「高姫」の版間の差分

 
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* 自分は「[[日の出神]]の[[生宮]]」(救世主の意)だと主張している。(「[[#性格]]」参照)
* 自分は「[[日の出神]]の[[生宮]]」(救世主の意)だと主張している。(「[[#性格]]」参照)
* 弟子の筆頭格に[[黒姫]](ウラナイ教の副教祖)がいる。→その他の弟子は「[[#弟子]]」参照
* 弟子の筆頭格に[[黒姫]](ウラナイ教の副教祖)がいる。→その他の弟子は「[[#弟子]]」参照
* 高姫は[[バラモン教]]を学んでいた時期がある。→「[[#高宮姫時代]]」


== 外見的特徴 ==
== 外見的特徴 ==
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高姫の年齢は明記されていないが、五十歳代半ばの「婆」である。
高姫の年齢は明記されていないが、五十歳代半ばの「婆」である。
* 高姫の「高宮姫」時代は17~8歳<ref>{{rm|39|12|種明志}}:[[ヨセフ]]のセリフ〈高宮姫の十七八の花盛りには〉</ref>で、その時に[[東助]]との間に出来た息子(金太郎=[[建国別]])が([[第34巻]]では)35歳なので、そこから計算すると53歳になる。
* 高姫の「高宮姫」時代は17~8歳<ref>{{rm|39|12|種明志}}:[[ヨセフ]]のセリフ〈高宮姫の十七八の花盛りには〉</ref>で、その時に[[東助]]との間に出来た息子(金太郎=[[建国別]])が([[第34巻]]では)35歳なので、そこから計算すると53歳になる。
* [[第51巻]]で[[妖幻坊の杢助]]が魔法によって高姫の姿を若返らせた。その時妖幻坊の杢助は高姫に〈三十三年許り元へ戻したのだ。お前が十八の時の姿は即ちこれだ。まだ十八の時は、こんな立派な装束を着てゐなかつたから別人のやうに見えるが、これが正真の高宮姫時代だ〉と語っている。それによると33+18=51歳ということになる。<ref>{{rm|51|9|鷹宮殿||a108}}</ref>
* [[第51巻]]で[[妖幻坊の杢助]]が魔法によって高姫の姿を若返らせた。その時妖幻坊の杢助は高姫に〈三十三年許り元へ戻したのだ。お前が十八の時の姿は即ちこれだ。まだ十八の時は、こんな立派な装束を着てゐなかつたから別人のやうに見えるが、これが正真の高宮姫時代だ〉と語っている。それによると33+18=51歳ということになる<ref>{{rm|51|9|鷹宮殿||a108}}</ref>。ただし妖幻坊の杢助が言っているので、高姫にウソをついている可能性もある。
* [[第57巻]]では高姫の部下の[[シャル]]が、高姫は55~6歳に見えると語っている。<ref>{{rm|57|10|転香}}:シャルの一人言〈年は幾才だと聞いて見たら四十九才だと吐しやがる。俺の見た所では、どうしても五十五六に見えるがヤツパリ年寄と見られるのが辛いと見えるワイ〉</ref>
* [[第57巻]]では高姫の部下の[[シャル]]が、高姫は55~6歳に見えると語っている。<ref>{{rm|57|10|転香}}:シャルの一人言〈年は幾才だと聞いて見たら四十九才だと吐しやがる。俺の見た所では、どうしても五十五六に見えるがヤツパリ年寄と見られるのが辛いと見えるワイ〉</ref>
* 高姫は50代だが「婆」と呼ばれ、かなり老人扱いされている。それは当時(大正時代)の50代は孫や曽孫がいる「お婆さん」の年代だったからである。また平均寿命は短く(男42歳、女43歳<ref>[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/19th/gaiyo.html 厚労省]</ref>)、定年も55歳であった。
* 高姫は50代だが「婆」と呼ばれ、かなり老人扱いされている。それは当時(大正時代)の50代は孫や曽孫がいる「お婆さん」の年代だったからである。また平均寿命は短く(男42歳、女43歳<ref>[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/19th/gaiyo.html 厚労省]</ref>)、定年も55歳であった。
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東助に出て行かれ失意した高宮姫は、金太郎を四辻に捨ててしまう。その時に、「東」と「高」の印が刻まれた守り刀(東助が家を出る時、記念に残して行った)と、「金太郎」と名を書いた守り袋を添えておいた<ref>{{rm|33|21|峯の雲}}:〈幼名は 聞くも目出たき金太郎 吾身に添へたる綾錦 守袋に名を記し 守刀に真珠にて 十字の印を描き出し 鍔元篤と眺むれば 「東」と「高」の印あり〉</ref> <ref>{{rm|33|22|高宮姫}}:〈後に残つた一振の 守り刀に「東」の字 「高」の印を刻みたる 剣を記念と残しおき(略)守刀に綾錦 守袋に金太郎と 名をば書き添へ四辻に 不憫乍らも捨子して〉</ref>(この守り刀と守り袋が金太郎=[[建国別]]が高姫・東助の息子だという証拠となる)。
東助に出て行かれ失意した高宮姫は、金太郎を四辻に捨ててしまう。その時に、「東」と「高」の印が刻まれた守り刀(東助が家を出る時、記念に残して行った)と、「金太郎」と名を書いた守り袋を添えておいた<ref>{{rm|33|21|峯の雲}}:〈幼名は 聞くも目出たき金太郎 吾身に添へたる綾錦 守袋に名を記し 守刀に真珠にて 十字の印を描き出し 鍔元篤と眺むれば 「東」と「高」の印あり〉</ref> <ref>{{rm|33|22|高宮姫}}:〈後に残つた一振の 守り刀に「東」の字 「高」の印を刻みたる 剣を記念と残しおき(略)守刀に綾錦 守袋に金太郎と 名をば書き添へ四辻に 不憫乍らも捨子して〉</ref>(この守り刀と守り袋が金太郎=[[建国別]]が高姫・東助の息子だという証拠となる)。


