天足彦・胞場姫
(胞場姫から転送)
天足彦(あだるひこ)と胞場姫(えばひめ)は、霊界物語に登場する人物。人体の祖[1]。
概要
- 初出:第1巻発端#
- 名前は聖書のアダムとエバ(イブ)に由来すると思われる。
- 天足彦・胞場姫が「アダム」「エバ」と表現されている箇所もある。【例】〈蜈蚣姫の腹中に潜む魔神はアダム、エバの悪霊の裔なる大蛇の守護神だ〉[2]
- 聖書の失楽園伝説に似たようなエピソードが霊界物語にも記されている。(後述)
- 三種の邪霊は天足彦・胞場姫の邪念が凝って発生した。(後述)
- タクシャカ竜王は天足彦・胞場姫の〈末裔〉だと書かれている[3]。ただし海王星から現れたタクシャカ竜王が胞場姫に〈憑依して 神の教に背か〉したとも書かれている[4]。
- 人間には、神々の水火《いき》によって生まれた系統と、天足彦・胞場姫から生まれた系統の二種類ある。両者にはその性質に大変な相違がある。神の水火から生まれた人間は頭髪が黒く漆のようである。天足彦・胞場姫から生まれた人間の子孫は頭髪が赤い。しかし今日では何れの人種もみな九分九厘まで体主霊従の身魂に堕落しており、両者の判別は付きがたく、どの人種も平等となっている。[5]
主なエピソード
天足彦と胞場姫は劇中には登場せず、ナレーションベースで説明されているだけである。
天の大神は最初に天足彦、胞場姫の二人を造り、人体の祖とした。そして霊主体従の神木に体主霊従《ちしき》の果実を実らせ、「この果実を食うべからず」と厳命し、二人の性質の如何を試みた。天足彦は胞場姫のために、神勅に背いて霊主体従の本義を忘れ体主霊従《ちえ》の果実《このみ》を食べてしまった。その霊性はたちまち悪化して、子孫に悪念を遺しただけでなく、邪念が凝って三種の邪霊(八岐大蛇、金毛九尾の悪狐、六面八臂の邪鬼)となり、世界を混乱紛擾させた。〔第1巻発端#[6]、第3巻総説#[7]、第10巻第15章「言霊別」#[8]〕
外部リンク
脚注
- ↑ 第1巻発端#:〈人体の祖〉。第3巻総説#:〈人体の元祖神〉。
- ↑ 第24巻第6章「アンボイナ島」#
- ↑ 第60巻第4章「木遣」#:〈天足の彦や胞場姫が 霊《たま》の御末裔《みすゑ》と現れませる タクシャカ竜王〉
- ↑ 第60巻第9章「夜光玉」#:〈天足の彦や胞場姫の 珍の御子をば生みたまふ かかる所へ天界の 海王星より現はれし 汝タクシャカ竜王は 神の御国を汚さむと 胞場の身魂に憑依して 神の教に背かしめ〉
- ↑ 第2巻総説#:〈(略)おひおひ神々の水火《いき》によりて生れたまひし神系と、また天足彦、胞場姫の人間の祖より生れいでたる人間との、二種に区別があり、神の直接の水火《いき》より生れたる直系の人間と、天足彦、胞場姫の系統より生れいでたる人間とは、その性質において大変な相違がある。そして神の直接の水火《いき》より生れ出たる人間は、その頭髪黒くして漆の如く、天足彦、胞場姫より生れたる人間の子孫は赤色の頭髪を有している。天足彦、胞場姫といへども、元は大神の直系より生れたのであれども、世の初発にあたり、神命に背きたるその体主霊従の罪によつて、人間に差別が自然にできたのである。 されども何れの人種も、今日は九分九厘まで、みな体主霊従、尊体卑心の身魂に堕落してゐるのであつて、今日のところ神界より見たまふときは、甲乙を判別なし難く、つひに人種平等の至当なるを叫ばるるに立いたつたのである。〉
- ↑ 第1巻発端#:天の大神は、最初に天足彦、胞場姫のふたりを造りて、人体の祖となしたまひ、霊主体従の神木に体主霊従の果実を実らせ、 『この果実を喰ふべからず』 と厳命し、その性質のいかんを試みたまうた。ふたりは体欲にかられて、つひにその厳命を犯し、神の怒りにふれた。 これより世界は体主霊従の妖気発生し、神人界に邪悪分子の萠芽を見るにいたつたのである。
- ↑ 第3巻総説#:〈大神は人体の元祖神として天足彦、胞場姫を生みたまひ、天の益人の種と成したまひたり。しかるに天足彦は胞場姫のために神勅にそむきて霊主体従の本義を忘れ、つひに体主霊従の果実を食し、霊性たちまち悪化して子孫に悪念を遺したるのみならず、邪念はおのづから凝つて八頭八尾の大蛇と変じ、あるひは金毛九尾の悪狐と化し、六面八臂の魔鬼となり、世界を混乱紛擾せしめ〉
- ↑ 第10巻第15章「言霊別」#:〈国祖国治立命出現されし太初の世界は(略)恰も黄金時代、天国楽園の天地なりき。然るに天足彦、胞場姫の体主霊従的邪念は、凝つて悪蛇となり、また悪鬼悪狐となり、その霊魂地上に横行濶歩して茲に妖邪の気満ち〉