悟善社

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悟善社(ごぜんしゃ)は、中国の新宗教。世界宗教連合会の参加団体の一つで、大正14年(1925年)5月20日、北京の悟善社においてその発会式が行われた。「救世新教」とも呼ぶ。

概要

下に引用する二冊の本の記述をまとめると次のようになる。

  • 道院・紅卍字会に似ている。
  • 民国暦8年(大正8年=1919年)に扶乩(フーチ)による神示によって開設された。
  • 民国暦12年または13年に「救世新教」と改称する。
  • 「救世新教」は宗教団体としての名称、「悟善社」は慈善団体としての名称[1]である。
  • 「五教合一」という思想を持つ。(世界の五大教─儒教、仏教、道教、キリスト教、イスラム教─の根本義はみな衆生済度であり、それを合一した宗教が救世新教)


 悟善社の内容は道院紅卍字会と殆ど似て居る、一種の宗教的慈善団体である。宗旨は儒教、仏教、基督教、道教、回教の五大教義に基いて次の如き主旨によつて居る。

一、内功 神道を伝授し、静坐して功を積む九級に分つて修道の道となす。

二、外功 凡て慈善事業に属するものは積極的にこれをなす。

 本会の主旨に賛同して入会を希望する者は何教を奉ずるを問はず歓迎する。況んや無宗教者の入会を最も歓迎すると称されて居る。然して入会者は内功を積み、外功に進むのである。即ち自己修養と衆生済度の根本宗義は道院と何等異るところはない。

 悟善社の起原は民国八年山東の済南に於て開設されたものである。今日では北京に総社を置き教統……総社長江朝宗の下に各地に分会がある。山東では発祥地たる済南城内浄居寺にあり(略)主要都市に分会を設置し、創立以来数百人の教士を養成し、毎月一日の午前十時より十二時迄に受戒伝道に努めて居る。其教義は神教主義を奉じ、道院と同様に扶乩によつて、神旨を聴く関係上、国民政府では民国十八年五月上海の同善社、済南の道院と共に悟善社は慈善団体の名義を借りて迷信を提唱し、祭壇を設け衆人を惑はしめ社会に害毒を胎すものとして禁止命令を発して居るが、今日その命令は決して有効に活動はして居らぬ。

 抑々悟善社は民国十三年に改組されて、救世新教総会と称することとなつたのであるけれども、世間的には今尚悟善社と呼ばれて救世新教とは称されて居らぬ。その改名の由来を聞くに、世界の所謂五大教たる、孔教、仏教、道教、基督教、回教、総ては均しく我亜細亜大陸に発祥しその教義儀体も大同小異であるのみならず、宗旨を究むると五大教の何れを問はず皆衆生済度を以て根本義としないものはない。区々たる宗教の限界に拘泥せずその究極の根本宗義に溯つて、五教合一の大宗教を樹立するがために救世新教総会と命名したと云ふのである。

(略)

 本会は道院紅卍字会と同じく兵災に悩む難民の救済等に力を尽して居る。(略)従つて国民政府の云ふ如く一口に迷信団体として排斥すべきではない。今日支那では社会救済慈善団体として相当勢力を存して居る。
出典:末光高義『支那の秘密結社と慈善結社』1932年5月、満洲評論社、p288-258「第十九 悟善社」
小冊子『救世新教』によれば民国八年閏七月、河南の広善壇信士王錦渠・迮以増・鄭景樵の三名が、壇命を奉じて北京に来て、北京の信士張恩寿、周学士、朱煥文等ともに悟善総社を開創した。当時、たまたま「五星聯珠」(五教合一の瑞祥)の乩示があり、五教教組が降って乩示があり「天意によって重任が寄托され、勧世文章を刊行し、その勧世文章が収録される『霊額要誌』の編輯刊行の命があった。信徒は多く、社事は益々進んだ。(略)凡そ行善のことは、ただ刦を救うだけで、如何にして教を興して刦を永久に化することができるかが大事であるので、悟善社が慈善団体であることから宗教団体へと改組し、なお従前通り慈善事業をも推進することとし、宗教団体として「救世新教」の名を定めた(民国十二年)。

 甲子(民国十三年)春正月、五教教祖が、扶乩「宣示」して、救世新教の「教綱」「教法」「教義」「教経」数万言を定め、また『玄玄秘籙真経』及び「図説」を定めた。さらに「甲子年十二月十二日午時」を択んで、救世新教成立の始期とした。

(略)

民国十四年三月二十六日に、北京政府内務部の批准を経て、北京、和平門内呂祖閣東夾道、悟善総社内に救世新教総会を組織した。
出典:酒井忠夫『酒井忠夫著作集6』2002年3月、国書刊行会、p91-128「第二章 悟善社、救世新教」

脚注

  1. 大本-人類愛善会や道院-紅卍字会の関係と同じ。