空中郵便
空中郵便(くうちゅうゆうびん)とは、霊界物語に記された予言。21世紀の初期から開始されたという通信手段。
目次
概要
第15巻第19~21章は言依別命一行4人(言依別命・玉彦・厳彦・楠彦)が神界を旅行するエピソードが描かれている。そこは第一天国であり、また50世紀の未来でもある。
「十重の神殿」(十重の塔)で14~5羽の鳥のようなものが羽を休めており、よく見るとそれは羽根の生えた小さな人間だった。案内役の天使・松彦が、一同に次のような説明をする。
- 彼は天地の間を往来して神々の言葉を伝える「使神(つかいがみ)」である。
- 地上の世界は炎熱が甚だしくなったので、罪の軽い神人は残らず「日の御国(ひのみくに)」に移住することになっている。そのために「空中郵便」が開始された。使神は30世紀前(つまり20世紀)の郵便配達夫の役を務めている。
- 日の御国に用事があれば、ここで手紙が書けばよい。この十重の神殿は天地の文書の往復を担当する一等郵便局のようなものである。
- 今日の時代(50世紀)は鉛筆のようなものは必要ない。指先で空中に七十五声の文字を記せば、配達夫(つまり使神)が直ちに配達してくれる。
- この「交通機関」(と言うよりは通信手段)は21世紀の初期から開始されている。
松彦は右の指で空中に七十五声の片仮名を綴って一つの語を作り、「これで手紙が書けました。文字が言語を発する時代となって来ました」と言う。言依別命らは耳を傾けて文字の声を聞くと、それは音楽のように聞こえて来て、文面が明瞭に聞こえた。
使神は空中の文字をクルクルと巻いて羽の間に挟むと、天空を目がけて飛び去った。
すぐに使神がこの場に降って来て、松彦に空中返書を手渡す。空中文字の返書が声を発して、文面が聞こえた。
(この後、「空中交通機」が登場する)
予言の解釈
空中郵便は21世紀初頭から開始されたということで、未来予言として扱われている。
指で空中に文字を書いたということで、現時点では携帯電話やスマーフォンのメールサービスのことだと解釈されるが、文字が声を発するとも記されているので、今後新たなサービスが登場する可能性がある。
解釈の変遷
八幡書店社主の武田崇元が学研『ムー』に1993年と2005年に掲載した総力特集記事の中で、空中郵便に関する解釈を記している。時代の変化と共に解釈が変遷していることが分かる。
12年前に王仁三郎の特集を執筆した段階では、これが何を予言しているのかわからず、せいぜい「ワープロ、ファックスの出現」と指摘したのみだった。
しかし2005年の現在、われわれは改めて王仁三郎の予言に驚かざるをえない。これはまさに、電子メールの予言でなくてなんであろう。
未来世界を垣間見た王仁三郎は、電車の中で携帯電話でメールを打っている人々の姿を表現したのだろう。これこそ21世紀の初期から急速に普及しはじめた技術で、わずか十数年前のわれわれでさえ、想像もできないものだったのだ。また1983年に発行された『出口王仁三郎の霊界からの警告』では、この空中郵便を単にワープロやファックスの出現と解していたが(同書p172)、30年後の2013年に発行された『新約出口王仁三郎の霊界からの警告』ではiPhoneや仮想キーボードなどの最新テクノロジーを紹介して空中郵便を次のように解している。
(略)筆者がこの予言を初めて紹介したのは、昭和五十八(一九八三)年のことである。当時はこれが何を正確に予言しているのかわからず、せいぜい「ワープロ、ファックスの出現」と解読したのみだった。
しかし、二〇一三年の現在、私たちは改めて王仁三郎の予言に驚かざるをえない。これはまさに、電子メールや携帯電話の予言でなくて何であろう。(略)
細部の技術的な進化やさらなる高速ブロードバンド化という課題はあるにせよ、iPhoneはパーソナルな複合端末としては、ほぼ考えうる完成型であるといえる。まさに「この交通機関は二十一世紀の初期から開始された」のである。(略)
今「仮想キーボード」という技術が注目を集めつつある。(略)ここではもはや物理的実体としてのキーボードは存在せず、ユーザーは仮想のキーボードにタッチするのであり、まさに「空中に文字を記す」のとますます近い状態になりつつある。
さらにロシアのディスプレイエア社が二○一一年に開発したエアタッチ・システム」では、ディスプレイもキーボードも空中に投影され、言葉の厳密な意味で「指先をもって空中に七十五声の文字を記す」さまが見られた。