スコブツエン宗
スコブツエン宗(すこぶつえんしゅう)は、霊界物語に登場する宗教。教祖はキューバー[1]。バラモン教と「変名同主義」[2]の宗教。
概要
- 表記ゆれ:スコブッツエン宗
- 略して「スコ教」と呼ばれる場合がある。
- 第70巻と第72巻だけに出るが、第70巻では「スコブツエン宗」、第72巻では「スコブッツエン宗」と表記されている。
- 初出:第70巻総説#、第70巻第1章「信人権」#
- 月の国(インド)のデカタン高原にトルマン国がある。国民の過半数はウラル教を奉じ、一部はバラモン教に入っていた。バラモン教の大教主・大黒主はトルマン国全部をバラモン教の勢力下に置こうとするが、とうていバラモン教という名前ではこの国には広まらないと覚り、寵臣のキューバーに命じて、スコブツエン宗という、バラモン教と変名同主義の宗教を作らせた。国民の2~3%はスコブツエン宗に入信した[3]。
- スコブツエン宗はバラモン教の大教主・大黒主が自ら作らせた、バラモン教の〈別派〉、別働隊、ダミー団体である[4]。大黒主は万一バラモン教がウラル教や三五教によって滅ぼされた時にはスコブツエン宗に身を移すため、キューバーにスコブツエン宗を作らせた[5]。
- バラモン教も難行苦行を特徴とするが、スコブツエン宗はさらに厳しく怖ろしい苦行の団体である。様々な苦行を信徒に強いるが、特にはなはだしい苦行は、婦人が男性化する修業である。変性男子の誓願を立てて、女性であることを脱することが、最も重要視されている。その方法には「卵巣除去法」と「乳房除却法」がある。「卵巣除去法」の修業は、100人中、99人までが命を落とす残酷な修業である。「乳房除却法」は、白熱した火箸で婦人の乳房を焼き切る。その修業を達成した者は、教主および重役人が婆羅門大神へ奉仕を標章するため、焼印を押す。これを「熱火の洗礼」と称する。こうして切り落とされた乳房は聖壇に供えられ、これを捧げた犠牲者は聖座に安置されて、神のごとくに崇敬される。そして聖晩餐の食物中には、その乳房の断片が混ぜられ、会衆一同これを食べ終えると、犠牲者の周囲に熱狂的な舞踏が演じられる。。その光景は実に凄惨きわまるもので、正しい神々の所為ではない。婦人のシンボルは乳房だという観念の下に立てられた邪教である。[3]
- 第70巻第22章#に、トルマン国の王妃である千種の高姫が、左守の妻モクレンを神の生贄にするために、焼け火箸をモクレンの乳房に押し当てようとするシーンが出る。(三五教の宣伝使・照国別が現われて助かる)
主なエピソード
→教祖の「キューバー」を見よ
現実のスコブツエン宗
当時ロシアにスコブツエンというキリスト教系の宗教があった(現在はあるかどうか不明)。男女共に去勢することが特徴。日本語で「去勢宗」とも呼ばれる。
- 『生理学研究 2(1)』大正14年(1925年)、NDLDL蔵書 PID:1544657/1/25
- 田中香涯『耽奇猥談』昭和4年(1929年)、NDLDL蔵書 PID:1702661/1/149
- 田中香涯『愛と残酷』昭和5年(1930年)、NDLDL蔵書 PID:1054915/1/47
脚注
- ↑ 第70巻第9章「針魔の森」#:キューバーのセリフ「バラモン尊天の神力を充したるスコブツエン宗の教祖キユーバーで御座る」、他
- ↑ 第70巻第1章「信人権」#:「寵臣のキユーバーに命じ、バラモン教の名を避けて、スコブツエン宗と云ふ、変名同主義の宗教を築かせ」
- ↑ 以下の位置に戻る: 3.0 3.1 第70巻第1章「信人権」#
- ↑ 第70巻第1章「信人権」#:〈大黒主の内命を受けて開いて居る婆羅門教の別派、スコブツエン宗は由来難行苦行を以て神に奉仕の誠を捧ぐるものと為し、聞くだに恐ろしき苦行の教団である。〉
- ↑ 第70巻第1章「信人権」#:〈大黒主は万々一婆羅門教が、ウラル教又は三五教に潰された時は、スコブツエン教に身を托すべく、彼れキユーバーに数多の機密費を与へ、且つ特殊の権利と地位を与へて、隠密の役目を申付けて居たのである。〉