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(1) 【[[第15巻]]】 舞台:[[フサの国]][[北山村]]の[[ウラナイ教]]本部 | |||
[[三五教]]の[[宣伝使]]5人([[安彦]]、[[国彦]]、[[道彦]]、[[田加彦]]、[[百舌彦]])がウラナイ教本部に迷い込んで来た。黒姫は彼らをウラナイ教に改宗させようと説教する。〔{{rm|15|9|薯蕷汁}}〕 | |||
(2) 【第15巻】 舞台:[[西蔵]]の[[ラサフの都]] | |||
[[西蔵]]のラサフの都の地底にある岩窟に、広い館があり、そこで高姫・黒姫・蠑螈別を始めウラナイ教の信者数十人が酒宴を行っていた。そこへ三五教の宣伝使たち([[高国別]]ら)が宣伝歌を歌いながらやって来た。その宣伝歌に高姫・黒姫たちは苦しんだ。〔{{rm|15|17|窟の酒宴}}~{{rms|15|18|婆々勇}}〕 | |||
(3) 【[[第16巻]]】 舞台:[[丹後の国]]の[[大江山]]山麓の[[魔窟ケ原]] | |||
三五教の宣伝使・[[悦子姫]]の一行が[[真名井ケ岳]]に向かう途中、魔窟ケ原の[[衣懸松]]の傍らにある小屋(以前ここには高姫の隠れ家があったが百日前に焼失した<ref>{{rm|16|8|衣懸松}}</ref>。その焼け跡に建てられた仮小屋<ref>{{rm|16|18|遷宅婆}}:〈魔窟ケ原の中央に進み入り、衣懸松の傍に立ち止まり見れば、百日前に焼け失せたる高姫の隠家は又もや蔦葛を結び、新しく同じ場所に仮小屋が建てられありたり〉</ref>で、黒姫がアジトにしている<ref>{{rm|18|10|赤面黒面}}:〈黒姫は、又もや魔窟ケ原に現はれ、草庵の焼跡に新に庵を結び、前年高姫と共に築き置きたる地底の大岩窟に居を定め、極力宣伝に従事して居たりしなり〉</ref>)に黒姫がいた。黒姫は悦子姫一行に説教を始める。何とかウラナイ教に引き込もうと舌戦を繰り広げるが、一行は去って行った。〔{{rm|16|18|遷宅婆}}~{{rms|16|19|文珠如来}}〕 | |||
(4) 【[[第17巻]]】 舞台:[[丹後の国]] | |||
* [[フサの国]]から[[天の鳥船]]に乗って[[高山彦]]がやって来た。[[魔窟ケ原]]の岩窟で黒姫と高山彦は結婚式を挙げた。それ以前から二人は夫婦だったが、黒姫は部下に対して独身主義を高唱していた。そのため今さら夫がいるとは言えず、とはいえ欠陥があるから結婚できないのだと悪口を言われるのも癪なので、高姫に頼んで神界の都合で、ということにして、初めて夫を持つという体で結婚式を挙げた<ref>{{rm|18|10|赤面黒面}}:〈黒姫は独身主義を高唱し、盛ンに宣伝をして居た手前、今更夫ありとは打明け兼ね、私に高姫に通じて、神界の都合と称し、始めて夫を持つた如く装ひける。高山彦の表面入婿として来るや、以前の事情を知らざりし弟子達は、黒姫の此行動に慊らず、遂にウラナイ教を脱退するに至りたるなり。〉</ref> <ref>{{rm|18|14|蛸の揚壺}}:黒姫のセリフ〈これ迄独身主義を高張して来た手前、今更掌を覆したやうな所作もならず(略)あれや大方、どつか身体の一部に欠陥があるので、負惜みを出して独身生活をやつて居るのだ……何ぞと云ふ者が出来て来た。エヽ、アタ阿呆らしい。