天の浮橋
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天の浮橋(あまのうきはし、あめのうきはし)は、
- 霊界物語に登場する橋。大洪水前に空に現れた丁字形の黄金橋のこと。
- 霊界物語第5巻第24章の章題。「あまのうきはし」と読む。
- 霊界物語の天祥地瑞に登場する。玉泉郷の東南隅に立てられた三層楼の高殿を、天の浮橋に喩えて、世司比女の神と太元顕津男の神が歌に詠んだ。第73巻第32章「玉泉の月」#だけに出る。「あめのうきはし」と読む。
本項では丁字形の黄金橋である天の浮橋について解説する。
概要
- 初出:第4巻第49章「神示の宇宙 その四」#(古事記の天の浮橋について言及)、第5巻第10章「奇々怪々」#(丁字形の黄金橋について言及)
- 読み方:霊主体従篇では「あまのうきはし」、それ以降では「あめのうきはし」とルビが振られている。
- 別名:天橋(てんきょう)、黄金の大橋(こがねのおおはし)[1]
- 表記ゆれ:天浮橋(あめのうきはし)
主なエピソード
大洪水前
大洪水の前は、天の浮橋は地上の神人を大洪水から救うための橋となる。
- 国祖隠退後は地上の各地で異変が続出していた。竜宮城では「三重の金殿」が突然鳴動し天に向かって延長して行き雲に達し、その尖端が左右に分かれて東西に延長し、天に黄金の橋を架け渡したかのように変わってしまった。この丁字形の黄金橋を「天の浮橋」と呼ぶ。〔第5巻第10章「奇々怪々」#〕 これは三重の金殿に祭られている「顕国の御玉」の神威が発揚したもので、あたかも両刃の剣を立てたかのように黄金の柱が空に延びた。〔第5巻第24章「天の浮橋」#〕 この両刃の剣の形で天に冲するときを「ミロク塔」と呼ぶ。〔第5巻第48章「弥勒塔」#〕
- 地球の中心の「火球」から金気が昇騰して顕国の御玉となり、この玉の威徳によって国の御柱が中空に高く延長し、その頂上は左右に分かれ、左は男神が渡る橋で、右は女神が渡る橋である。この黄金橋は滑らかで、油断すると滑って地に転落してしまう。〔第5巻第24章「天の浮橋」#〕
- 天の浮橋は空を東西南北に回転し始めた。橋の尖端からは、美しい金色の火光が花火のように地上に向かって放射される。その様子は実に荘厳無比で美しかった。〔第5巻第16章「霊夢」#〕
- この強い光のために目が見えなくなる者も現れた。橋の尖端から金色の星が幾十も放出されて、ウラル山上の盤古神王の宮殿に落下した。盤古神王はそれを大神の恵みと感謝し、その玉を拾い集めて神殿に安置し、日夜祭祀を行った。〔第5巻第19章「旭日出暗」#〕
- 天の浮橋は東、南、西、北と緩やかに回転し、橋の各部から、美しい細い金色の霊線が発生し、糸柳の枝のように地上に垂れ下がった。この金色の霊線の終点には、金・銀・銅・鉄・鉛などの鈎(鉤)が付着している。これを「神の御綱(かみのみつな)」と呼び、また「救いの鈎(すくいのかぎ)」とも呼ぶ。〔第5巻第23章「神の御綱」#〕
- 言触神は、正道に帰順する神人の頭に「神」の字の記号を付けた。「神」の記号を付けられた神人は、金色の霊線の末端の鈎に掛けられ、橋の上に引き揚げられて行った。金色の霊線の鈎で引き揚げられる神人は上中下の身魂の中で「上の身魂」である。天の浮橋には銀色の橋が発生し、銀色の霊線が地上に垂下した。この鈎で引き揚げられる神人は「中の身魂」である。また銅色の橋が発生し、銅色の霊線で引き揚げられる神人は「下の身魂」である。しかし途中で落下してしまう神人もいた。〔第5巻第23章「神の御綱」#〕
- 瑞月(王仁三郎)は、最初は銀色の霊線で銀橋に引き揚げられ、国姫神から「小松林命」という神命を与えられた。そして一旦地上に落下して、原野の猛獣たちを黒布を通して見ると、それは人間であった。今度は金色の霊線で引き揚げられ、金橋の上に立った。そして国姫神から「この橋を東方に向かって渡れ」と命じられる。金橋は東から南、西、北へ旋回し、再び東に戻り、橋の東端が天教山の頂上に触れた。そこで木花姫命を始め数多の神人が王仁三郎を見て「ウローウロー」と叫び歓迎する。王仁三郎は天教山の山頂に立った。〔第5巻第24章「天の浮橋」#〕
