島田裕巳
島田裕巳(しまだ ひろみ)は、宗教学者・文筆家。
- 昭和28年(1953年)東京都生まれ。
- 東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。
- 放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授などを経て、2008年より東京大学先端科学技術センター客員研究員。2013年より東京女子大学現代教養学部人文学科非常勤講師。
大本評
(この項は島田裕巳・著『日本の10大新宗教』(幻冬舎新書、2007年)の53頁~55頁・67頁に基づくものである)
1980年前後に、島田が甲野善紀(武術家)に会ったとき、甲野が『大地の母』(出口和明・著)の面白さについて熱く語ったのに刺激されて、図書館で『大地の母』を借りて読んだ。
島田はそれまで『邪宗門』(高橋和巳・著)や『巨人出口王仁三郎』(出口京太郎・著)を読んで大本のことは知っていたが、『大地の母』はそれらの本とは違っており、そこで繰り広げられている物語は想像を絶するものだった。物語のあまりにもドラマチックな展開に、全12巻を一気に読み終えた。
『大地の母』を読んで島田の大本に対する印象は一変した。
「そして、大本のことだけは研究すまいとも思った。それは、とても研究者があつかえるような世界ではなかったからである。大本に起こったことを合理的に解釈することなどできない。」「大本にかんしての研究は不可能だという気持ちは、今も変わらない。」(54頁)
島田は王仁三郎について、
「大本を研究することが難しいのは、何よりも、出口王仁三郎という人物が、常識をはるかに超えた存在だからである。」(55頁)
と評している。
また、現在の大本については、
「戦後、大本の教団は再建されるものの、一九四八年に、王仁三郎は亡くなっている。王仁三郎なきあとの教団は、すみや直日のもと、農業運動や平和運動に力を注ぐものの、王仁三郎生前の時代のように、運動として大きく発展することはなかった。しかも、内紛から教団は分裂し、その点でも力を失っている。逆に、戦後目立った活動を展開しなかったことで、『邪宗門』などを通して、イメージアップに成功したとも言える。」(67頁)
と評している。
外部リンク
- 島田裕巳の「経堂日記」(ブログ)
- 島田裕巳official blog(更新停止)
- 島田裕巳(Wikipedia)