これだけ辛抱して居つても悪く言はれるのなら、持ちたい夫を持つて、公然とやつた方が、何程ましか知れないと、いよいよ決行して見たが、初めの内は夏彦、常彦をはじめ、頑固連が追々脱退し、聊か面喰つたが、案じるより生むが易いといつて、何時の間にやら、私と貴方の結婚問題も信者の話頭に上らなくなり〉</ref>(独身を主張していたくせに結婚したため部下の常彦・夏彦は黒姫に愛想を尽かしてウラナイ教を脱退してしまう<ref>{{rm|17|11|顕幽交通}}:[[夏彦]]のセリフ〈此間もフサの国から、ゲホウの様な頭をした高山彦と云ふ男が出て来て、黒姫の婿になり、天下を吾物顔に振れ舞ふものだから、誰れもかれも愛想をつかし、毎日日日脱退者は踵を接すると云ふ有様、四天王の一人と呼ばれた吾々でさへも、愛想が尽きたのだ〉</ref>)。黒姫・高山彦の結婚式の翌日(1月27日)、黒姫は高山彦らを招いて[[瑞の宝座]]を占領することを決定する。その翌日(1月28日)に大攻撃を開始した<ref>{{rm|17|7|枯尾花}}章末</ref>。〔{{rm|17|7|枯尾花}}~{{rms|17|8|蚯蚓の囁}}〕 | |||
* 黒姫・高山彦らウラナイ教の魔軍は[[真名井ケ岳]]の聖地を襲撃するが、三五教の[[加米彦]]・[[青彦]]の言霊に打たれて退却した。〔{{rm|17|5|誘惑婆}}~{{rms|17|6|瑞の宝座}}〕 | |||
* 黒姫は[[丹波村]]の[[お楢]]([[平助]]は病死した)の家に乗り込み、病気で苦しむ孫娘の[[お節]]の病を治そうと祈願する。しかし逆にますます悪化してしまい危篤状態になる。すると黒姫は「今日は大変な御用がある」と言って帰ってしまった。4~5日して黒姫が再びお楢の家を訪れると、お節の病は治っていた。お楢が[[豊国姫神]]・[[素盞嗚神]]に祈願したのである(お節の夢に青彦が現れ救ってくれた)。しかし黒姫は「自分が祈願したからだ」と偉そうな態度を取る。そこへ三五教の宣伝使となった青彦(以前はウラナイ教の高姫の部下だった)が現れ、黒姫と口論となる。黒姫が連れて来た部下の[[常彦]]・[[夏彦]]までも黒姫に愛想を尽かし、黒姫は一人で帰って行った。〔{{rm|17|9|大逆転}}~{{rms|17|11|顕幽交通}}〕 | |||
(5) 【[[第18巻]]】 舞台:[[丹後の国]]、[[丹波の国]] | |||
[[剣尖山]]の麓の谷川で黒姫が水行をしていると、三五教の宣伝使・[[紫姫]]と[[若彦]](青彦が改名)が現れた。二人はウラナイ教に帰順したいという。黒姫は大喜びで魔窟ケ原に二人を連れ帰る。〔{{rm|18|6|真か偽か}}〕 | |||
ウラナイ教の黒姫の部下8人が[[普甲峠]]の麓で、手っ取り早く信者を作るため、通りすがりの男女を騙して、魔窟ケ原のアジトに連れて行った。この男女は[[綾彦]]・[[お民]]という夫婦だった([[於与岐の里]]の[[豊彦]]の息子夫婦)。黒姫は綾彦には自分の側で働くよう命じ、お民には[[高城山]]の支所へ行って[[松姫]]の側で働くよう命じた。〔{{rm|18|7|神か魔か}}~{{rm|18|10|赤面黒面}}〕 | |||
於与岐の里の[[お玉]](豊彦の娘。綾彦の妹)が生んだ[[玉照姫]]を、黒姫は部下に命じてウラナイ教に連れて来させようとしたが、うまく行かない<ref>{{rm|18|11|相見互}}:[[鬼鷹]]のセリフ〈ウラナイ教の黒姫の奴、抜目のない……其子供を何んとか彼とか云つて、手に入れようとし、幾度も使を遣はし、骨を折つて居るさうですが、爺と婆アとが、中々頑固者で容易に渡さない〉</ref>。黒姫は、自分の側で働いている綾彦がお玉の兄(豊彦の息子)だと知り、綾彦夫婦を人質にして玉照姫を交換しようとたくらむ。〔{{rm|18|14|蛸の揚壺}}〕 | |||
