大本教の解剖
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大本教の解剖(おおもときょうのかいぼう)は、中村古峡(なかむら こきょう、1881-1952年、心理学者)の著書。変態心理学(現在の異常心理学・超心理学)の第一人者である中村が、「変態心理に関する研究の副産物」として書いた本。大本の思想が不敬・反国体という政治的観点ではなく、思想や宗教現象が非科学的で迷信であるというような観点から批判している。大正9年(1920年)発行。
概要
題名 | 大本教の解剖 |
---|---|
副題 | 学理的厳正批判 |
著者 | 中村古峡 |
発行日 | 大正9年(1920年)8月5日 初版 |
発行所 | 日本精神医学会 |
頁数 | 412 |
定価 | |
OBN | OBN:1147 |
中村古峡は大正6年(1917年)に日本精神医学会を設立し会長となり、雑誌『変態心理』を創刊した。この時はまだ精神医ではなく、医師免許を取得したのは昭和3年(1928年)である。
目次
序文
- 偏執病性の思想 医文学博士 富士川游
- 正信か迷信か 高島米峰
- 軟心派と硬心派 慶大文学部長 川合貞一
- 憂ふべき病的思想 東洋大学長 境野黄洋
- 迷信に陥り易き心的傾向 医学博士 片山国嘉
- 進歩的文明教の二要素 文学博士 井上哲次郎
- 神霊の作用と催眠現象 慶大教授 清水静文
- 現行宗教に対する一大侮辱 文学博士 高楠順次郎
- 宗教の真生命 法学博士 筧克彦
- 余の迷信観 文学士 生田長江
- 迷信的現象の社会的観察 堺利彦
- 咄嗟の感想 文学博士 金子筑水
- パラノイアと自分 法学博士 河上肇
- 心霊現象研究の態度 松村介石
- 真理は最後の勝利者なり 文学博士 野上俊夫
- 神秘と病的 医学博士 今村新吉
- 宗教と科学と芸術と 早大教授 田中王堂
- 知らぬる事は云はぬが宜し 杉村楚人冠
- 酒と宗教 文学博士 三宅雪嶺
- 自序 著者
本論
- 大本教の迷信を論ず
- p001/一、序言
- p006/二、大本教の略沿革
- p013/三、大本教の鎮魂帰神法
- p023/四、大本教の所謂憑霊
- p037/五、大本教祖の御筆先
- p050/六、所謂お筆先の予言的価値
- p062/七、結論
- 大本教徒の心理解剖
- p067/一、体主霊従以下の偏狭な神様
- p071/二、手の付けやうのない幹部連
- p076/三、大本教徒の心理的分類
- p082/四、出口王仁三郎の心理解剖
- p091/五、出口王仁三郎の日常生活
- p103/六、浅野文学士の心理解剖
- p121/七、其他の幹部連
- p127/八、迷信に入るの径路
- p133/九、友清天行の裏切事件
- p136/十、大本教の所謂神宝
- p140/十一、将来の大本教
- 大本神諭の真偽解剖
- p144/一、真筆の御筆先
- p164/二、真筆の御筆先の解剖
- p167/三、偽筆の御筆先
- p172/四、偽筆の御筆先の解剖
- p175/五 浅野文学士に質す
- 比較宗教学上より見たる大本教の位置
- p179/一、宗教発達の過程
- p183/二、大本教の神の概念
- p188/三、古代諸民族の宗教
- p193/四、神話への復帰即ち退化
- p197/五、古事記の珍解釈
- p204/六、死後の霊魂
- p207/七、戦闘的布教の回々教
- p211/八、基督教の神人関係
- p217/九、釈迦の主観的大悟
- p230/十、時代と予言者
- p235/十一、科学と新時代の宗教
雑篇
- 余の観たる大本教(講話)
- p243/一、前置き
- p245/二、大本教祖の略歴
- p255/三、出口教主の略歴
- p263/四、大本教の所謂神諭
- p270/五、大本教の霊魂説
- p273/六、神人の階級
- 変態心理学上より憑霊の現象を説いて大本教の真髄に及ぶ(講話)
- p279/一、挨拶
- p280/二、憑霊の現象
- p286/三、変態心理学に由る説明
- p290/四、唯霊派の主張
- p297/五、大本教の真髄
- 宗教的催眠現象(翻訳)
- p305/一、宗教的催眠現象と婦人
- p308/二、宗教的舞踏病と宗教的神経病
- p312/三、催眠的宗教現象と露国民
- p317/四、催眠現象と原始的種族
付録
- 神憑の現象に就いて 医学士 森田正馬
- p325/一、神憑とは何ぞ
- p328/二、降神術
- p332/三、憑依と名けらるるものの種類
- p334/四、憑依の起る原因的関係
- p338/五 憑依現象
- p343/六、精神病者に来る憑依現象
- p345/七、他人の精神交通が所謂自働書記に現はれる女の例
- p352/八、神霊の感通により世の中切替をなさんとする男の例
- p363/九、神憑の説明
- 大本教の調査報告 京都府警察本部発表
- p374/一、第一回の調査
- p383/二、第二回の調査
- 宗教の起源と精神病 医学博士 榊保三郎
- p393/一、迷信とは何ぞ
- p394/二、迷信と信仰
- p397/三、宗教の起源
- p399/四、奇蹟と病的症状
- 大本教に就いて 文学博士 姉崎正治
- p401/一、はしがき
- p402/二、迷信遍歴者と有識階級
- p403/三、現世利益と偏狭な国家主義
- p405/四、科学的研究精神の欠乏
- p407/五、宗教感化の失墜
- p408/六、中村文学士の『解剖』に就いて
- p409/七、内務省の行政処置に就いて