釣魚の悲
釣魚の悲(ちょうぎょのかなしみ)は、霊界物語第7巻第16章#の章題。
「釣魚」とは魚を釣ること。
「釣魚の悲」とは、一度出世したり引き立てられた者が、さらに優れた者が現れたことで主人の寵愛を失い、見捨てられる悲しみのたとえ。中国の戦国時代の歴史書『戦国策(魏策)』に登場する、魏の王と寵臣(お気に入りの家来)である龍陽君(りゅう・ようくん)の逸話が由来。日本ではあまり使われないが、中国では「泣前魚」(きゅうぜんぎょ)とか、「龍陽泣魚」(りょうようきゅうぎょ)等と表現される故事。
龍陽君が魚を釣っていて、大きな魚を釣ると、それまで釣った小さな魚を捨てたくなった。そこで「自分より美しい女性が現れたら、王は自分を捨てるだろう」(龍陽君は男性だが、仮に女性にたとえた)と考えて泣いた、という話である。
本章では国彦と、その息子・高彦、その恋人・奇姫の三人の関係の中に「釣魚の悲」があるのだと思われる。
三人は白雪郷の住民である。高彦と奇姫は恋に落ちたが、周りが許さない恋で、高彦は村に居ることができなくなり、常世の国に行くために船に乗った。奇姫はその後を追った。父・国彦も息子を勘当したものの親子の情は捨てがたく、後を追った。三人は互いに同じ船に乗っていることに気が付かなかった。奇姫が歌を歌ったことで、国彦と奇姫は同船していたことに気づく。国彦は奇姫を憎んでいたが、しかし歌を聞いて、奇姫を許し、息子が見つかったら三人で仲良く暮らそうと言った。しかしなぜか奇姫は海に身を投げてしまう。国彦は助けようとして海に飛び込んだ。〔以上第7巻第14章「怒濤澎湃」#〕
高彦も、奇姫が歌を歌っていたので奇姫が同船していることに気づき、さらに父・国彦もいることに気づいた。その目の前で奇姫と国彦が海に飛び込んでしまったので驚き悲しむ。自分も後を追おうとしたが「身投げは思いとどまれ」という声が腹の底から聞こえてきたため身投げをやめた。〔第7巻第16章「釣魚の悲」#〕
次章(第7巻第17章「亀の背」#)で二人は大きな亀(琴平別神)の背中に乗って海から現れ、救出される。しかし奇姫がなぜ身投げしたのか理由は書かれていない。
奇姫から見ると、恋人(高彦)の父(国彦)が現れたことで、恋人に見捨てられると思ったか? それが「釣魚の悲」ということだと解釈できる。
高彦の立場では、あまり「釣魚の悲」ということにはならない。