フサの国から高姫が魔窟ケ原にやって来た。黒姫は玉照姫を奪う計画を高姫に報告する。高姫は玉照姫が手に入ったらフサの国へ連れて帰るつもりで、ここで待つことにした<ref>{{rm|18|15|遠来の客}}:〈玉照姫が手に入るや否や、飛行機に乗せてフサの国に帰りませう〉</ref>。〔{{rm|18|15|遠来の客}}〕 | |||
黒姫は青彦・紫姫を信用し、綾彦・お民夫婦を連れて玉照姫と交換して来るよう命じた。〔{{rm|18|16|返り討}}〕 | |||
(しかし青彦・紫姫は玉照姫を[[世継王山]]の[[悦子姫]]の館へ連れて行った。二人は最初から高姫・黒姫を騙すつもりでウラナイ教に改宗したフリをしたのである〔{{rm|18|17|玉照姫}}〕) | |||
(6) 【[[第19巻]]】 舞台:丹後の国、丹波の国 | |||
魔窟ケ原の岩窟で高姫は、青彦・紫姫が三五教に寝返り玉照姫を手に入れる作戦が失敗したことを知り、激怒。フサの国へ帰ってしまう。〔{{rm|19|2|鶍の嘴}}〕 | |||
高山彦と黒姫は玉照姫を奪うため世継王山の悦子姫の館へ向かった。しかし紫姫が[[天の数歌]]を歌うと二人は逃げ去った。〔{{rm|19|3|千騎一騎}}〕 | |||
神素盞嗚大神は、権謀術数を用いて玉照姫を手に入れた[[紫姫]]と[[若彦]]の宣伝使を解任して追放し、玉照姫は黒姫に渡せと命じた<ref>{{rm|19|4|善か悪か}}</ref>。その公平無私な態度に高姫は大きく感じ入って心を改めた。しかし黒姫は何も感じないらしく、感涙に咽ぶ高姫を見て、狐につままれたような顔をしてきょとんとしているだけだった<ref>{{rm|19|8|大悟徹底}}:高姫〈下さいませ』と両手を合せ、涙をハラハラと流し、身体を畳に打突けるやうに藻掻いて詫入るのであつた。 黒姫は狐につままれたやうな顔をして、一言も発せず、眼ばかりギヨロつかせて一同を眺めて居る。梟鳥の夜食に外れたと言はうか、鳩が豆鉄砲を喰つたと言はうか、何とも形容の出来ぬスタイルを遺憾なく暴露してゐる。〉</ref>。〔{{rm|19|6|和合と謝罪}}~{{rm|19|8|大悟徹底}}〕 | |||
これにより高姫、黒姫らはウラナイ教を捨てて三五教の宣伝使となった。<ref>{{rm|20|1|武志の宮}}:〈ウラナイ教を樹て、瑞之御霊に極力反抗したる高姫、黒姫、松姫は、夢の覚めたる如く心を翻し、身命を三五教に奉じ、自転倒島を始め、海外諸国を跋渉して、神徳を拡充することとなつた〉</ref> | |||
=== 三五教時代 === | === 三五教時代 === | ||
=== 筑紫潟 === | === 筑紫潟 === |
2025年5月8日 (木) 10:32時点における版
この項目では、ウラナイ教の黒姫について説明しています。竹熊の部下の黒姫については「黒姫 (竹熊の部下)」をご覧ください。
この項目はまだ書きかけです。内容が不十分だったり不明瞭だったりします。
黒姫(くろひめ)は、霊界物語に登場する人物。ウラナイ教の副教祖。
概要
- 初出:第15巻第8章「ウラナイ教」#
- 黒姫はウラナイ教の副教祖(副教主)である。[1] [2]
- 黒姫は高姫の弟子である。[3]
- 年齢は50歳代[4]。第24巻の時点で54~5歳。[5]
- 〈黒姫は皺苦茶だらけの垢黒い顔〉〈太い短い首〉[6]。〈真黒々助の黒姫様〉[7]。
家族
関連項目
主なエピソード
黒姫が登場するのは第15巻から第35巻までであり、第36巻以降は基本的に登場しない。名前が時々出るだけで、あとは第72巻巻末の「特別篇 筑紫潟#」に、帰幽して八衢を彷徨う黒姫が登場する。