- 天教山で木花姫命の宣示を奉じた月照彦神、足真彦神らの神々(宣伝神)は、回転してきた銀橋に乗って、ヒマラヤ山に降り立った。〔第5巻第26章「艮坤の二霊」#〕 (この後、ヒマラヤ山で野立姫命の垂訓を受けて宣伝神たちは世界各地へ宣伝のため旅立って行く)
- 彼ら宣伝神(宣伝使)たちが世界各地に配置されてから、今まで天空を回転していた金銀銅の天橋の光は、突然消え失せてしまった。〔第5巻第29章「神慮洪遠」#〕
- 金銀銅色の金橋は金銀銅色の霊線を垂下し、その端の「救いの鈎」で正しき神人を橋の上に引き揚げて行った。天橋は回転し、天教山、地教山、その他数ヶ所の高山の頂に、救われた神人を送って行った。悪逆無道のウラル彦、ウラル姫も何故か銅橋に救われていた。また常世神王、盤古神王は金橋の上に救われた。ウラル彦はアルタイ山に運ばれた。この山には大小無数の蟻がうずたかく積もっていて、ウラル彦は全身を蟻に包まれ針で突かれた。アルタイ山に運ばれた神人は極悪の神人ばかりで、極善の神人は天教山と地教山に救われた。〔第6巻第16章「大洪水(二)」#〕
- 救うべき神人がなくなると、金銀銅の天橋は合体して一つの黄金の長橋となった。天変地異によって地上は惨憺たる光景となる。地教山の野立姫命は、回転してきた黄金の橋に飛び乗り、天教山に下りた。〔第6巻第17章「極仁極徳」#〕 (この後、野立彦命と野立姫命は、森羅万象の贖いのため、天教山の噴火口に身を投じる)
大洪水後
大洪水の後は、天の浮橋は泥海の大地を修理固成するための足場となる。
- 大国治立命は、泥海と化した大地を修理固成するため、日月界の主宰神である伊邪那岐尊、伊邪那美尊に「天の瓊矛」(北斗星のこと)を賜い、天の浮橋から地上の海原を瓊矛で掻きなさした。数年を経て水は減じ、地上は再び元の陸地となった。〔第6巻第18章「天の瓊矛」#〕 (ただしここ以外の箇所では、天の浮橋に立った神は天照大神を入れて三柱になっている) 大国治立命の左守神である高皇産霊神と、右守神である神皇産霊神は、自分の精霊である撞の大御神(天照大御神)、神伊弉諾の大神、神伊弉冊の大神の三柱に天の瓊矛を授け、天の浮橋に立たしめ玉い、海月の如く漂う地上を潮許袁呂許袁呂(しお こおろ こおろ)に掻き鳴し玉い、日の大神の気吹によって地上一切を乾燥させ、総ての汚穢塵埃を払い退けた。この息から成った神を伊吹戸主神と言う。〔第6巻第19章「祓戸四柱」#〕 (この後、三柱は天教山の青木ケ原に降り立ち、「美斗能麻具波比」の神業を行う)
言霊学
- 「息が胞衣の内に初めて吹く」を名付けて「天の浮橋」と言う。その意義は「ア」は「自ら」ということ、「メ」は「回(めぐ)る」こと、「ウキ」はウキ、ウクと活用し、「ハシ」はハシ、ハスと活用する言葉である。「ウ」は「水」にして「ウキ[2]」なり。「ハ」は水にして横をなす「ハシ[2]」である。「水火(いき)自然に廻り、浮発(ふはつ)して縦横を為す」を「天の浮橋」と言う。大本神諭に「この大本は世界の大橋、この橋渡らねば世界の事は判らぬぞよ。経と緯との守護で世を開くぞよ。日の大神、月の神様はこの世の御先祖様であるぞよ」とあるのはこの意味である。「天地及び人間の初めて木を発(ひら)く」を「二神、天の浮橋に立ちて」と言うのである。「孕みて胎内に初めて動く」は「天の浮橋」であり「綾の大橋」である。〔第10巻第27章「言霊解一」#〕
- 言霊学上、「オホモト」は「オ」に返る。オの声は「天の浮橋」であり、天地神霊が昇降される言霊である。〔出口王仁三郎「大本神諭に就て#」『出口王仁三郎全集 第5巻』〕
古事記の天の浮橋
「天の浮橋」はもともと古事記に登場する橋で、次の3回登場する。天と地の中間にあって、空中に浮いている浮島のような存在である。
- 伊邪那岐命、伊邪那美命は天の浮橋に立ち、天の沼矛を下ろして塩コオロコオロに掻き鳴して引き上げると、矛の先から滴り落ちた塩が重なり積もって島となった。これが淤能碁呂島である。
- 天照大御神は、豊葦原の水穂の国は我が御子、忍穂耳命が治める国であると言依さし、天降した。忍穂耳命は天の浮橋に立って、豊葦原の水穂の国はひどく騒いでいると告げ、還って天照大神に報告した。
- 天孫降臨の際、邇邇芸命は天の磐座を離れ、天の八重雲を押し分けて、稜威(いづ)の道別(ちわ)きに道別きて、天の浮橋に立ち、それから筑紫の日向の高千穂に天降った。