般的な言葉でもない。
国立国会図書館デジタルコレクションで用例を調べてみると、「瓢箪鯰(ひょうたんなまず)」という長唄の歌詞で使われているケース(多数の歌謡本に収録されている)が多い他、霊界物語で使われているケースが目立つ。
【長唄「瓢箪鯰」】
- 〈汝元来地震の孫《まご》曽孫《ひこ》、やしやごかきしやごか、小癪な身ぶるひ〉〔『日本音曲全集 第15巻』昭和3年、560頁、NDLDL蔵書 PID:1883921/1/297〕……この「曽孫《ひこ》」の注釈として次のように記されている。〈孫の子。地の底にはマンゴの魚《うを》と称して、鯰に似た大きな魚が棲みそれが尾鰭《をひれ》を動かすと、大地が震ふと云《いひ》伝へられたので、鯰を地震の孫《まご》曽孫《ひこ》と云ふのである〉。「マンゴの魚《うを》」とは「万劫魚」のことで〈地底ニ居リテ地震ヲ起ス動物ト云フ〉[1]。つまり地震を起こす「万劫魚」のミニチュア版として鯰を「地震(万劫魚)の孫か曽孫か」という意味で、「地震の孫・曽孫」と呼ぶようである。
【その他の用例】
- 〈池の鯰を捕えて地震の孫ぢやと喚く田舎者の目にも〉〔村上浪六『古賀市』明治28年、50頁、NDLDL蔵書 PID:886316/1/30〕
- 〈相棒は遠くから此の状を見ないでも御座いません、此奴は棒端に囓り付いて地震の孫か蒟蒻の兄弟分かトコロテンの橋でも渡るやうにビリビリ慄い出した〉〔玉廼家雀燕 講演『豪傑柳生六郎』明治42年、146頁、NDLDL蔵書 PID:890014/1/78〕
- 〈それでも今度の地震(大正十二年)に比べて見ると先づ地震の孫のやうなものでせうが〉〔『下曽我田島郷土誌』昭和3年、237頁、NDLDL蔵書 PID:1090803/1/127〕
【霊界物語での用例】
- 〈たちまち菎蒻の幽霊か地震の孫のやうに、ブルブル慄ひだし〉〔第2巻第27章「湖上の木乃伊」#〕
- 〈顔色土のごとくに変じ、わなわなと地震の孫の火事見舞のやうに震ひ出しける〉〔第4巻第14章「大怪物」#〕
- 〈肝腎の自称宣伝使孫公別は、地震の孫よろしく歯の根をガチガチ云はせ乍ら、蒼白の顔してスクミ上つてゐる〉〔第35巻第14章「空気焔」#〕