逆艪(さかろ)は、霊界物語第59巻第1章#の章題。

「逆艪」は「逆櫓」とも書き、船尾を先にして船を漕ぎ進めることが出来るように、櫓を船首に取り付けることである。

本章では、キヨの湖(テルモン湖)を、ワックスエルエキスヘルマンの4人が乗った舟が進む。しかし櫓を船首に取り付けたというような記述はない。

おそらく、浄瑠璃などで描かれる源平合戦の「逆櫓の松」から章題が取られたのではないかと思われる。源義経と戦奉行の梶原景時が逆櫓について軍議を行う。船を進めるにあたって景時はたやすく転回できるよう逆櫓を主張したが、義経は、最初から逃げることを考えては縁起が悪いと反対した。

本章では逆櫓を議論する場面はないが、三五教に寝返ろうとするヘルマンと、バラモン教の信者であり続けようとするワックスの間で、論争となる。

また、浄瑠璃『ひらかな盛衰記』三段目「逆櫓の段」に、逆櫓の稽古を行う場面があるが、そこがこの舞台の大きな見所になっている。

本章では逆櫓の場面はないものの、ワックスたちはみな舟の操縦に慣れておらず、練習を兼ねて、交代で櫓を握る。

このように「逆櫓の松」との類似性から、「逆艪」という章題になったのではないかと考えられる。

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