高宮姫は[[メソポタミヤ]]の[[顕恩郷]]へ行き、[[バラモン教]]をしばらく学んだ(大棟梁の[[鬼雲彦]]が支配していた時代)。しかし東助が忘れられず、[[三五教]]に入れば、いつか東助に会えるだろうと考えて、〈系統の身魂〉と偽り、[[フサの国]]で三五教を学んだ。だが[[スサノオ]]のやり方が気に入らず、ウラル教と三五教を合わせた「[[ウラナイ教]]」を[[北山村]]に設立した。<ref>{{rm|33|22|高宮姫}}:〈メソポタミヤの顕恩郷 バラモン教を探らむと〉~〈北山村に立籠り 教を開き居たりける〉</ref>
高宮姫は[[メソポタミヤ]]の[[顕恩郷]]へ行き、[[バラモン教]]をしばらく学んだ<ref>{{rm|23|15|婆と婆}}:高姫のセリフ〈妾も元は鬼雲彦の弟子となり、バラモン教の教理を信用して聞いた事がある高姫で御座います〉</ref>(大棟梁の[[鬼雲彦]]が顕恩郷を支配していた時代)(この時にバラモン教の副棟梁・[[鬼熊別]]の妻である[[蜈蚣姫]]と高姫は出会っている<ref>{{rm|23|15|婆と婆}}:蜈蚣姫のセリフ〈メソポタミヤでお目に掛つた高姫さまによく似てゐる〉</ref>)。しかし東助が忘れられず、[[三五教]]に入れば、いつか東助に会えるだろうと考えて、〈系統の身魂〉と偽り、[[フサの国]]で三五教を学んだ。だが[[スサノオ]]のやり方が気に入らず、ウラル教と三五教を合わせた「[[ウラナイ教]]」を[[北山村]]に設立した。<ref>{{rm|33|22|高宮姫}}:〈メソポタミヤの顕恩郷 バラモン教を探らむと 尋ね詣でて暫くは 神の教を聞きつるが 夫の君の守りたる 三五教を守りなば 神の恵の幸はひて 恋しき夫に何時の日か 巡り合ふ世もあるならむ 三五教に若くなしと 系統の身魂と詐りて フサの御国に居を構へ 教を開く折柄に 変性女子の行方が 心に合はぬ所より ウラルの教と三五の 教を合はしてウラナイ教と 大看板を掲げつつ 北山村に立籠り 教を開き居たりける〉</ref>


