虱の歌
虱の歌(しらみのうた)[1]とは、霊界物語第56巻第4章「盗歌」#に記されている、虱に関する一連の狂歌のこと。
六造が詠んだ歌で、全部で12首あるが、すべて『狂歌咄 巻第五』に掲載されている歌である。それを六造が作った歌のように歌っているので章題が「盗歌」になっている。
『狂歌咄』は狂歌を中心とした逸話集。江戸前期の仮名草子作者である浅井了意が書いたもので、寛文12年(1672年)に刊行された。全5巻。柿本人丸・小野小町など先人に歌われた短歌や狂歌、また、その時代の狂歌などを紹介している。曾呂利新左衛門の狂歌をまじえた逸話を巻第一の冒頭に収め、『曾呂利狂歌咄』に改題した本もある。
「盗歌」に記されている歌は、『狂歌咄』の中で「虱四季の歌」と呼ばれている歌が4首、「虱六道の歌」が6首、そしてその前後に記されている歌2首の、計12首である。
- ヘルが「ソロリソロリと新左衛門坊主の云ふやうな事を吐くぢやないか」と六造に言っているが、「ソロリソロリと新左衛門坊主」とは曾呂利新左衛門のこと。
- シャルが「十八世紀のお茶坊主が吐いた歌ぢやないか」と六造に言っているが、俳人の小林一茶(1763~1828年)が詠んだ俳句には虱を詠んだ句が多数ある。しかし俳句なので「十八世紀のお茶坊主」とは小林一茶ではないだろう。誰を指しているのかは不明。
参考文献
- 国立国会図書館デジタルコレクション蔵書『滑稽本集』 PID:1906668/1/270、国民文庫刊行会 編・発行、大正元年(1912年)
- 平凡社『世界大百科事典』(下のコトバンク)
- 愛善世界社版霊界物語第56巻の注記 287~288頁