先代旧事本紀
先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)は、平安時代に成立した史書。「旧事紀」「旧事本紀」とも呼ばれる。また「旧事記」と表記される場合もある。(以下、本項では旧事本紀と記す)
概要
旧事本紀の内容は全体的に記紀と同じ流れであるが、記紀よりも文章が長く詳しく記されている。物部氏や尾張氏の系図を詳しく記載したり、物部氏に関することを多く記載していることが特徴である。物部氏は邇芸速日命《にぎはやひのみこと》を祖とし、尾張氏は天火明命《あめのほあかりのみこと》を祖とする。旧事本紀では両神は「天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊《あまてるくにてるひこ あめのほあかり くしたまにぎはやひのみこと》」という神名で同一神である。
旧事本紀と呼ばれている古文書は平安時代に成立した「先代旧事本紀」と、それをもとに江戸時代に作成された「先代旧事本紀大成経」とがある。前者は全10巻、後者は全72巻から成る。さらに後者の異本として全31巻の「鷦鷯《さざき》伝 先代旧事本紀大成経」や、全30巻の「白河伯家伝 旧事紀」などがある。後者は古史古伝と同様、近世・近代に作られたものなので史料としての価値はあまり高くない。
出口王仁三郎は旧事本紀を読めと奨めている。
五伴緒のうちで現在残っているのは、近衛さん(天児屋根命中臣)だけである。忌部(太玉命)も鈿女も玉祖命も石凝姥命も全然ないようになった。明治の御一新から判らないようになった。旧事記という本をなくしてしまったので、判らないようになった。旧事記は系統が書いてある。日本国は、血統が一番大切である。旧事記を読まねばならぬ。(昭和十八年一月四日)
出典: 『新月の光』0478「系統(血統)と旧事記」
(ちょうどこの頃に『旧事記』が出版されたのを読まれていた)
『旧事記』は血統が書いてあるから大切だ。明治維新に『旧事記』をなくしたことは残念である。
(早速『旧事記』を読むと、天孫ニギハヤヒ尊のことと、開化天皇六代の孫が神功皇后であると示されていた)出典: 『新月の光』1141「旧事記を読め」(昭和20年頃の発言)
昭和18~20年頃に出版された旧事本紀は複数あるため、王仁三郎が読んだものはどれなのかは不明。
関連項目
外部リンク
10巻本
- 黒板勝美 編『国史大系 第7巻 新訂増補』(前半に真福寺文庫本の古事記、中程に神宮文庫本の先代旧事本紀、後半に神道五部書を収録)昭和11年(1936年)、国史大系刊行会、NDLDL蔵書 PID:3431619/1/98
- 国学院大学日本文化研究所 編『先代旧事本紀の研究 上巻 (校本の部)』昭和35年(1960年)、吉川弘文館(NDLDL蔵書 PID:2973112)
31巻本
- 宮東斎臣 編『先代旧事本紀大成経 : 鷦鷯伝』昭和56年(1981年)、先代旧事本紀刊行会、NDLDL蔵書 PID:12269121
30巻本