高宮姫がいつから「高姫」に名を変えたのかは分からないが、ウラナイ教の教主としては「高姫」である。東助は同棲時代に「高姫」とも呼んでいるので<ref>{{rm|33|22|高宮姫}}:〈コリヤ高姫よ高姫よ〉</ref>、「高宮姫」を略した愛称が「高姫」ではないかと思われる。
高宮姫がいつから「高姫」に名を変えたのかは分からないが、ウラナイ教の教主としては「高姫」である。東助は同棲時代に「高姫」とも呼んでいるので<ref>{{rm|33|22|高宮姫}}:〈コリヤ高姫よ高姫よ〉</ref>、「高宮姫」を略した愛称が「高姫」ではないかと思われる。
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=== 妖幻坊との夫婦時代 ===
=== 妖幻坊との夫婦時代 ===
高姫は妖幻坊の杢助と夫婦になる。そのエピソードが第49~52巻に描かれている。3つの大きなトピックスを記す。
高姫は[[妖幻坊の杢助]]と夫婦になる。そのエピソードが第49~52巻に描かれている。3つの大きなトピックスを記す。


(1) 【[[第49巻]]・[[第50巻]]】 舞台:[[祠の森]]の聖場
(1) 【[[第49巻]]・[[第50巻]]】 舞台:[[祠の森]]の聖場


高姫は、[[イソ館]]の教主代理になった[[東助]](東野別)<ref>東助は[[錦の宮]]の総務だったが、[[イソ館]]への転勤命令が出て、妻を淡路島に残したまま単身赴任した。{{rm|33|24|春秋}}</ref>の後を追い[[フサの国]]へ渡った。高姫は[[生田の森]]の神司をしていたが、どうしても東助と旧交を温めたくて、イソ館まで行き、東助と面会した。しかし東助に厳しく叱り飛ばされ、高姫はバカバカしくなった。高姫はイソ館を困らせて自分の腕前を見せ、東助に兜を脱がせようと思った。祠の森の神殿には素人ばかりが仕えていると聞いて、高姫は信者となって潜り込み、一旗揚げようとたくらんだ。高姫はまたもや日の出神と自称する病気が再発し、しきりに弁舌を振り回して、祠の森の[[珍彦]]・[[静子]]らをうまく丸め込んでしまった。〔{{rm|49|9|善幻非志}}〕<ref>{{rm|49|9|善幻非志}}:〈高姫はイソ館に至り〉~〈静子其外一同を吾掌中にうまく丸めて了つた。〉</ref>
高姫は、[[イソ館]]の教主代理になった[[東助]](東野別)<ref>東助は[[錦の宮]]の総務だったが、[[イソ館]]への転勤命令が出て、妻を淡路島に残したまま単身赴任した。{{rm|33|24|春秋}}</ref>の後を追い[[フサの国]]へ渡った。高姫は[[生田の森]]の神司をしていたが、どうしても東助と旧交を温めたくて、イソ館まで行き、東助と面会した。しかし東助に厳しく叱り飛ばされ、高姫はバカバカしくなった。高姫はイソ館を困らせて自分の腕前を見せ、東助に兜を脱がせようと思った。祠の森の神殿には素人ばかりが仕えていると聞いて、高姫は信者となって潜り込み、一旗揚げようとたくらんだ。高姫はまたもや日の出神と自称する病気が再発し、しきりに弁舌を振り回して、祠の森の[[珍彦]]・[[静子]]らをうまく丸め込んでしまった。〔{{rm|49|9|善幻非志}}〕<ref>{{rm|49|9|善幻非志}}:〈高姫はイソ館に至り、東助にヤツと面会し、'''手厳しく叱り飛ばされ'''、馬鹿らしくてたまらず、されど何とかして、東助を往生づくめにしてでも、'''マ一度旧交を温めねば承知せぬ'''、それに就いては、東助が羽振を利かしてゐるイソ館を何とかして困らせ、'''自分の腕前を見せて、東助に兜をぬがせ'''、吾目的を達せねばおかぬと、折角改心してゐた、霊の基礎が又もやグラつき出し、祠の森の神殿に素人許りが仕へてゐると聞いたを幸ひ、信者に化け込み、一同を往生させ、茲に自分が一旗挙げむと企みつつ、やつて来たのである。高姫は又もや日出神と自称する病気が再発し、頻りに弁舌をふりまはして、珍彦、静子其外一同を吾掌中にうまく丸めて了つた。〉</ref>


