天津神の神算鬼謀
天津神の神算鬼謀(あまつかみのしんさんきぼう)は、霊界物語第1巻第29章#の章題。
広辞苑によると「神算」とは〈霊妙なはかりごと〉、「鬼謀」とは〈常人の思い及ばぬようなすぐれたはかりごと〉という意味。
大八洲彦命の神軍が進む前に、天保山に立て籠もる胸長彦の魔軍が現れた。大八洲彦命は援軍を遣わしてくれるよう天に哀願した。すると天から神使が降り、天津神(固有名詞は書かれていないので何神かは不明)の命令として「加勢を頼むようでは成功しない」と伝えた。しかし実は天保山から離れた天教山に、天神の命令で八島別の神軍が大八洲彦命を救援するため秘かに待機していた。だが大八洲彦命はその事実を知らず、救援軍は来ないものと思い込んだ。
胸長彦は表向き大八洲彦命に帰順し、天教山にいる軍はあなたにとって敵軍であるから、一緒に攻撃しようと持ちかけた。そのように偽って天教山にいる八島別の神軍を滅ぼそうとしたのである。大八洲彦命はそのウソを信じてしまい、了承した。
胸長彦と大八洲彦命の連合軍が天教山を攻撃する。第一陣の胸長彦の魔軍は八島別の神軍によって滅ぼされてしまった。第二陣として大八洲彦命の神軍が向かう。そこで初めて大八洲彦命は、天教山の八島別が自分の味方で、天からの援軍であることを知った。〈かくのごとくして敵軍を殲滅せしめたまひし天津神の神算鬼謀は、実に感歎の次第である〉。