黒姫のエピソードを次の4期に区分して説明する。
青年時代
黒姫の若い頃(20歳少し前くらい[8])の出来事が第33巻第20章「昔語」#で回想されている。それによると──
黒姫はフサの国の「柏井の里」の司をしている烏羽玉彦と烏羽玉姫夫婦の長女として生まれた。(「烏羽玉」は「黒」にかかる枕詞)
今から〈三十五年〉前、〈アバズレ娘〉の黒姫は〈夏の末〉のある日の夕暮れ、柏井川にかかる橋の袂を一人とぼとぼ歩いていた。すると向こうから酒に酔った〈二八《にはち》〉(「二八」とは28歳か? あるいは2x8=16歳か?)の男が鼻歌を歌いながらやって来た。双方ともに一目惚れして、そのまま〈四辺の木蔭に忍び入り〉抱き合った。人の足音が聞こえて来たため、その男(後に高山彦だと判明する)はどこかに去ってしまった。名前を聞く間もなかった。
この時、黒姫は妊娠する。父母が厳しいため家を脱け出した。生まれた赤子は男の子で「富士咲」(後の玉治別)と名付けた。しかし黒姫は赤子を四辻に捨ててしまった。(→「高山彦 (黒姫の夫)|」も黒姫との出会いについて歌っている)(高姫もやはり赤子を捨てている)
その後、黒姫は四方を彷徨っていると、父(烏羽玉彦)と巡り会い、実家に帰った。そこで10年間過ごすが、捨てた子供が苦になって仕方がない。メソポタミヤの顕恩郷で鬼雲彦がバラモン教を開いたと聞いて、黒姫は神の教えを学ぶため、家を出て顕恩郷に行った。しかし一目惚れした男や、赤子への執着心が晴れずに苦しんでいた。やがて黒姫はウラナイ教に身を寄せて、副教主として活動するようになった。
第16巻第19章「文珠如来」#で黒姫はウラナイ教に〈入信してからまだ十年にはならぬ〉と言っているので、入信したのは40代半ば以降(40代後半)だと思われる。
ウラナイ教時代
三五教の宣伝使5人(安彦、国彦、道彦、田加彦、百舌彦)がウラナイ教本部に迷い込んで来た。黒姫は彼らをウラナイ教に改宗させようと説教する。〔第15巻第9章「薯蕷汁」#〕
西蔵のラサフの都の地底にある岩窟に、広い館があり、そこで高姫・黒姫・蠑螈別を始めウラナイ教の信者数十人が酒宴を行っていた。そこへ三五教の宣伝使たち(高国別ら)が宣伝歌を歌いながらやって来た。その宣伝歌に高姫・黒姫たちは苦しんだ。〔第15巻第17章「窟の酒宴」#~第18章「婆々勇」#〕
三五教の宣伝使・悦子姫の一行が真名井ケ岳に向かう途中、魔窟ケ原の衣懸松の傍らにある小屋(以前ここには高姫の隠れ家があったが百日前に焼失した[9]。その焼け跡に建てられた仮小屋[10]で、黒姫がアジトにしている[11])に黒姫がいた。黒姫は悦子姫一行に説教を始める。何とかウラナイ教に引き込もうと舌戦を繰り広げるが、一行は去って行った。〔第16巻第18章「遷宅婆」#~第19章「文珠如来」#〕
- フサの国から天の鳥船に乗って高山彦がやって来た。魔窟ケ原の岩窟で黒姫と高山彦は結婚式を挙げた。それ以前から二人は夫婦だったが、黒姫は部下に対して独身主義を高唱していた。そのため今さら夫がいるとは言えず、とはいえ欠陥があるから結婚できないのだと悪口を言われるのも癪なので、高姫に頼んで神界の都合で、ということにして、初めて夫を持つという体で結婚式を挙げた[12] [13](独身を主張していたくせに結婚したため部下の常彦・夏彦は黒姫に愛想を尽かしてウラナイ教を脱退してしまう[14])。黒姫・高山彦の結婚式の翌日(1月27日)、黒姫は高山彦らを招いて瑞の宝座を占領することを決定する。その翌日(1月28日)に大攻撃を開始した[15]。〔第17巻第7章「枯尾花」#~第8章「蚯蚓の囁」#〕