イソ館の総務・[[杢助]]が、祠の森に高姫を訪ねて来た。杢助は「副教主(教主代理)の東助と衝突してイソ館を追い出された、以前に生田の森で知り合った高姫に相談しようと思い、ここまで訪ねて来た」という。この杢助は実は[[妖幻坊]]([[兇党界]]の大兇霊)が化けた偽者だった。しかし高姫は本物の杢助だと信じてしまった。高姫は、自分と同じように東助に冷たくあしらわれた杢助に心が惹かれ、二人で力を合わせて東助の高慢な鼻をくじいて改心させてやろう(復讐してやろう)、と意気投合した。挙げ句にその場で二人は結婚し夫婦になってしまった。〔{{rm|49|12|お客さん}}〕
イソ館の総務・[[杢助]]が、祠の森に高姫を訪ねて来た。杢助は「副教主(教主代理)の東助と衝突してイソ館を追い出された<ref>{{rm|49|12|お客さん}}:[[妖幻坊の杢助]]のセリフ〈[[東助]]様と事務上の争ひから、止むを得ず、拙者は辞職したといふのは表向、実は東助さまに放り出されたのですよ〉</ref>、以前に生田の森で知り合った高姫に相談しようと思い、ここまで訪ねて来た」という。この杢助は実は[[妖幻坊]]([[兇党界]]の大兇霊)が化けた偽者だった。しかし高姫は本物の杢助だと信じてしまった。高姫は、自分と同じように東助に冷たくあしらわれた杢助に心が惹かれ、二人で力を合わせて東助の高慢な鼻をくじいて改心させてやろう(復讐してやろう)、と意気投合した。挙げ句にその場で二人は結婚し夫婦になってしまった。〔{{rm|49|12|お客さん}}〕


高姫は「自分は義理天上日の出神だ」と威張り散らし、妖幻坊の杢助と共に祠の森を乗っ取ろうと画策する。元ウラナイ教の[[お寅]]・[[魔我彦]]や、奉仕者たち([[イル]]・[[イク]]・[[サール]]・[[ヨル]]・[[ハル]]・[[テル]])を自分の子分にしようとするが、誰も従わない。〔{{rm|49|13|胸の轟}}~{{rms|49|17|五身玉}}〕
高姫は「自分は義理天上日の出神だ」と威張り散らし、妖幻坊の杢助と共に祠の森を乗っ取ろうと画策する。元ウラナイ教の[[お寅]]・[[魔我彦]]や、奉仕者たち([[イル]]・[[イク]]・[[サール]]・[[ヨル]]・[[ハル]]・[[テル]])を自分の子分にしようとするが、誰も従わない。〔{{rm|49|13|胸の轟}}~{{rms|49|17|五身玉}}〕
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高姫と妖幻坊は、小北山の教主・[[松姫]]<ref>松姫は、昔は高姫の部下で、自転倒島の高城山でウラナイ教の支所の教主だった。高姫が三五教に改宗した後、松姫も三五教に改宗し、その後、神素盞嗚大神の命を受けてフサの国の小北山にやって来たのだった。</ref>を追い出して小北山の聖場を乗っ取ろうとたくらんだ。しかし社の霊光に打たれて二人は小北山から逃げ出した。〔{{rm|51|1|春の菊}}~{{rms|51|7|曲輪玉}}〕
高姫と妖幻坊は、小北山の教主・[[松姫]]<ref>松姫は、昔は高姫の部下で、自転倒島の高城山でウラナイ教の支所の教主だった。高姫が三五教に改宗した後、松姫も三五教に改宗し、その後、神素盞嗚大神の命を受けてフサの国の小北山にやって来たのだった。</ref>を追い出して小北山の聖場を乗っ取ろうとたくらんだ。しかし社の霊光に打たれて二人は小北山から逃げ出した。〔{{rm|51|1|春の菊}}~{{rms|51|7|曲輪玉}}〕
妖幻坊の杢助の話によると、ここでの高姫は51歳ということになっている。→「[[#年齢]]」


(3) 【[[第51巻]]・[[第52巻]]】 舞台:[[浮木の森]]の[[曲輪城]]
(3) 【[[第51巻]]・[[第52巻]]】 舞台:[[浮木の森]]の[[曲輪城]]
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* (3) {{rm|57|9|婆娑}}~{{rms|57|12|三狂}}
* (3) {{rm|57|9|婆娑}}~{{rms|57|12|三狂}}
* (4) {{rm|63|12|五託宣}}~{{rms|63|13|蚊燻}}
* (4) {{rm|63|12|五託宣}}~{{rms|63|13|蚊燻}}
* (5) {{rm|70|6|鬼遊婆}}~{{rms|70|7|妻生}}
* (5) {{rm|70|6|鬼遊婆}}~{{rms|70|7|妻生}} (高姫の精霊が千草姫の肉体に宿る直前のシーン)


(1) 【[[第52巻]]】
(1) 【[[第52巻]]】