木田山城
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木田山城(きたやまじょう)は、
本頁では城としての木田山城について解説する。
概要
主なエピソード
- サールの国のエールス王がイドムの国に出軍した後、太子エームスが木田山城の留守師団長として守っていた。エールス王はイドム城を占領し、数多の敵軍を捕虜としてサールの国へ送り込んでいた。エームスは木田山城に送られてきた捕虜の中に三人連れの美女がいるのを見つけ、自分の妻にしようと考えた。この三人はチンリウ姫(イドムのアヅミ王の娘)、アララギ(チンリウ姫の侍女・乳母)、それにセンリウ姫(アララギの娘)である。〔第81巻第11章「五月闇」#〕
- エームス太子[2]の侍従である朝月と夕月の二人は、牢獄へ行きチンリウ姫に、太子と結婚すればイドムの国も再興されて平和が訪れると口説くが、チンリウ姫は断固拒否する。〔第81巻第12章「木田山颪」#〕
- エームス太子はアララギを説得して、アララギからチンリウ姫に話をしてもらう。チンリウ姫はアララギとセンリウ姫に説得され、やむを得ずエームス太子との結婚を約束する。太子は三人を牢獄から解放し立派な服に着替えさせた。〔第81巻第13章「思ひの掛川」#〕
- 木田山城内でエームス太子とチンリウ姫との結婚式が行われた。アララギはチンリウ姫に「エームス太子は実は猛獣の化け物だという噂がある」と嘘をつき「今夜は安全のため様子を見てみましょう」と言って、容姿がそっくりな自分の娘センリウ姫と服を取り替えさせ替え玉とする。翌朝、センリウ姫は無事であったが、アララギは「太子の心をもっと姫に向かわせるためには、祭壇にある水晶の花瓶を庭で打つとよい」と嘘をつく。それを信じたチンリウ姫は花瓶を庭で打つと二つに割れてしまった。アララギは突然チンリウ姫のたぶさを掴むと「姫の侍従でありながら重宝を壊すたは言語道断、わが子ではない、。皆様、大罪人が現れました」と叫んだ。するとたちまち司らが集まり、センリウ姫と間違えられたチンリウ姫は捕まって、大罪人として遠島の刑(島流し)に処せられた。〔第81巻第14章「鷺と烏」#〕
- この件でアララギはエームス王から厚く信頼されることになり、木田山城内の権力を握るようになった。太子の侍従・朝月は、センリウ姫(実はチンリウ姫)の罪の重さを不憫に思い、そして今の太子妃は本当のチンリウ姫ではないような気がすると懸念したが、疑われたチンリウ姫(実はセンリウ姫)とエームス太子は怒り、朝月も遠島の刑に処せられてしまった。アララギが権力を握ってからは、邪な輩を重用し、正義の士はことごとく罪を着せられ処罰された。サールの国には悪人がはびこり、各所に暴動が起きるようになった。〔第81巻第15章「厚顔無恥」#〕
- チンリウ姫になりすましたセンリウ姫は、木田山城内の森林を逍遥していると、容姿端麗な美男子が現れ、自分はエームス太子の従兄弟のセームスであると名乗った。センリウ姫はセームスにすっかり心を奪われてしまったが、セームスの姿は煙のように消えてしまった。次の日、エームス太子、センリウ姫、アララギの三人は、城内の菖蒲池に舟を浮かべて清遊していると、突然池から水柱がいくつも立ち昇り、舟は転倒し、エームス太子は水に落ちて死んでしまった。昨日現れたセームスは実はこの池の主で、巨大な蠑螈の精であった。蠑螈の精はエームス太子を亡き者にしてセンリウ姫の夫となり、城を乗っ取ろうとたくらんだのである。それから蠑螈の精セームスはエームス太子になりすました。セームスとセンリウ姫は互いに偽者として夫婦となり、国を乗っ取ることにする。二人は城内深くに身を置いて快楽に耽り、国は乱れ混乱が深まって行った。〔第81巻第18章「蠑螈の精」#〕
- 戦争に勝ってイドムの国を手に入れたサールの国王エールス王は、右守ナーリスを木田山城に帰城させた。アララギはナーリスに、政治のことは必ず自分に諮るようにと横柄に言い渡すと、ナーリスは納得できず、引退を宣言して太子の前から姿を隠してしまった。城下に鬨の声が起こり、暴徒の大群が木田山城に襲い掛かってきた。落城を覚った蠑螈の精セームスは、センリウ姫を小脇にかかえると、菖蒲池に飛び込み、二人の姿は見えなくなってしまった。反乱軍の中心はかつての侍従・夕月であった。夕月はアララギとセンリウ姫が替え玉となった悪業を暴き立て、弓で射殺する。〔第81巻第19章「悪魔の滅亡」#〕
- 夕月とナーリスは城内で重臣を集めて国乱を鎮定した祝賀の席を設けた。一同は、悪女アララギがイドムの国からやってきたことが国難の始まりであったと回顧する。そこへ数千の騎士たちがイドムの国から逃げ帰ってきた。そしてエールス王を始め王妃・左守ら首脳陣はすべて死に、サール軍はイドムを追われたことを報告する。一同は、他国を戦争によって奪おうとした欲の罪によって、王の一族の血筋が途絶えることになってしまったと思い至る。ナーリスは残された重臣たちと心を合わせて国を再建する決意を表する。そして木田山城内に主の神の御舎を造営し、正しい政治が行われるように祈願をした。〔第81巻第20章「悔悟の花」#〕