- 黒姫・高山彦らウラナイ教の魔軍は真名井ケ岳の聖地を襲撃するが、三五教の加米彦・青彦の言霊に打たれて退却した。〔第17巻第5章「誘惑婆」#~第6章「瑞の宝座」#〕
- 黒姫は丹波村のお楢(平助は病死した)の家に乗り込み、病気で苦しむ孫娘のお節の病を治そうと祈願する。しかし逆にますます悪化してしまい危篤状態になる。すると黒姫は「今日は大変な御用がある」と言って帰ってしまった。4~5日して黒姫が再びお楢の家を訪れると、お節の病は治っていた。お楢が豊国姫神・素盞嗚神に祈願したのである(お節の夢に青彦が現れ救ってくれた)。しかし黒姫は「自分が祈願したからだ」と偉そうな態度を取る。そこへ三五教の宣伝使となった青彦(以前はウラナイ教の高姫の部下だった)が現れ、黒姫と口論となる。黒姫が連れて来た部下の常彦・夏彦までも黒姫に愛想を尽かし、黒姫は一人で帰って行った。〔第17巻第9章「大逆転」#~第11章「顕幽交通」#〕
剣尖山の麓の谷川で黒姫が水行をしていると、三五教の宣伝使・紫姫と若彦(青彦が改名)が現れた。二人はウラナイ教に帰順したいという。黒姫は大喜びで魔窟ケ原に二人を連れ帰る。〔第18巻第6章「真か偽か」#〕
ウラナイ教の黒姫の部下8人が普甲峠の麓で、手っ取り早く信者を作るため、通りすがりの男女を騙して、魔窟ケ原のアジトに連れて行った。この男女は綾彦・お民という夫婦だった(於与岐の里の豊彦の息子夫婦)。黒姫は綾彦には自分の側で働くよう命じ、お民には高城山の支所へ行って松姫の側で働くよう命じた。〔第18巻第7章「神か魔か」#~第18巻第10章「赤面黒面」#〕
於与岐の里のお玉(豊彦の娘。綾彦の妹)が生んだ玉照姫を、黒姫は部下に命じてウラナイ教に連れて来させようとしたが、うまく行かない[16]。黒姫は、自分の側で働いている綾彦がお玉の兄(豊彦の息子)だと知り、綾彦夫婦を人質にして玉照姫を交換しようとたくらむ。〔第18巻第14章「蛸の揚壺」#〕
フサの国から高姫が魔窟ケ原にやって来た。黒姫は玉照姫を奪う計画を高姫に報告する。高姫は玉照姫が手に入ったらフサの国へ連れて帰るつもりで、ここで待つことにした[17]。〔第18巻第15章「遠来の客」#〕
黒姫は青彦・紫姫を信用し、綾彦・お民夫婦を連れて玉照姫と交換して来るよう命じた。〔第18巻第16章「返り討」#〕
(しかし青彦・紫姫は玉照姫を世継王山の悦子姫の館へ連れて行った。二人は最初から高姫・黒姫を騙すつもりでウラナイ教に改宗したフリをしたのである〔第18巻第17章「玉照姫」#〕)
(6) 【第19巻】 舞台:丹後の国、丹波の国
魔窟ケ原の岩窟で高姫は、青彦・紫姫が三五教に寝返り玉照姫を手に入れる作戦が失敗したことを知り、激怒。フサの国へ帰ってしまう。〔第19巻第2章「鶍の嘴」#〕
高山彦と黒姫は玉照姫を奪うため世継王山の悦子姫の館へ向かった。しかし紫姫が天の数歌を歌うと二人は逃げ去った。〔第19巻第3章「千騎一騎」#〕
神素盞嗚大神は、権謀術数を用いて玉照姫を手に入れた紫姫と若彦の宣伝使を解任して追放し、玉照姫は黒姫に渡せと命じた[18]。その公平無私な態度に高姫は大きく感じ入って心を改めた。しかし黒姫は何も感じないらしく、感涙に咽ぶ高姫を見て、狐につままれたような顔をしてきょとんとしているだけだった[19]。〔第19巻第6章「和合と謝罪」#~第19巻第8章「大悟徹底」#〕
これにより高姫、黒姫らはウラナイ教を捨てて三五教の宣伝使となった。[20]
三五教時代
筑紫潟
脚注
- ↑ 第44巻第21章「小北山」#:老爺(文助)のセリフ〈高姫さまが教祖で、黒姫さまが副教祖であつた〉
- ↑ 第19巻第12章「言照姫」#:エンゼルのセリフ〈松姫の改心に依り、ウラナイ教の教主高姫、副教主黒姫の罪は赦された〉
