鉈理屈
高島丸で高姫が、従者の常彦・春彦に屁理屈を捏ね回すので、二人は呆れかえってしまう。
特に高姫の次のセリフが「鉈理屈」だと思われる。〈船頭(注・船長のこと)の奴、帆柱の上へ吊りあげて見た所、余り日の出神の御光がきつうて、目が眩みさうになり、お客までが目舞が来さうなので代表者が二人やつて来て、船頭に掛合ひ、其為に止むを得ずおろしよつたのだ。そこが所謂神の御神力、御都合ある所だ。こんな水も洩らさぬ仕組が、お前達に分つて堪るものかい〉
前章〔第28巻第19章「高島丸」#〕の後半で、船長タルチールは、妄動を繰り広げる高姫を縛って帆柱に逆様にして吊り下げた。そこへやって来た言依別命・国依別が船長に目配せして、高姫を帆柱から下ろさせた。そのことを前述の高姫のセリフでは、「日の出神(ここでは高姫のこと)の御威光がきつくて目がくらみそうになったので下ろしたのだ。それが神の力だ」と屁理屈を捏ね、自分は偉い人間なのだと強弁している。
意味
「鉈理屈」とは、おそらく「大胆な屁理屈」というような意味である。
「鉈理屈」という言葉は霊界物語で使われているだけで、世間一般では使われておらず、王仁三郎の造語あるいは一部の狭い地域だけで使われていた言葉ではないかと思われる。
霊界物語では本章の章題の他、本文で次の2回使われている。
- 第27巻第1章「高姫館」#:国依別が長々と屁理屈を捏ねた後、高姫が〈コレコレ黒姫さま、高山彦さま、お前も随分鉈理屈が上手だが、国さまにかけちや側へも寄れますまい。〉
- 第33巻第2章「灰猫婆」#:常彦とカールの会話の中で、常彦が〈それから高姫さまは夜の明ける迄一目も寝ず、奥の間でブツブツと独言を云つて言依別がどうの、松若彦がどうのと、ハツキリは分らぬが、大変にこぼしてゐました。私も夜明け前になつてからグツと寝て了ひ、目をあけて見れば、高姫さまのお姿が見えない、コリヤ大方、松若彦様の御宅へ出て来て、又もや生れつきの持病を起し、鉈理屈をこねて困らせてゐるに違ひない〉
このように、国依別や高姫の特徴の一つとして「鉈理屈」が挙げられている。
「鉈」は刃の重みで力強く叩き割るような道具であるため、「鉈」がつくことわざや慣用句には、「大鉈を振るう」とか「鉈を入れる」など、「大胆」とか「力任せ」という意味がある。そのため「鉈理屈」とは「大胆な屁理屈」というような意味で使っているのではないかと考えられる。