- ↑ 第45巻第6章「唖忿」#:五三公のセリフ〈高姫さまと云ふのは黒姫と云ふ弟子があつたやうですよ〉
- ↑ 第17巻第7章「枯尾花」#:〈岩窟の中に黒姫は 五十路の坂を越え乍ら〉
- ↑ 第24巻第4章「一島の女王」#:〈ブランジー(注・高山彦)の妻にクロンバー(注・黒姫)といふ女あり。夫婦何れも五十の坂を四つ五つ越えたる年輩なり。〉
- ↑ 第17巻第7章「枯尾花」#
- ↑ 第17巻第7章「枯尾花」#:常彦のセリフ
- ↑ 第24巻の時点で54~5歳であり(前出)、第33巻で35年前の出来事だと記されているので、19~20歳頃ということになる。
- ↑ 第16巻第8章「衣懸松」#
- ↑ 第16巻第18章「遷宅婆」#:〈魔窟ケ原の中央に進み入り、衣懸松の傍に立ち止まり見れば、百日前に焼け失せたる高姫の隠家は又もや蔦葛を結び、新しく同じ場所に仮小屋が建てられありたり〉
- ↑ 第18巻第10章「赤面黒面」#:〈黒姫は、又もや魔窟ケ原に現はれ、草庵の焼跡に新に庵を結び、前年高姫と共に築き置きたる地底の大岩窟に居を定め、極力宣伝に従事して居たりしなり〉
- ↑ 第18巻第10章「赤面黒面」#:〈黒姫は独身主義を高唱し、盛ンに宣伝をして居た手前、今更夫ありとは打明け兼ね、私に高姫に通じて、神界の都合と称し、始めて夫を持つた如く装ひける。高山彦の表面入婿として来るや、以前の事情を知らざりし弟子達は、黒姫の此行動に慊らず、遂にウラナイ教を脱退するに至りたるなり。〉
- ↑ 第18巻第14章「蛸の揚壺」#:黒姫のセリフ〈これ迄独身主義を高張して来た手前、今更掌を覆したやうな所作もならず(略)あれや大方、どつか身体の一部に欠陥があるので、負惜みを出して独身生活をやつて居るのだ……何ぞと云ふ者が出来て来た。エヽ、アタ阿呆らしい。これだけ辛抱して居つても悪く言はれるのなら、持ちたい夫を持つて、公然とやつた方が、何程ましか知れないと、いよいよ決行して見たが、初めの内は夏彦、常彦をはじめ、頑固連が追々脱退し、聊か面喰つたが、案じるより生むが易いといつて、何時の間にやら、私と貴方の結婚問題も信者の話頭に上らなくなり〉
- ↑ 第17巻第11章「顕幽交通」#:夏彦のセリフ〈此間もフサの国から、ゲホウの様な頭をした高山彦と云ふ男が出て来て、黒姫の婿になり、天下を吾物顔に振れ舞ふものだから、誰れもかれも愛想をつかし、毎日日日脱退者は踵を接すると云ふ有様、四天王の一人と呼ばれた吾々でさへも、愛想が尽きたのだ〉
- ↑ 第17巻第7章「枯尾花」#章末
- ↑ 第18巻第11章「相見互」#:鬼鷹のセリフ〈ウラナイ教の黒姫の奴、抜目のない……其子供を何んとか彼とか云つて、手に入れようとし、幾度も使を遣はし、骨を折つて居るさうですが、爺と婆アとが、中々頑固者で容易に渡さない〉
- ↑ 第18巻第15章「遠来の客」#:〈玉照姫が手に入るや否や、飛行機に乗せてフサの国に帰りませう〉
- ↑ 第19巻第4章「善か悪か」#
- ↑ 第19巻第8章「大悟徹底」#:高姫〈下さいませ』と両手を合せ、涙をハラハラと流し、身体を畳に打突けるやうに藻掻いて詫入るのであつた。 黒姫は狐につままれたやうな顔をして、一言も発せず、眼ばかりギヨロつかせて一同を眺めて居る。梟鳥の夜食に外れたと言はうか、鳩が豆鉄砲を喰つたと言はうか、何とも形容の出来ぬスタイルを遺憾なく暴露してゐる。〉
- ↑ 第20巻第1章「武志の宮」#:〈ウラナイ教を樹て、瑞之御霊に極力反抗したる高姫、黒姫、松姫は、夢の覚めたる如く心を翻し、身命を三五教に奉じ、自転倒島を始め、海外諸国を跋渉して、神徳を拡充することとなつた〉